八十二話目 続・校内見学の日
今僕達は、特別教室棟に来ています。
内部は、僕達の教室がある教室棟と大体同じ作りかな?
ただの教室棟と違うのは、流線型の箒が立て掛けてあったり、木を削ったり土をこねたりしている生徒が実習学習をしているってところかな?
ここでは商業学の生徒の中でも、職人さんを目指す生徒が勉強しているみたいで、ものづくりに興味がある僕としては、もうちょっとじっくり見学したいところ何だけど…。
え?屋外実習棟の件はどうなったのかって?
戦闘訓練やってたのはやっぱり兄さん達のクラスだったんだけど、僕が見てる事に気がついた兄さんが無双しだして、他の生徒を千切っては投げしちゃったもんだから、あっという間に見るところが無くなっちゃったんだよ…。
ポカーンとする1年生、阿鼻叫喚の地獄絵図みたいな6年A組の生徒達。
ただ1人勝ち誇ってる馬鹿兄貴…。
あぁ、穴があったら兄さんを埋めたい。
………。
そんな訳で、僕達は今特別教室棟に居ます。
時折、先生がツアーコンダクターみたいに説明を入れてくれるのが凄く面白い。
彼女はC組の担任で、鳥人族の小鳥種らしい。
赤、緑、黄色と1人で鮮やかな羽の色を持っていて、彼女が動く度にその羽がキラキラしてて凄い綺麗だなぁ…。
「シエロ、C組の先生男だぜ?」
「えっ?ワンダー君、それ本当!?」
いつの間にか僕の真後ろに居た、同じく鳥人族で小鳥種のワンダー・ドリー君が衝撃的発言を口にした。
「鳥人族の女は皆、結構地味なんだ。あんな派手なのは男だけ…。あとワンダーって呼び捨てで良いぜ?俺もシエロって呼ぶからよ」
「うん、ありがとうワンダー。しかし、あの人が男の人ねぇ…。僕には女の人にしか見えないけど…」
「小鳥種は皆声が高いからな、他の種族じゃ分かりづらいだろうな」
あっ、ワンダー。
C組の担任が凄い勢いでこっちを睨み付けてるから、この話題はこれまでにしておこう(汗)
そうだな…。
僕らのアイコンタクトが通じた瞬間だった(笑)
「しょ、職人さんって格好良いよね?僕、まだ選択教科決めてないんだ。ワンダーはどうするの?」
「ん?俺?呪怨属性持ってるから、魔法学取って勉強しようと思ってるぜ?シエロんちは貴族何だろ?騎士道学とかじゃなくて良いわけ?」
「僕の家は、プロクス兄さんが継ぐし、姉さんが兄さんの補助をするって小さい時から言ってたから、僕はする事がないんだよね?」
実際ルーメン姉さんは商業学で領地経営の仕方とかを習ってるみたいだし、いくら辺境伯だとて、次男の僕は家を出て行く身なんだよね。
「ふ~ん。良くわかんねぇけど、貴族も大変なんだな…。」
「そうかもしれないね?僕自体にあんまり実感はないんだけどさ」
「では、次は食堂・購買棟に行きますよ~?ちょうどお昼ですので、見学が終わった組から昼食を取って下さいね~?」
おっ!次はお昼か…。
今朝のご飯も結構美味しかったから、期待大だね♪
――――――
昨日も思った事何だけどさ…。
これ食堂と購買部の域越えてるよね?
だってさ、デパート並みの大きさの建物丸々一棟食堂ってヤバくない…?
しかも、在籍している生徒なら食堂のご飯は無料で食べ放題、飲み放題だし、購買部で売られている物も殆ど無料。
まぁ購買部の中でもお菓子類とかは例外品だし、この棟の上層部に入ってる外部の商人が開いてるお店を利用する時何かもお金がいるんだけどね?
「シエロ、見学終わったし、俺らのクラスは飯にして良いってよ!お前何食う?」
「あちこちからいい匂いがしてて、僕お腹ペコペコだよ~」
上層階の武器・防具の店とか見てみたいなぁ~、とか思っていると、お昼に浮かれた2人組がやってきた。
あれ?
「えっ?ルドルフにブロンデ。もうお昼にして良いの?上の階まだ見てないよ?」
「もしかして後ろの方は聞こえなかった?上の方の階は1、2年生は入ったら駄目なんだって」
「危ない魔術書とかも売ってるから、少なくとも3年生になるまでは立ち入るのも禁止だってよ」
ガーン…。
楽しみにしてただけに、ガチで凹むわぁ~。
「じゃあ、食堂がある2階くらいまでしか僕らは入れないの?」
「いや、3階に俺らが使う武器とか防具とかを貸してくれる所があるから、そこまでなら大丈夫だってよ。」
へぇ~、レンタルショップがあるんだ…。
ちょっと意外(笑)
「それより、お腹空いたよ。後は食べながら話そう?」
「それもそうだね」
「うっし、じゃあ飯食おうぜ!」
友達と何食べるか話しながら歩くのって久し振りだなぁ…。
くだらない事を話すのって楽しいよね(笑)
えっ!嘘っ!?ルドルフ真っ昼間からステーキ行くの?
えっ!?ブロンデも?
マジで?
えっ?僕は無理だよ…。
あっ、僕はこれにしようかな、ソーセージ盛りのパンとスープ付きのやつ。
「あっ、じゃあ俺ロイ達と飯食う約束してっから行くな?」
「あっ、そうなんだ…。じゃあまた後でね?」
「おぅ!」
ワンダー君と別れ、3人になった僕らはお昼の注文に向かった。
この食堂はセルフサービス式になっていて、窓口で注文した後それぞれの受け取り口で受け取り、各自好きな所で食べるという、所謂ザッツ学食スタイルだ(笑)
と言うわけで、それぞれの食べたいものを窓口のオバチャンに注文する。
「ハイよ、じゃあこのカードを受け取り口で渡してね?」
オバチャンから僕の手のひらよりも小さな赤いカードを渡される。
カードには何も書いてないけど、ちゃんと受け取り口の読み取り機に翳すと注文した物が表示されるから間違われる事も無いし、意外にハイテクで超便利☆
なのに、何故この世界には眼鏡が無いんだ!!
「ねぇ、僕も混ぜて?」
「あっ、デイビッド君。僕はいーよ?」
「俺も良いぜ?シエロも良いだろ?」
「勿論、一緒に食べよ~?」
眼鏡の事を考えながら列を進んでいたら、後ろからデイビッド君が合流してきた。
ちょうど良いから、ご飯を食べながら眼鏡の話しをしようかな…。
続・校内見学の回でした。
お楽しみ頂けたら幸いです。
本日もお読み頂き、ありがとうございました。