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七十五話目 寮に引っ越した日



 入学式を無事に済ませた僕達は、寮に案内されていたはずが、いつの間にか広すぎる中庭に案内されていて…。


 そこに建てられていた小さな掘っ建て小屋の扉を潜ってみると、そこにはーー。




 一瞬、城と見紛う程大きく立派な建物が聳え建っていた。


 何かゴテゴテしてて、ホグ○ーツ城っぽいな…(ボソッ)


 城の周囲は、これまた広大な森に囲まれていて、地面を見ると緩やかに下りになっていることが分かり、ここが高台にあることに気付く。


 結構頻繁に、家の裏手にある山に入っていた訳じゃないんだぜ☆


 いやいやいやいや、そう言う事じゃないよな?


 ここ何処よ!?


「それじゃあお前ら、寮に着いたから、お待ちかねの寮の部屋割りを発表するぞ~!」


「クラス毎にお伝えしていきます。聞き逃さない様に気をつけて下さいね?」


 先生、部屋割りよりここが何処か、教えてプリーズ!!


――――――


「シエロ、お前何号室だった?」


「僕は308号室だったよ~?」


 部屋割りの発表がB組に移った頃、ルドルフとブロンデが小声で話しかけてきた。


 ちゃんと小声にするところが可愛いのう(笑)


 あっ、因みに、此処はモーント王国の何処かにある山の中だそうだ…。


 何処だよ!?



「……。僕も308号室だった。ブロンデと同室だよ?」



「2人とも同室かよ、いいなぁ~。俺、109号室だったから、階数すら違うじゃねぇか~?」


「談話室で会えばいいじゃないか?談話室は2階にあるって言うし…」


「3階から2階に降りるのは楽だけどよ?5階から一々来るの面倒じゃね?」


 えっ?僕達308号室だから、部屋は3階にあるんじゃないの?

 あれ?何か2人の視線が痛い様な…?



「…。シエロ?お前、説明ちゃんと聞いてなかったな?」


 あっ、バレた?


 寮の外観を見てるのが楽しすぎて、最初の方の説明を聞いてなかったんだよね。


 だってさ、この世界に来てから、建物の高さで40m以上の物って見た事なかったんだもん…。


 微妙な笑顔を浮かべて誤魔化したけど、ルドルフには案の定バレたみたいだ(笑)


 僕の所を凄いジト目で見てるもんなぁ~。


「アッ、アハハハハ」


「はぁ、分かった。俺がザックリ説明してやるから、ちゃんと聞いとけよ?」


 ザックリってなんだ!?


「あはは、僕も補足してあげるからね?」



――――――


 ルドルフから聞いた説明によると、この城みたいな寮は全10階建てで、1、2階は食堂と購買、大浴場等が入っていて、住居スペースは3階からとなっているらしい。


 最初は、ちゃんと1階から生徒達の部屋があったから、101号室から始まってるらしいんだけど、生徒の数が増えるにつれて無理やり増改築を繰り返していたら、今の様な城みたいな形になってしまったのだそうだ。


 因みに1、2階は男女別れていないけれど、3階の居住スペースからは建物が2分されていて、入り口から見て右側が男子、左側が女子になっている。


 だから、例えば101号室から105号室までは女子の部屋だけど、106号室から110号室までは男子の部屋。

 と言った具合に別れているんだって。



「10階まで階段で上がったり降りたりするのは大変だから、4階、6階、8階、10階の階段前のフロアにテレポート装置が設置してあるっても言ってたよ?僕達の部屋は308号室で5階だから、4階に降りたらテレポート装置が使えるね?」



「テレポート装置は2階のお風呂場の隣に、各階に繋がってるやつが置いてあるから、僕らだったら4階のに乗ればすぐお部屋まで行けるね?」


 等々、ルドルフの説明で足りない所はブロンデがちゃんと補足してくれるから、凄く分かり易かった。


 うん。申し訳ないし、二度手間になっちゃうから、人の話はちゃんと聞く様にしよう。


 反省反省…。



「では、皆さん部屋割りは終わりましたね?自分の荷物を持って、お部屋へ向かってください。荷物を置いてき次第、また此処へ戻って来てくださいね?」

「あれ?そう言えばお前手ぶらだな?」


「あっ、本当だ。シエロ君、荷物は?」


「あぁ、僕―――」



「戻って来た奴から、親御さんと会えるから、なるべく早く戻って来るんだぞ~?」



 先生’Sがそう言ったか言わないかの内に、子供達は我先にと寮の中へ向かって走り出した。


 これから半年間も親御さん達に会えないんだもん。


 そら必死にもなるよなぁ…。


 んー。

 しかし、ブロンデとルドルフも素早かったな…。


 話しの途中だった、って言うのにもう見えないよ。



「おや?コルト君は行かないのですか?」


 呆然と他の生徒達を見ていたら、エルフ先生から声を掛けられた。


 はぁ~、近くで見ると、陶磁器みたいなつやっつやの肌だって事が良く分かるや。


 髪の毛もサラッサラだし、これで目をしかめてなければ超絶美人さんなのに…。


 勿体ねぇ!



「コルト君?」


「あぁ、すいません。あんまり皆の勢いが良くて、圧倒されてしまいました」



「あぁ、凄かったですからねぇ?まぁ、毎年の恒例行事の様なものです。さぁ、部屋には頼もしい先輩方も居ますよ?早く挨拶してくると良いでしょう」


 アブね~。


 何とか誤魔化せたかな?


 ついガン見してしまった(汗)

 うちの家系は、すぐ人の顔をジーっと見つめてくるし、距離感も近いから、いつも僕が焦ってる側だったけど、どうやらその血は僕の中にも入っていたらしい。


 うむむ、気をつけないとなぁ…。



「はい、では行って参ります」


「えぇ、行ってらっしゃい」




 穏やかな口調のエルフ先生にぺこりとお辞儀をして、僕も寮に向かって歩き出した。


 いくら今年の生徒が少ないとは言え、120人近くの生徒が一気に走り出したから、入り口の辺りに塊が出来てる。


 あれならまだ皆に追いつけそうだな…。



 僕も入り口の塊に思い切って飛び込んだ。




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