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七十三話目 やっと教室にたどり着いた日



 僕に関する自慢話が止まらない兄さんから逃げて、1年A組の教室まで走って来ました。


 よ、良かった…。


 此処が教室棟で…、本当に良かった…、何とか迷わずに済んだ…。



「シエロ、君…。何で急に、にっ、逃げ出したの?」


「自分の自慢話何て、君は聞きたいの…、か?」


 兄さん達から猛ダッシュ(ブロンデの手は引っ張ってきた)で逃げて来た為、2人とも息が絶え絶えになっていた。


 ナンパの次は重度のブラコンによる弟(僕)自慢…。


 マジで勘弁して欲しいよ…。


 そんな事を考えつつ、僕はぜぇぜぇ言いながら、ブロンデの質問に質問で返した。


「………。僕も逃げ、てるかも…」


「だろ…?」



「何でお前らぜぇぜぇ言ってんの?廊下は走っちゃいけないんだぜ?」


 2人して廊下でぜぇぜぇ言っていたら、突然声を掛けられた。


 顔を上げて、相手の顔を見る。



 あれ?デジャブ?


 僕の目の前には、さっき別れた筈のエルドレッドさんが居た。


「何でエルドレッドさんが此処に?あれ?兄様は?」


「あ?何で兄ちゃんの名前が出て来るんだ?俺は兄ちゃんじゃないぞ?」



 え?こんなにそっくりなのに…?


 あっ、よく見ると、彼の方が背も低いし、エルドレッドさんは茶色の髪と瞳なのに対し、赤毛にシルバーの瞳をしていて、全然違う人だと言う事が分かった。

 でも、顔のバランスがそっくりだし、兄ちゃんって言ってたから、弟さんなのかな?



「すいません。今さっきエルドレッドさんに会ったばかりだったのもので…。間違えてしまいました」


「あぁ、兄ちゃんに会ったのか。それなら納得だ。俺、髪の毛の色も目の色も違うけど、顔はそっくりだって良く言われっから」


 ニカッと笑う彼は、お兄さんと間違われた事を誇らしそうにしていた。


 お兄さんの事が大好きなんだなぁ…。


「まぁ、俺には兄ちゃんみたいな垂れた耳はねぇんだけどな?」


 えっ?あっ本当だ…。


 エルドレッドさんに付いていたロップイヤーな耳は、彼には付いていなかった。


 ウサ耳の代わりに付いていたのは、僕と同じ様なヒューマン族の耳だった。


 僕よ…、何故気づかないorz



「俺の母ちゃんが兎族でよ、俺は父ちゃんに似たんだ」


 さっきみたいに、またニカッと笑う彼。


 あ~、この子はお兄さんとお父さんの事が大好きなんだなぁ、って言うのが凄い伝わってくる。


 何だろう、この子超良い奴そう…。


 こんな奴と、友達になりたいかも(笑)



「僕はシエロ・コルトと言います。プロクス・コルトの弟です。宜しく」


「おぅ、何だお前。プロクス兄ちゃんの弟か!?俺はルドルフ、エルドレッドの弟だ。よろしくな!!」


 兄同士が親友、と言う縁を持った弟同士気のあった僕らは、固い握手を交わしたのだった。



「シエロ君、僕の事忘れてない?」


 わっ、忘れる訳ないじゃないか、ブロンデ君…。



――――――


 何時までも廊下で話していても仕方が無いので、教室の中に入る。


 あっちこっちに子供の塊が出来ていて、キャイキャイ楽しそうに喋りあって居た。



 特に席は決まっていない様だったので、適当な席に、3人固まって座る。


 あっ、ルドルフもちゃんと同じクラスだったよ?


「さっきは聞きそびれちゃったんだけどさ、シエロ君、妖精さんが見えるの?」


 席に座った途端に、ブロンデがそんな事を言ってきた。


 兄さんの自慢話の取っ掛かりも確かその話しだった様な…。


「うん、そうだよ?後さ、呼び捨てで良いよ?」


「だってシエロ君は貴族様だし、プロクス様の弟さんだし…」


 【様】になってる!?



「何で様付けなんだよ!お前おもしれー奴だなぁ?うちの兄ちゃんも、プロクス兄ちゃんの事呼び捨てしてるぜ?こいつん家、あんまりそう言う事気にしねーんだってさ」


 ケタケタ笑いながら、ルドルフが突っ込みを入れてくれる。


 よく妖精には突っ込みを入れられるけど、人族の突っ込みは貴重だから有り難いね(笑)


 でも、ルドルフの言うとおり、うちの家系ってあんまり細かい事気にしないんだよね?


 辺境伯ってくらいだから、礼儀作法とか、敬語の使い方とかは結構厳しくて細かく習ったけど、案外相手には求めないと言うか、緩いと言うか…。


 だから、あんまり気にしないで欲しいんだよね?


 そんな事を噛み砕いて説明すると、ブロンデも分かってくれたみたいだ。



「で、話しを戻してさ、妖精が見えるって話し何だけど…」


「おう、俺も聞きたい、聞きたい!」


 何で質問してきたブロンデよりもルドルフの方が食い付いて来ているのか…。


 ちょっと迫力に負けそう(笑)


「僕、生まれつき妖精の姿が見えるんだ。話も出来るよ?ね?ブリーズ、クレイ?」


『ね~?』


『んだなぁ~♪』


「えっ?此処にいんのか?」


「本当?凄い凄い!!」



 とは言っても、2人にはブリーズ達の姿は見えないし、声も聞こえていないので、あらぬ方向を見ている。


 う~ん、お祖母さんが昔使ってくれた【感覚共有】の魔法をもっと手軽に使えたら良いんだけど…。



《ガチャッ》


「何処でも良いから席につけー。」


 どうしたら、2人にも妖精の姿を見せられるのかを考えていると、教室の扉が開き、大柄な男性が入ってきた。


 2m以上はあるな…。


 でっけー。


 僕らは最初から座っていたけれど、他の生徒は急な大人の登場に、慌てながら席に着いていた。


「よし、席に着いたな?これから、君達の入学式が始まる。もう少ししたら、講堂に移動するので、教室から出ずに待っている様に!いいかな?」


「「「「「はーい」」」」」



 皆とは初対面な筈なのに、子供特有のシンクロ率で息のあった返事を先生に返す。



「よし!良い返事だ♪それでは時間まで、先生から君達にお知らせする事がいくつかあるから、良く聞いている様にな?」


 ガタいが良い割に、可愛い話し方をする先生だ…。


 いや、6歳児に話すんだから、分かりやすい様にってなるとこんな話し方になるかな?


「では―――」



 ユーモアたっぷりな先生の話しは、聞いていて飽きない様にする為の処置だとは思うけど、長かったので、簡単にまとめてみた。



① 入学式には、クラス毎に並んで移動する。


② 入学式から帰ってきたら、今度は寮の部屋割りを決める


③ 部屋割りが決まったら、実際に寮へ移り、先輩や先生の指示に従う



 今日する事はこのくらい。


 本格的な授業は明後日からで、明日は自己紹介や、学園の内部を見学するそうだ。



 何だか、学校っぽくなってきたね(笑)



「それでは、先生からは以上だ。入学式の時間も迫ってきた事だし、廊下に並びなさい。先生が名前を読み上げるから、男女一列ずつ、真っ直ぐ並ぶんだぞ~?」


「「「「「はーい」」」」」




 よし、やっと入学式だ!!





遂にシエロにも弟仲間が増えました(笑)


本日も読んで頂き、ありがとう御座いました。



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