六十五話目 僕の記憶が…な日
11月18日の更新です。
今回少しグロ注意な部分が御座います。
ご注意下さい。
短めなので、本日はもう一本更新致します。
ここは、3人の女神様が住まう、白亜の神殿。
荘厳な見た目に反し、中は結構庶民的で快適そうな…。
お宅訪問番組じゃないから、この辺で割愛(笑)
行方不明だったはずのブロナー様は、実は神殿の中に居て、世界中に散らばる【悪の波動】を監視していたらしい。
姿を消したのは、自分の力が動いているのを、悪の波動を放出し続けているやつにバレない為。
「悪の波動を放出し続けている奴、とは、一体誰何ですか?」
「あれの正、体を話す前に、君の、記憶を戻す。覚悟して…」
えっ!?そんな急に!??
覚悟なら、とっくにしていたつもりだったけど、いざとなると気持ちが揺らいでしまう。
無くしたままで良い記憶何てある訳ない、という気持ちは変わってないけど…。
どうしても怖じ気づいてしまうのも事実で…。
「やっぱ、り…。いらない?」
「いります!!お願いします。僕の記憶を元に戻して下さい!!」
あっ。
ブロナー様の言葉に反射的に答えてしまった…。
「分かっ、た」
やっぱりちょっと待って!
そう思う間もなく、眩い光が僕を襲った。
――――――
ゆっくりと、目を開ける。
数度のまばたき…。
周囲を見渡すと、シルビアーナ(・・・・・・)以下3人の女神の姿が視界に入る。
「気分はどうだ?」
大丈夫、問題ないよ?
「そう、良かったわ?でも、今度は自分の口で話せるでしょ?」
「あぁ、そうだった…。さっきまで普通に話してたくせにね?ついやっちゃった…」
頭の中の、欠けたピースがピッタリと嵌まって行ったのを感じる。
あの日…。
僕に何があって、どうなったのかも…思い出した。
「では、正常に記憶が戻っているか、確認してみよう」
「わた、しの術は完璧だった…。たぶん、大丈夫な…、はず」
「君は誰だ?」
シエロ・コルト…。
前世での名前は木戸宙太…。
「君のあだ名は?」
―――言わなきゃ駄目?
あっ、そう?
分かったよ…。
女子より女子力が高い宙子ちゃん…。
長い?知らないよ!?
同中の吉岡に言ってよ!!
「年はいくつ?」
今日で5歳…。
前世では26歳まで生きたよ。
「君は何故死んだ?」
あの日…。
ナンパしてきた奴が、僕を逆恨みして…。
それで…。
鼓動が速くなる。
ご自慢の真っ赤なスポーツカーで…。
息が全速力で走った後の様に上がる。
僕をハネた…。
一度だけじゃなくて、何度も何度も…。
僕をひく瞬間に見た、運転席のあいつの顔が甦る。
僕の、胸から下が…。
「もう良い、分かった…。君の記憶が正常に戻った事を確認した」
「お疲れ様、さぁ、心を落ち着けるお茶よ?ゆっくり、飲んで?」
スカーレットが、僕の前に新しい木のカップを差し出してくれた。
カップから、爽やかな新緑の香りが立ち上り、早鐘の様に鳴っていた鼓動が、少し静まる。
「ありが…とう」
「どういたしまして♪ごめんね?本当だったら、前世の記憶何て消去しても良かったのに、辛い思いをさせてしまったわ?」
スカーレットの言う通りに、ゆっくりとお茶を啜る。
鼻から抜ける優しい香りに、強張っていた体中の力が抜ける。
「ふぅ…。大丈夫。僕が望んだ事なんだから…」
スカーレットの淹れてくれたお茶のおかげで、大分気持ちが落ち着いてきた。
はぁ~。
やっと一息つけた気がする。
「さてと、記憶が戻ったら色々教えてくれるって話しだったよね?」
「そう。はじ、めから教え、てあげる…」
ブロナーは、ポツポツと話し始めた。




