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六十話目 洗礼の儀とステータスカード



「此方が待合室でございます。お荷物と、お付きの方は此方でお待ち下さい。洗礼をお受けになるお嬢様と、ご家族の皆様は洗礼の間までご案内致します」



 4年前にも聞いた台詞を、一語一句、少しも間違えずに言い放ったシスターは、あの時と同じ人だった。


 待合室の中もあの時と一緒。

 唯一違うのは、ここに残るお付きの人が、ジュリアさんの他にもう1人居るって事かな?


 もう1人のメイドの名前は【ピーナ】

 彼女は豚の獣人さんで、いつも無表情なジュリアさんとは違い、常にニコニコしている。


 ぽっちゃりとした魅惑的な体を持っていて、彼女の胸に一度でも抱かれた事がある子供は、彼女に逆らえなくなる。


 彼女に嫌われれば、もう抱き上げて、抱きしめてはもらえなくなる。

 と、本能的に察するからだ。

 かくいう僕も、彼女の信者の1人である事は言うまでもない。


「シエロ坊ちゃん、頑張ってくださいね?」


「うん、頑張ってくる!!」



 ここで、何を?等と聞いてはいけない。

 彼女の天然さ加減は半端な物ではないのだ。

 たぶん、今日も何か勘違いをしているに違いないのだから。



 少し談笑をした後、ジュリアさんと、ピーナに見送られて、僕達は待合室を後にした。



 ん?一語一句一緒…?


 あっ!!誰がお嬢様だよ!?

 普通に流しちゃったじゃん!!


――――――


 シスターに案内されて、いよいよ洗礼の間へと辿り着く。


 あ~、何かドキドキしてきた。


 洗礼の間に入ると、部屋の中央にはテーブルがあり、お姉さんの洗礼式の時にも見た、大きな水晶玉がのっていた。


 そして、水晶玉の隣に、何やら準備をしている神父様の姿もあった。


「クラレンスよ、今日は我が孫、シエロの洗礼の儀をしてもらう為にやって来た。今日は宜しく頼む」


「アーサー様、お久しゅうございます。本日は、シエロ・コルト様の洗礼、おめでとうございます。誠心誠意、儀式を執り行わせて頂きます」


 相変わらず、祖父さんを避けている様にも見える、クラレンス神父。

 今の台詞も、凄い早口に聞こえたし…。


 祖父さんとの挨拶が終わると、いや、終わらせると、此方へ早足でやってきた。


 何故そこまで祖父さんを嫌う?



「シエロ・コルト様、でいらっしゃいますね?」


「はい、シエロ・コルトです」


 僕が名乗ると、一瞬、神父様の目が怪しく光った。


 なっ、何?


「私は、この教会の神父をさせて頂いております。クラレンスと申します。本日は、宜しくお願い致します」


「こちらこそ、よろしくおねがいいたします。クラレンス神父様」


 何事もなかったかの様な笑顔で自己紹介をする神父様には、さっき見た様な、剣呑な怪しい光はどこにもなく、少し胡散臭い笑顔だな…、と言う感想しか出てこなかった。


 祖父さんを嫌うのは何故か?とか、聞こうかとも思っていたが、それも吹き飛んだ。


 今の目は、本当に何だったの?



「それでは、シエロ様は此方へ…。これより洗礼の儀を始めさせて頂きます」


 若干の怯えと、多少の警戒心を抱きながら、水晶玉越しに、クラレンス神父と対峙する。


 前回のお姉さんの時とは違い、早く水晶玉に触れなさい、早く結果が知りたいとでも言いたげな表情をしていた。


 本当に何?この人変なんですけど!?


 早く早く、と何度も促されるため、叫び出したくなる衝動を何とか抑えながら水晶玉に手を置いた。



 あの時見た様と同じく、虹色の眩い光が水晶から溢れ出し、僕の手を上下に動いて解析を始めた。


 暫く一定のスピードで上下に動いていた虹色の光の動きが止まる。


 お姉さんの時は、青い光が部屋中を覆い尽くしたんだったよなぁ…。


 何て事を、思い出した次の瞬間。


 黄金色の光が、この部屋だけでなく、教会全体を覆い尽くし、輝き始めた。


 教会の外で、掃除をしていたって言う、若い方のシスターが後に語っていたので、間違いはないだろう。


 余りの眩しさに、一瞬怯んだものの、改めて周りを見渡してみる。


 お姉さんの時は、南国の遠浅の海底みたいな感じだったけど…。


「うわぁ…」


 思わず、声が漏れる。


 部屋の中は、まるでプラネタリウムの様になっていた。


 薄暗い空に輝く、数多の星々。

 その中に、4つの大きな星が浮かんでいた。


 甘夏くらいの大きさの茶色い星に、晩白柚(ばんぺいゆ)くらいの大きさの黄緑色の星と、黄色の星。


 そして――、僕の顔に影が出来る。


 バランスボールくらいある、白い色の星が目の前を通過して行ったからだ…。


 でっけぇ…。


 素直にそんな感想を抱く。


 いや~、お姉さんの時がああだったから、僕の時はどうなるのかと思っていたら、こうきたか~(笑)


『しえりぉ~、体のなきゃ、かりるふぁりょ~?』


 はっ?


『ブリーズちゃんたら、思いっきし黄緑色の玉さ、ぶっつかっちゃったんだ~。したっけ、こんなに魔力酔いさしっちまってぇ~』


 えっ?

 あれにぶつかるとこうなるの?

 何それ怖い!?


『アクア達も、ルーメンちゃんの時にああなっただろ?ルーメンちゃんの場合は、部屋の中全部に魔力の波が広がっていたから、まだ薄まっていたけど…』


『ブリーズちゃんは塊がぶっつかっちゃったがんなぁ?シエロの魔力の濃さが、変なとこさ出たんだべか?』


 うわぁ~、取りあえずフラフラしてて危ないから、悪いけどクレイ、僕の中に一緒に入って看病してあげて?


『はいよぉ~、さっ、ブリーズちゃん、行くよぉ~?』


『にゃはははははははははは…』


 ケタケタ笑い続けるブリーズに、一種の狂気性を感じた…。


 笑い上戸ってやつか…。


『あんなブリーズ、始めてみた…』


 うん…。

 マジで怖かったね…。


『そうだね…』



「むむぅ…。何とも面妖な空間じゃのう…。この玉は何じゃ?」


 あっ、ブリーズの壊れっぷりで、僕の不思議空間が台無しになっちゃってたけど、まだプラネタリウムに似た空間は続いていた。


「夜空の星を、間近で見ているかの様ですわねぇ…。綺麗ですわ…」


 お母さんがウットリと周囲を見渡している横で、何時にも増して恐ろしい顔をした祖父さんが茶色い玉を観察している。


 鬼瓦を通り越して、外国にある悪魔か、ガーゴイルの彫像みたいになっちゃってる。


 マジでこえぇ…。


 ブリーズとはまた違った狂気性を感じる…(震)



 暫く、家族で思い思いの時間を楽しんでいると、急にパッとプラネタリウムが消えた。


 えっ?

 お姉さんの時みたいに、ジワ~って消えて行くもんだと思ってたから、一瞬何が起こったのか分からなかった(汗)


「あら、消えてしまいましたわ?ふふっ、そう言えばプロクスの時もこんな感じでしたわね?アナタ」


「そうだったねぇ。はぁ、それにしても不思議な空間だったなぁ…」


 あっ、お兄さんの時もこんなだったんだ…。

 ちょっと安心(笑)


 それにしても、お父さんはあの空間を気に入ってくれたみたいでちょっと嬉しい…。


 あっ、空間魔法とか使えばプラネタリウムとか作れそうだよね?


 今度作ってみようかな?



「シエロ様、貴方のカードが出来ましたよ?」


 えっ?あっ、すいません。


 神父様の事、すっかり忘れてた。


 あっ、ステータスカード出来た?

 うわっ、色々あの数分で有りすぎて、今までにないくらいテンパってる(焦)



 ビークール、ビークール…。

 ひっひっふ~、ひっひっふ~。


 よし!大分落ち着いたぞ!!(混乱)


 神父様に改めて向き直る。


 さっきまでの早くしろ感は無く、穏やかな笑顔で僕を待っていてくれていた。


「落ち着かれましたか?それでは、どうぞ?貴方のステータスカードです。シエロ様に、女神様のご加護があらんことを…」



 震える手を何とか抑え、神父様からステータスカードを受け取る。


 あ~、見るのが怖い…。



 よし、いざっ!!


シエロ・コルト


性別:男

年齢:5歳

level:6

種族:ヒューマン

魔法属性:光・空間・風・土

所属:無し

スキル:魔力制御(Lv.5)、魔力回復(Lv.5)、土操作(Lv.4)、回復魔法(光:Lv.3)、空間把握(Lv.3)、風操作(Lv.3)、ヒューマン言語(Lv.2)、

加護:女神達の寵児

シルビアーナの加護

スカーレットの加護

ブロナーの加護


風妖精の寵愛、土妖精の微笑み


 ステータスカードには、そう書いてあった。




 あはは、【加護】の欄、ヤバい臭いがプンプンするぞぉ~(笑)




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