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五十一話目 スパーク君とプロクスお兄さんの日




 妖精を視ることが出来る様になるという魔法をお祖母様が皆にかけてくれました…。


 だけど……。



 何で僕は何も変わらないの!?


『あのねぇ、シエロは元々私達の姿がハッキリ見えてたじゃないの…。それ以上何を見るつもりなのよ?』



 はっ!?


 盲点。



『おいおい』



 あっ、ブリーズさん!そんな目で見ないで!?



「シエロちゃんには、こんなにハッキリと妖精の姿が見えていたのね…。着ている服の皺まで見えるだなんて…」



「お義母様は確か、妖精の持つ、色で見分けてらっしゃるんでしたよね?」


 ん?お母さんとお祖母さんが何か話してるけど、はしゃいじゃってるお姉さんが横にいるから、何も聞き取れない…。


 お姉さん、ちょっとシー!



「えぇ、そうよ?だから、妖精達がこんなにも可愛らしい顔をしているなんて、知らなかったわ…」



「おかあさま!おばあさま!!わたしのまわりにもようせいさんいるー!」



 あれ?いつの間にかアクア達も戻って来てたんだね?


 プロクスお兄さん居るけど、大丈夫なの?



『うん、ルーメンがそばにいるから~』


『だいじょうぶ~』


『かっこ、こごえ~』


 わざわざ口で括弧って言わなくても分かるよ。

 何で小声なの?


 静かにしてほしいのは、ルーメンお姉さんの方なんだけど…?



『いまは、かんかくきょうゆうちゅうだから~』


『ぼくらのこえ、みんなにもきこえるから~』


『スパークくんと、プロクスにーにもはなしができるね~☆』


 えっ!?それ、本当?


 あっ、そうか。

 視覚だけじゃなくて、五感全てを僕のものと共有してるから声も届くのか…。



 スパーク君!今の話し、聞こえてた?

 お兄さんと話しが出来るんだって!!


 すると、スパーク君は惚けた様な顔をして此方の方を向くと、小さく震える声で、『聞こえてた…』と返してくれた。



 頑張れ、スパーク君!


 じーっと見つめるだけじゃなくて、お兄さんも何とか言ってあげてー!?



『僕は、スパーク。火の妖精です。いつも、君の側、います…』



 あっ、こりゃ駄目だ…。


 ガチガチすぎる…。


 スパーク君は、お兄さんに自分を見てもらえて嬉しいのと、緊張してるのがないまぜになっているらしくて、今にも泣きそうな顔になっていた。


 大丈夫、一回落ち着いて!

 深呼吸!深呼吸!



『うっ、うん。すー、はー』



「君が、ぼくをいつも守ってくれるようせいさんですか?ぼくはプロクス・コルトと言います。よろしくおねがいします」



 スパーク君が深呼吸をして、気持ちを落ち着け様としていると、プロクスお兄さんがニッコリ笑って自己紹介をし始めた。


 そうだ、お兄さん、目が悪いんだった…。

 スパーク君が深呼吸してるのも、良く見えてないのかもしれない。


 スパーク君、もっとお兄さんに寄ってあげて?


 顔を、良く見せてあげて?



『うん、ありがとうシエロ君。プロクス君、僕からも宜しくね?』


「はい、スパーク君、よろしくおねがいします!」



 緊張でやや頬を赤く染めながらも、お兄さんの顔の前まで飛んでいったスパーク君は、今度こそ無事に、挨拶を交わす事が出来た。


 スパーク君、君の考えとはちょっと違ったけれど、お兄さんと話しをする事が出来て、本当に良かったね?


 あっ、ヤバい、あんまり嬉しくて鼻の奥がツーンとしてきた。


 るっ、ルーメンお姉さん達はどうなってるかな?



『ぼくたちアクア~』


『みずのようせいだよ~?』


『こんにちは~』


「ようせいさん、こんにちは!わたしのなまえはルーメンです。」



『ルーメン』


『ルーメン』


『ルーメンちゃ~ん』


 あっちはあっちで楽しそうだなぁ…。


 お姉さんも、その周りをグルグル飛び回るアクア達も、皆嬉しそうに笑っていた。



 あぁ、この光景が日常的になればいいのに…。


 そうしたら、スパーク君達だってさ…。



『そうねぇ…。私も、そう思うわ…』


『んだなぁ…』




 楽しそうにはしゃぐお姉さんとアクア達。

 そして、漸く緊張が解けたスパーク君と、プロクスお兄さんが話し合っている姿を、僕達は魔法が解けてしまうまで、ずっと見つめていた…。






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