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五十話目 魔法に感激した日



 遂に妖精が見えている事が家族にバレました。


 今僕は、お父さんと祖父さんを除く家族達に囲まれています。


 原因はお祖母さん。



 さっき言っていた、「じゃあ見てみる?」って一体どういう意味なんだろう…。


 ブリーズさんも、スパーク君も、そんな魔法知らないって言うし、何故か僕はベッドに戻されるし…。


 お祖母さんは指示を出すだけで、少しも説明してくれないし…。



「よし、準備は整ったわね♪じゃあ貴方達に、シエロちゃんの見ている世界を体験してもらうわよ~?」



 あっ、遂に何か始まるらしい。

 でも、僕の見ている世界ってどういう事?



「おばあさま?どうやって、シエロの見ているせかいを見せていただけるのですか?」


「ウフフ、良い質問ね?プロクス~?流石お兄さんだわ♪」


 うん、僕もそう思う!


 流石プロクスお兄さん!

 そこに痺れる憧れるぅ~!



「えへへっ」


「ウフフ、いい?プロクス、ルーメン。これから私はね?貴方達に魔法を掛けます。どんな魔法かは、見てのお楽しみよ?」


「「は~い!」」


 2人は揃って右手を元気よく挙げてお返事した。


 ん、良いお返事だ☆



「お義母様、どの様な魔法演算式を使うのですか?」


「ンフフ、それも内緒ね?見てのお楽しみよ♪」


 魔法の、演算式…?


 って何?



『えっと、人族が私達みたいに魔法を操る為に、編み出した方法だったはずよ?属性魔法とも違う魔法だ、って聞いた事があるわ?』



 へぇ~、そんな方法があったんだ…。


 演算式、か…。

 僕、数学苦手だったんだよなぁ…。


 大丈夫かな…。


『すうがくっちゅーのが何かは知んにーけっじょ、シエロ君ならさすけねぇべ?』


 そうかなぁ…。


『演算式の話しも良いけどさ、見なくて良いの?詠唱始まるみたいだよ?』



 うぉお!ありがとうスパーク君。


 魔法を見るなんて、初めての事だから、しっかり見ておかなくちゃ!!



『いつも自分のを見てるじゃない?』


 んー、あれは何となく違う気がするんだよね…。



「ではいくわよ~?《目に映らぬ狭間の住人達よ、声の届かぬ幽なる存在の者達よ》」



 お祖母様が呪文の詠唱を始めると、黄色と青色の眩い光がビロードの布の様に、お祖母様の周りを漂い始めた。


 時にお祖母様の体を包み込む様に、時に自分の起こした風にたなびく様に舞い踊る…。


 ビロードの布から零れ落ちた光の粒子が、キラキラと絨毯の上に落ちて弾けて消えた。



「《我が愛しき子供達、その姿、声無き声を、我が元に届け給え。我、エリザベート・コルト。愛しき子供達の姿を映す者なり…。》」



 ん?


 お祖母さんの手から伸びるビロードの光が、僕にも絡みついてきた。


 あはは、一瞬焦ったけど、ちょっと楽しくなってきた(笑)


「《我が孫、シエロ・コルトの目に映る世界を、この部屋に集いし者達にも与え給う…、感覚共有》」



 いつまでも見ていたいほどの幻想的な空間は、唐突に終わりを告げた。


 お祖母様が、最後の言葉を紡ぎ終えた時、全てが弾けた。


《シャンッ》


 軽やかな鈴の音が聞こえた気がする。


 するとその瞬間、眩いほどの光が放たれた。


 一瞬たりとも逃すものか!とガン見していた僕の視界が真っ白になる。



 なっ、何も見えない!?


『あぁ~あ~、落ち着いて?ほらっ、ゆっくりまばたきしてごらん?』


 うっ、うん…。


 言われた通りに、ゆっくりと数回まばたきをする。


 あっ、まだぼやけるけど、ちょっと見える様になってきた。


 ありがとう、ブリーズさん。


『どう致しまして、大丈夫?』


 うん、何とかね…。

 あっ!魔法は?成功した?


『どうかしら、誰も反応しないのよね…』



「あーー!シエロのとなりにようせいさんがいるーー!!」


 うぉ!?ルーメンお姉さん、耳元で叫ばないで!?


 耳痛ってー!!


「ルーメン、そんなシエロのそばでさけんだりしたらシエロがびっくり…、する、よ?」


 ん?お兄さん?


 ルーメンお姉さんを優しく注意してくれていたと思ったプロクスお兄さんの動きが止まる。


 目線の先にはスパーク君が居た。



「ようせいさん?ですか?」



 大好きなプロクスお兄さんに声を掛けられたスパーク君は、感激の余り声も出せない様だ。


 壊れた人形の様に、何度も何度も首を縦に振っている。


 うんうん。

 スパーク君、良かったねぇ…。


 君が本当に嬉しそうで、僕も幸せな気持ちになるよ。



 あれ?僕…?

 そういえば、僕はこれと言って何にも変わらないよ?



 どういう事?



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