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四十二話目 お初にお目にかかります。な日



 ご無沙汰しております。

 前世のお父さん、お母さん。

 僕は、久しぶりに視線の暴力に晒されています。



 魔力切れを起こした次の日。

 いつもの様に目覚めると、僕を覗き込んでいる【鬼】がいました…。



 お兄さん何か目じゃないくらいの厳つさと、恐ろしさを兼ね備え、キリリと吊り上がった茶色の瞳。


 地獄の針山にも似た銀色の短い髪の毛。


 頑固そうにへの字に折れた口。


 そして、2m近くありそうな長身で、服の上からでも分かるくらいのゴリゴリの太い筋肉を持つ身体。


 そんな、地獄の番人を体現したオジサンが、僕をガン見していた。


 何この人!?

 寝起きに見ちゃいけない顔してない!??


 明らかに心臓がキュッていったよ?


 一瞬止まることも覚悟したよ?


 余りの恐ろしさに固まっていると、隣から【子鬼】も顔を出した。


「シエロ、おきたの?おはよう~」


 あっ、何だお兄さんか…。


 あ~、お兄さんの顔を見たら、ちょっと落ち着いたかも。



 お兄さんおはよ~。


「あお~」


 いつもの様に、両手をお兄さんに伸ばして笑顔でご挨拶☆



 ところでお兄さん、この鬼は誰ですか?


 鬼じゃなかったら、ガーゴイルとか、オーガでも良いよ?


 何にせよ、何で魔物が家の中に居るんですかねぇ?


 あっ!もしかして隣に居るのが見えてない訳じゃないよね?



「シエロ~、おじいさまが来てくださったよ?ごあいさつした?」


 僕の意思を汲み取ってくれた訳ではないだろうけど、僕が一番聞きたかった事をお兄さんが教えてくれた。



 えっ?っていうか…。


 えっ!?


 これがお祖父さん!??


 これが?


 えっ?魔物じゃないの!?


 マジか~…。


『マジ見たいよ?さっきから見てたけど、プロクス君が凄い嬉しそうな顔をして、色々と説明していたわ?』


 あっ、ブリーズさん。

 おはよ~。


『はい。おはよう。目は覚めた?』



 ふわふわと、僕の周りを飛んでいたブリーズさんが、僕の枕元に降り立ちながら挨拶を返しくれた。


 そのまま、僕の顔を覗き込み目が覚めたか聞いてくる。



 寝起きにあんな怖い顔見たら、眠気なんて吹っ飛んだよ。


 吹っ飛びすぎて、ちょっとあの世に逝きかけたけどね。


『危なかったわね…。生きててくれて良かったわ』


 うん、ありがとう。


 あれ…?

 そういえば他の皆は?


『私はここさいるだよ~?』


 あっ、クレイさんおはよ~。


 いつの間にか僕の横に来ていたクレイさんが、ブリーズさんとは反対の方から顔を出した。


『おはよ~さんな~?アクア達はルーメンちゃんの所さ行ったよ~?』


 じゃあ、スパーク君はプロクスお兄さんの所?


『んだよ~?今、お祖母さんが来てるからって、皆宿主の方さ行っちまったんだ~?』



 ???


 えっと、どういう事?

 話しが全く見えないんですが…?


『貴方達のお祖母様、少しだけだけど、私達の姿が見えるみたいなのよ。この間まで一緒にいた妖精がいなくなったら可笑しいでしょ?』



 へぇ~、お祖母さんも見える人なんだね?


 ん?でも少しだけってどういう事?



『見えるって言ったって、シエロみたいに私達の服の造りまで見えてる人はそうそういないわよ?』



『お祖母さんには、私達が光の玉みたいに見えるらしいだよ。』



 光の玉かぁ~。


 じゃあ、ブリーズさんや、クレイさんの顔は分からないんだ?

 ん?それで妖精の種族とかって、見分けられるの?



『持ってる色は見えてるみたいよ?さっき廊下を飛んでたら、「あら?風の妖精ね?」って声をかけられたから』


 あぁ~、なるほど。


 色か…。


 それなら水の妖精や火の妖精が近くにいたはずだって分かるよね。



「シエロ~?おじいさまがシエロにおもちゃをもってきてくださったよ?ほら~」


 ん?

 お兄さんどうしたの?


 オモチャ?


 えっ?


 目の前には凄い高そうな【ガラガラ】を持ったお兄さん。


 ガラガラには、全体的に細かな細工がしてあって、一面にドラゴンの透かし彫りが施されている。


 こんな赤ん坊のオモチャに、こんな高そうな工芸品を!?


 かっ、金持ちのやる事は違うなぁ…。


「はい。シエロ~?もってごらんよ」



 いやいや、持たせないで?


 こんな高そうなガラガラ持つの怖い!怖いから!?


 お兄さん、やめて~~~!!!





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