三十六話目 色々な話しを聞いた日
庭から帰ってきた後、お母さんから昼ご飯(苦)を貰った。
今僕は、いつもの服に着替えて、ベビーベッドに転がされている。
僕のご飯が終わると、今度は他の家族の食事の時間らしく、全員で部屋から出て行ってしまった。
ジュリアさんが相変わらずガン見してるから1人ではないけどね…。
部屋の隅に立ち、気配を消しつつ、此方の様子を窺われているのはとても怖い。
ついジュリアさんが居るのを忘れて、そっちを見たときの心臓がヤバい。
『あっ、そうだ。シエロ君、何か聞きたいことがあったんじゃなかったっけ?』
あっ、そうそう。 剣術の稽古と、ジュリアさん見るのに夢中になっててすっかり忘れてたよ(笑)
あのさ、妖精が精霊になれるって話しは昨日聞いたけど、精霊になったら姿形が変わっちゃったりとかするの?
ポ○モンみたいにさ…(小声)
『ぽけ…?』
あぁ~、お気になさらず。
で、どうなの?
『そうねぇ…。見た目がガラッと変わるのと全然変わらないのと両方いるわね』
『そうだね、アクア君達何かは特に見た目が変わるかもしれないね』
へぇ~、あの水滴に顔が付いたみたいな見た目のアクア達が、どんな風に変わるのか結構興味あるなぁ~。
『かわいくなるよ~』
『びじんだよ~』
『がったいはしないよ~』
あっ、アクア、お帰り。
今までどこ行ってたのさ~。
窓から揃って入って来たって事は外にいたんだろ?
僕達もさっきまで外に居たのに会わなかったね?
『私を手伝ってもらってたんだよ~?』
クレイさんもお帰りなさい。
手伝うって何を?
『昨日シエロ君さ、凄いご馳走もらったからね~。この辺の大地に栄養をお裾分けばしてきたんだ』
『えいようあげたら~』
『たっぷりおみず~』
『もりができるね~』
『あはははは。森を作るならスプラウトちゃん達にも手伝ってもらわねばね~?』
んー。また新しい名前が出てきた…。
そろそろ覚えきれるかが不安になってきたな。
『スプラウトは、樹とか花の妖精よ?このお屋敷の庭にも居たわ』
ふーん。
あれ?うちの庭にも居たの?
一昨日も今日も会わなかったけど…。
『プロクスくんこわ~い』
『くさもはなももえちゃう~』
『やまかじ~』
あっ、ナルホド。
ですよね~?
普通は消火担当の水の妖精でさえ怖がるのに、樹の妖精が逃げない道理はないよね。
『スパーク君の事は平気なのにね~?』
『僕は、あの子達に近付くときはなるべく、火力を落としてから行くから』
つまり、プロクスお兄さんの火力が異常だって事だよね。
そうだ、いつから魔力制御の訓練って始まるのかな?
誰か知ってたりする?
『あっ、ルーメンちゃんの洗礼式のすぐ後から始めるって。この前、プロクス君にリーベさんが言ってるのを聞いたよ』
そっか…。
魔力制御の訓練が始まれば、アクア達が一々逃げなくても良くなるかな?
『そうねぇ、あの兄妹って、やたらと魔力量が多いからすぐには無理なんじゃない?』
んー。
魔力量が多いって聞いてから少し羨ましかったんだけど、そんな事聞くと、量が多いのも結構大変そうだね?
『んだね~。したけど、私達からしたらシエロ君も大概なんだけんじょね~?』
そうかな~?
『そうよ?量が多いのを制御したり減らしたりするのは難しいけど、濃度だったら比較的簡単に変えられるじゃない?』
薄めたり、逆に濃くしたりって事?
『そうそう。少しの量に見せかけて、超濃度の魔力で魔法を放ったとするじゃない?確実に相手の油断を誘えるわよ?』
『確かに、人族の目じゃ量は測れても、濃度までは見抜けないから、凄い効果がありそうだね』
へぇ~、じゃあ、ある意味目立たなくてすむかもしれないね?
『あら?シエロ君は目立ちたくない人なんだべか?』
そりゃあね?
変に目立って余計な事に巻き込まれたくないし。
なるべく目立たずに生きていたいっていうか…。
『妖精が【見える】ってだけで目立つわよ?』
んー。
なるべく見えないふりをするとか?
『えー?ぼくたちのこときらい~?』
『シエロにきらわれた~』
『いやだ~』
あぁ、ごめん。
違うよ?そういう意味じゃなくてさ。
んー、何て言ったらいいのやら…。
『冗談よ。またシエロからかわれてるの。』
『バレた~』
『バラされた~』
『めだちたくないのわかってた~』
くっ、また騙された。
悔しいから、求む!妖精に騙されない方法!!