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三十話目 また1人増えた日



 僕が持っている色の、最後の1色。

 茶色から出て来たのは丸い【玉】でした。



『何これ?玉…?』


『結構固いね?これ…』



 僕の手の中にある、淡く光る灰色の玉を交互につつく妖精達…。


 みっ、見えない…。



『なんだこれ~』


『たまだ、たまだ~』


『たまのようなおこさまだ~』


 あっ、こらアクア!顔を擦りつけるんじゃありません。


 そこのアクアは舐めるんじゃありません!


 もう!僕にも見せてよ、触らせてよー!



『えっ?あぁ、ごめんごめん。でも、これ何かしらね?確かに土属性の力を感じるんだけど…』


『う~ん。陶器ってやつにも似ているけど…』


 妖精達に一度退いてもらって、改めて手の中にある玉を検証してみる。


 灰色のその玉は、スパーク君の言うとおり、若干陶器にも似た質感をしていた。


 んー?あれ?どっかで見たことあるぞ?これ?



 …………。


 あーーー!!!



『なっ何!?どうしたの!??』


『びっくりさせないでよ~!?』


 あっ、ごめんごめん。


 ま、まぁ、何とか口に出して叫ばなかっただけ、偉かったと思ってよ。


 それでさ、これが何なのか分かったんだよ。



『うん。それはまぁ、何となく察せたけれど…、それで?これ何だったの?』



 これさ、【泥だんご】だよ。


『泥だんご?』


『これが泥?』



 さっきからブリーズさんとスパーク君しか反応してくれないな…、と思ったら、ちびっ子はだんごの肌触りが気に入ったらしく頬ずりするのに夢中みたいだ。

 うんうん、すべすべして気持ち良いもんなぁ…。


 分かる分かる。


 って、そうじゃないよね?


 自分で作った事がある訳じゃないから、すっかり忘れていたんだけどさ?

 これって、よーく乾燥させた土と、ちょっとの水があれば作れるんだ。



『それだけで、こんなにツルツルに作れるの?』


 あぁ…、ツルツルにするには、よく太陽にあてて乾かしてから、編み目の細かい布で団子を磨くといいんだ。



『つるつるー』


『きもちいー』


『すべすべー』


『おいしそうだべなぁー』



 ん?今何か変な声が混じってなかった?


 手に持っていたはずの泥だんごは、いつの間にかアクア達が頬ずりしながら宙に浮いていた。


 んー。

 これ、妖精が見えない人が見たら、僕から魂が出てる様に見えるんじゃないだろうか…。


 いまだに体から切り離せないから有線状態だし、怪しいかも(笑)



 で、その怪しい塊を熱の籠もった瞳で見つめる、変な生き物がいた。


 一体、いつの間に此処へ来たんだろう…。


 とは言え、此処からだと後ろ姿しか見えないけど、松ぼっくりか、みの虫みたいにしか見えないこいつは一体…何?

『あら?貴方土の妖精のクレイじゃない?久しぶりね~?』


『あ~、その可愛らしい葉っぱのポンチョは~、ブリーズでねぇか?久しぶりだなや~』



 ブリーズさんの声に反応してそいつが振り返る。



 えっ?ブリーズさんのお知り合い?


 みの虫の外側にに見えた部分はどうやら彼女(・・)の髪の毛らしい。


 そこに、てるてる坊主に顔を描きました。

 って感じの白い顔と体がはまっている。


 ブリーズさんが羽織っているポンチョとよく似た葉っぱをワンピースみたいにして着ていて、あんまりにも幸せそうにニコニコ笑っているから、つられて此方も笑いそうになる。


『で?クレイはどうして此処に?』



 おっと、そうだよ!今日1日で沢山の妖精が遊びに来てくれたから、あんまり驚かなかったけど、何で此処にいるんだろう。



『いやぁ~、いつの間にか森の住処から、このお屋敷の庭さ運ばれて来ててね~?まぁ、さすけねぇかと思っていたんだけんじょ、急にお屋敷の中から良い匂いがしたからたまらねくなってね~』



 訛りが凄いな…(焦)

 えっと…、あぁなるほど。

 ブリーズさんと同じく、この子も匂いに誘われてってクチか…。


 妖精にとって僕の魔力は良い匂いがするんだね?



『んだよ~♪こっだに美味しそうな匂いさせてぇ、我慢何かでぎねぇよぉ~』


 おっ、美味しそう?


 プロクスお兄さんに続いて、僕の魔力も美味しそうなんだそうです…。




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