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閑話 学園の七不思議

6月26日の更新です。


お騒がせ致しました。新しい機種に交換して参りました~。


勝手が大分変わってしまったので、まだ手探り状態ではありますが、どうにか更新出来そうでしたので、投稿させて頂く事に致しました。


また宜しくお願い致します。



 七不思議はその全てを探し、見つけ出してしまうと死ぬ。もしくは、どこか別の世界へ連れ去られてしまうと言う…。



「と言う訳で!七不思議探しに行こうぜ!?」


「今の流れで何でそうなるんだよ?俺達、高等科で何の教科を選択するんだ?って話ししてただろうが」


 今日も元気な6年A組のよいこ達の1人、ワンダ・ドリーがそのトレードマークの黄色い髪の毛を揺らしながら、アレックス・パブロフの背中に飛び付いた。


 一見犬族の獣人の少年の背中に、小鳥族の少年が飛び付く様と言うのは可愛らしく、見ている方を和やかな気持ちにさせてくれそうなものだが、その内容が【肝試し行こうぜ!】では…。


 もし今の会話を、彼らの担任教師であるランスロット・フェザーが聞いていたとしたならば、間違いなくワンダは2時間のお説教コースは避けられなかった事だろう。


 しかし、運が良いのか悪いのか、彼らの近くにはランスロットも、副担任であるスクルド・ヘリアンも居なかった。


 その為、少年達はワンダの言動に呆れながらも、話し合いを進めてしまったのだ。


 勿論。どうやって夜中に寮を抜け出すのか否かを。だ。



ーーーーーー


《ホルルルル。ホルルルル》


 草木も眠る、なんとやら。


 山の頂上付近にあり、森に囲まれた寮の辺りは、己の手のひらですら見えづらい程の暗闇に包まれていた。


 その闇夜の中を、夜目が利く鬼子の六条浅葱を先頭にして、同じく夜目が利くブロンデ・フォールドが。


 次いで音波で障害物の有無を見定められる、蝙蝠族のデイビッド・ロウズが続き、そして発案者(言い出しっぺ)のワンダと、結局付き合わされたアレックスの5人の少年達が、ゾロゾロと歩いていた。


 彼らは、当初の計画通り寮から抜け出すと、そのまま転移装置を使って教室棟へと向かっていた。


「本当にあそこの鍵緩くなってんだな?あんまりあっさり開いちまったから、ビックリしたぜ!」


「だろ~?さて、寮さえ抜け出せれば、後は先生達が見回りしてるくらいだからな?案外どこの棟も入りたい放題できるんだぜ?んふふ。下調べを完璧にこなした俺に隙はないんだぜ!」


 彼らは簡単に抜け出せた!と喜んでいたが、そもそも3階のトイレの窓…それも半分しか開かない様な場所から抜け出すとは誰も思い付きもしなかっただけなのだ。


 ただそれだけの事で、楽勝だと笑いながら転移装置を使って移動している辺りが子供である。


 普段転移装置が起動しない時間に動けば、誰かが寮を抜け出した!くらいの事はすぐにバレるだろうと言うのに…。


 現に、学園全ての場所を守り続けているあの【方々】にもバレていた様で…。


「「ん?誰かが寮を抜け出したようじゃの?」」


「「何だって!?……。あぁ、また6年A組のちび達か。まったく、ランスロットを起こすか?」」


「「よいよい。たまには我らで遊んでやろうぞ?」」


「「ははっ、そいつは良い考えだな?よしっ、そうしようぜ?」」


 学園内のどこかにある部屋の中で、男女の楽しげなひそひそ話しが聞こえてきたのだった。




 さて、七不思議探検隊ーー命名ワンダ・ドリー。ーーは、教室棟の5階にある、多目的ホールにやってきていた。


 この階は1階部分全てがぶち抜きのホールになっていて、昔は屋内鍛練場として使われていたらしい。


 現在は体育館が出来た為、この場所は使われなくなったが、使われなくなって久しいこの場所で、いつからか怪異の目撃情報が出る様になってきた。


「と言う訳で、第1七不思議!【踊るレイス】が目撃される多目的ホールへとやってきた訳だけど…」


 いないな?とキョロキョロとホール内を見回すワンダに、


「ワンダ殿、踊るれいすと言うのは、どの様な御仁で御座るか?」


 と口元と己の角を隠す様に頭巾を被った、黒尽くめの浅葱が声をかけてきた。


「さぁ?でも俺が聞いたのは、真っ白いドレス着て、社交場で踊るみたいにしてクルクル回ってるって話しだぜ?」


「どうでも良いよう!早く帰ろうよぉ~」


 ワンダが浅葱に噂の詳細を話して聞かせていると、後ろから今まで黙り込んでいたブロンデが、遂に泣きながら訴えてきた。


 彼はあの時、偶々トイレに起きたばかりに、抜け出す瞬間の彼らと鉢合わせしてしまい、口封じの意味も込めてそのまま連れてこられてしまったのだ。


 クラスメイト1泣き虫で臆病な彼にとって、夜中の学校程不気味で恐ろしいものは無いと言うのに…可哀想に。


 と…。


《ゆらっ》


 彼らの前方の空間が不意に揺れる。


「ひっ!?」


 思わず悲鳴を上げたブロンデの視線の先に、緩やかな曲線を描く、いわゆるマーメイドドレスを着た女?の影が現れた。


 影は、ウェディングドレスもかくやと言う程の純白のドレスを着たまま、ユラリユラリと己が体を左右に揺らし始める。


「うわっ!出た!?」


「馬鹿っ!少しは声を落とせよ!!」


 怒られた自分以上に大きな声を出したアレックスに口を抑えられたワンダは、何事かをもがもが叫びながら、指を指す。


 ワンダが指差した先には、驚いた様な表情を浮かべた、クラスメイトのアリス・ルイスの姿があった。


「何で、皆がここに居るの?」


 驚きの表情から、キョトンとした様な表情に変わったアリスが訊ねると、


「いやっ、それはこっちのセリフだから!」


 と、少し上擦った様な声のアレックスがつっこんで返す。


「え?練習だよ?」


 コテンと可愛らしく傾げられた彼女の頭から、サラサラと薄茶色の髪の毛が零れる。


「練習って何だよ?」


「人形使いの訓練の事だよ?あの子と一緒に、毎晩練習してるの!」


 【あの子】と指差された影は、動きを止め、ぼんやりと虚空を眺めていた。


 暗くてよく見えないが、目を凝らしてよく見れば、クルミボタンの目と刺繍糸で縫われた口らしきものが見える。


 顔が影の様に見えたのは、毛糸で作られた髪の毛が暗闇に溶け込んでいたからだった。


「練習って…。こんな夜中にいつからやってたの?」


「ん~。2年生の時からだから、もう4年くらいになるかなぁ?あっ!夜中にやるのは魔力の高まりが良くなるからで、勿論先生から許可は貰ってるよ?」


 顎に指をあてながら、考える様に視線を右上の方へ向けて、ブロンデからの質問に答えていたアリスだったが、急に慌てながら【許可は貰っている】と訴えてきた。


 彼女が許可を貰っているのかはこの際どうでも良いが、当然無許可で夜中の校舎内を彷徨いている少年達にとっては、とても耳が痛い話しとなった。



 何故か人形が胸を張る様な仕草をする中、少年達は苦笑いを返す事しか出来なかった。



まさかの三部作(笑)になりそうです。


本日もお読み頂きまして、ありがとうございました。


また明日も更新出来そうでしたら投稿させて頂きますので、宜しくお願い致します。



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