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二百四十三話目 決まった進路と、騒ぐ子供達の日


6月14日の更新です。


本日も宜しくお願い致します。




「では、シエロ君は裕翔達と共に冒険者になる。と言う事で宜しいですか?」


「はい。宜しくお願いします」



 進路についての希望が決まると担任との二者面談が始まり、どういう形態で就職や進学を決めていくのかを相談していきます。


 そこである程度の道筋が決まってくると、今度は親を交えた三者面談となり、卒業までのあれやこれを話し合って決めていく事になるんです。



 と言う訳で、今日僕はランスロット先生の部屋にお邪魔して、先生との二者面談をしていました。


 先の通り、これが終わると三者面談となり、卒業式までのカウントダウンが始まるのですが…。



「本来なら、何処かの信頼の置けるパーティーや訓練所をご紹介するところですが、裕翔達のパーティーが決まっている以上、私の方からは何の文句もありません。あそこはこれ以上無いくらいのパーティーですからね」


 ランスロット先生は、裕翔さんに書いてもらった書類を読みながら、満足そうに機嫌よく頷いています。


 先生が眺めている書類と言うのは、【特定の生徒を指名して引き抜きたいです】と言う内容の事が記されている書類で、要はヘッドハンティングしたい生徒がいま~す。と学園側にお伺いを立てる為の書類です。



 僕は選択しなかったけど、授業によっては外部の冒険者や、その道のプロを学園に招いて授業をしてもらう事があり、亜栖実さんや宇美彦が急に来て先生やれてるのも、この招待枠みたいなのがあるからこそなんです。


 そして、その外部の方が授業を受け持った時に、【この子良いな。うちの店、又はパーティーに欲しいな】となった時に使うのが、この書類。と言う訳。


 招いた学園側も、どうぞどうぞスカウトして下さい!!って感じで、就職先の1候補になればと推薦しているやり方だそうです。


 そして、その書類を相手側から貰うと言う事は大変名誉な事だそうで、ましてそれが勇者様のパーティーからの引き抜き書となれば…。


「こうしてはいられませんね!私は早速理事長にご報告して来ます。ではシエロ君、三者面談の予定が決まりましたらお知らせしますから、それまで少し待っていて下さいね?では、今日はこれにてお終いです。お疲れ様でした」


「えっ?あっ、あの…」


《バタン!》


 ランスロット先生は満面の笑みをたたえながら、自室から飛び出す様に出て行ってしまいました。


 裕翔さんと知り合いで、他のメンバー達ともどうやら仲が良さそうなランスロット先生でさえあの態度だ。


 はぁ、明日どうなっちゃうんだろう。


 僕は、憂鬱な明日を思い、1人残された部屋で深い深~いため息をついた。



――――――


「シエロ様、ゆっゆっゆっ勇者様から引き抜き書が来たと言うのは本当ですか!?」


「流石はシエロ様なんだな!」


「凄いです!凄いです!!」


 朝から騒がしい馬面、デブ、ネコの3馬鹿トリオに道を塞がれています。


 この日、朝食を取りに下まで降りるところから、登校するこの道のりの間にどれだけこうして道を塞がれた事か…。


 面談をしたのが昨日で、今日のこの騒ぎは本当に何なんだろうか?意図的に情報が漏らされているとしか思えないんですけど!?


「凄いですシエロ様!流石はシエロ様です!!」


 えぇい!どいつもこいつもキラキラしたお目目で進路妨害しおってぇ!!そこをどけい!!



 ………って言ってやりたいんだけど、一々そんな態度取るのも疲れるし面倒くさい。3馬鹿ならやったっていい気もするけど、後々面倒くさい。


 だから、


「ありがとうございます。皆さんの足を引っ張らない様にだけ頑張りますね?」


 と笑って返す事にした。


 寝起きくらい最初は僕も律儀に返してたけど、やっぱり朝から何遍も何遍もだから疲れた。


 嘘は言ってないから良いですよね?



『ちょっと留守にしている間にずる賢くなったわねぇ?』


『フーカちゃん。シエロは元からずる賢いべな』


『ミノリお姉ちゃん、そんな事言ったらシエロ泣いちゃいますよ?』


『ん?そりゃちげぇねな?』


『『『あははははははは』』』


 ………楽しそうッスね?


 僕は楽しそうに輪になって笑っている3匹を見ながら、教室の扉をくぐった。



――――――


「部長!勇者様に惚れられたって本当ッスか!?」


「私はウミヒコ様が部長を連れ去ったって聞いたんですが、本当だわさ!?」


「えっ?僕は勇者様のパーティーに部長が誘われたって聞きましたけど…」


 あっという間に放課後になり、久しぶりの部活だ♪とウキウキしながら部室に入ると、入るなり3人から3様の言葉を投げつけられました。


 ここでもか~。何て一瞬思ったけど、喋ってる内容がさっきまでとちょっと違っている事に気がつく。



「マイケル君は良いとして、スミスさんは誰からそんな話しを聞いたんですか?」


「あれ?私は良いの?」


「え~?あっしはサキ先輩から聞いたっす」


「部長!私は良いんだわさ?」


 スミスさんの言葉に頭を抱える僕。


 何で同じクラスのはずの彼女がそんな話しを持ってきたのかと思えば、出所は2年先輩のサキ・ウェッジストーン(腐女子)先輩だったか…。


 確か何年か前から、【そういう】サークル的なものを作ってうっすい本を量産しているって話しを聞いた事があったっけ。


 多分薄い本関係の出所は亜栖実さんだな。全く、あの人は碌な事をしない…。


「スミスさん、あの人はどうしても誰かをくっつけようと話しを盛る傾向があるから気を付けた方が良いですよ?」


「あれ?そうなんスか?サキ先輩良い人だから、シャーロットちゃんも話しを信じてたッスけど…」


 サキ先輩てめぇー!?


 何クレアさんにまで可笑しな話しを吹き込んでやがるんだよー!??


「部長!私のは良いんだわさ?明らかにふざけた噂だってばさ?」



 あー!もうどうでも言いわい!!


 皆好きにやってよ!?



 朝から騒がれ続けていた僕は、ついに爆発した。





久しぶりの腐女子(笑)の登場でした~。


あの人と亜栖実を組ませたら、世界が可笑しな方向に進化する気が…。


本日も、此処までお読み頂きましてありがとうございました。


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