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二百三十七話目 泣き出すクレアとテンパるシャーロット(注:同一人物)の日


6月6日の更新です。


少し短めですが、本日も宜しくお願い致します。




「貴方は何時間も気を失っていらしたんですのよ?それなのに、何故あんな薄ら寒い場所で一晩を明かしていらっしゃったんですか!」


「すいませんでしたー!」




 現在僕は、腰に手を当てて、怖い顔をしながら仁王立ちをしているクレアさんの前で、ビシッと……正座をしています。


 さっきから土下座をする勢いで謝り続けているのですが、クレアさんの怒りはまだまだ収まりそうもありません。


 そもそも土下座の風習がないんだから、意味も通じないだろうけどね?



「謝っていただきたいんじゃありません!私は、シエロ君が私達の為に無理をした事に怒っているんですの!!お分かりになられますか!?」


「うっ…。すいませ…。ゴメンナサイ」


 もう一度、深く深く土下座をする。


 すると、見えなかったけど、頭上のクレアさんからため息が聞こえます。


 あはは、宇美彦には怒られずに済んだけど、クレアさんには怒られちゃったな~。何て考えながら、土下座解除で正座続行のまま、クレアさんの顔を見上げてみる。


 眉間に皺は寄ってるし、ほっぺは怒りからか赤く染まっているけど、決して何処か具合が悪そうだとか、顔色が悪いとかは無さそうに見えます。


「よかった…」


 思わず言葉と共に、安堵の息が漏れる。


「え?」


 謝る以外の台詞が【良かった】だったからか、訝しんだ様な声を出したクレアさんの顔を見上げて、へらっと笑います。


「すいません。クレアさんがそうやっているのを見るのが嬉しくて…。本当に無事で良かったぁ~」


「えっ?あっ、うっ…」


 すると、僕の顔を見ながら一瞬キョトンとした後で、ボンッと音がしそうな程、見る見るうちにクレアさんの顔が真っ赤に染まっていきます。


「う゛~~~。にゅあ!」


 そしてそのまま、クレアさんは声にならない声をあげながら走り去ってしまいました。


《ばーん!ガン!》


 開かれた保健室の引き戸が、バウンドして勝手に閉まっていく程の勢いで出て行ったクレアさんの姿が次第に小さくなって行きます。はっ、はえぇ~。



「なっ、なんで?」


 保健室の床で正座したまま取り残されてしまった僕を見て、他のメンバー達がニヤニヤ笑っている。


 【良かった】にはルドルフも含まれていたのですが、何故か彼もニヤニヤの仲間に入っていて、僕の方を温かい目で見つめています。


 何だよ…。と思っていると、ニヤニヤ組に混ざっていた宇美彦が、


「まぁ、何だ?甘酸っぱ~い青春ものは腹いっぱいだから、取りあえずランスロットさんにも挨拶しに行こうぜ?ほら、あの人も心配してくれたからよ」


 と苦笑しながら提案してきました。



「あぁ、そうでしたね?シエロ様、シャーロットさんの事は私にお任せ下さい。宇美彦、シエロ様の事は貴方にお任せしても?」


「勿論良いぜ?ほらっ、ソラ行くぞ?」


「えっ?あっ、はい」


 コローレに促されたは良いけれどちっとも訳が分からないまま、宇美彦の小脇にヒョイッと抱えられる格好で、手を振る仲間達に別れを告げる間もなく、僕は保健室を後にしました。


 あ~、そう言えば今日は文化祭の後片付けをする日だったはずなのに、これってサボった形になってるんじゃないのかな?

 良いんだろうか?って言うか、クレアさんどこまで行っちゃったんだろう?



◇◆◇◆◇◆


「はぁ、はぁ、はぁ」


 いつもは決して走ることの無い廊下を、私は今猛スピードで走り抜けています。


 時折、すれ違う人が私の方を振り返って見て来ますが、そんな事に構っていられる程の余裕もありませんでした。



 昨日私は、学園に襲撃をかけてきた元先輩にあたるゾルフ・スティンガーの攻撃によって、大怪我を負わされてしまいましたの。


 その際、不覚にも気を失ってしまった様で、気がついた時にはベッドの上に横たわっていたのですが、私の横たわるベッドにもたれかかる様にして倒れていらしたシエロ君の姿を見た時には、流石の私も肝が冷えましたわ。


 混乱しながらも、周りにいらしたウミヒコ様やコローレさんに事情を伺って、冷えた肝を更に冷やしたのですが、シエロ君の綺麗な御髪が真っ白に染まっているのに気がついて、私は自分の不甲斐なさに唇を噛み締めるしかありませんでした。


 まっ、まぁ、白い御髪は時間の精霊様の【お茶目】で、実際にシエロ君の御髪は元のままだったのですけど…。



 だからと言う訳ではありませんが、シエロ君にあんな風に八つ当たり気味に、それも偉そうにお説教紛いな事をしてしまいましたのに、シエロ君から返ってきたのは、


「良かった…」


 ですもの!


 例え私だけでなくルドルフ君をも含めた【良かった】だったのだとしても、私、私!


 あ゛ー!


 あの笑顔は反則ですわーー!!



 あの柔らかな笑顔を思い出すだけで顔が熱くなり、私の走る速度は更に増していきました。


 叫びながら走り続けた私が結局止まれたのは、たまたま廊下を歩いていらしたスクルド先生と曲がり角でぶつかって転んだ時。


 ぶつかってしまったスクルド先生には本当に申し訳ない事を致しましたが、その時、私を追いかけて来て下さったコローレさんに、


「大丈夫ですか?クレアさん。貴方こそ病み上がりの様なものなのですから、あまり無理をなさらないで下さい」


 と抱き止められて、別な意味でドキドキしたのはここだけのお話しですの。



◇◆◇◆◇◆



「お~い…。2人の世界のところ悪いが、先生の心配はしてくれないのか~?」


 6年A組副担任、スクルド・ヘリアンは廊下の中心で少し泣いた。





タイトルの通りになったでしょうか…。


テンパるクレアさんは可愛いなぁ(親馬鹿)



本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。


さて、またまた明日はお休みさせて頂きます。


本当に休んでばかりいて申し訳ありませんorz


また明後日には更新致しますので宜しくお願い致します。



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