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二百七話目 リバースの魔法とは?な日


5月3日の更新です。


詳しくは活動報告にてお知らせした通りですが、一週間も急にお休みしてしまって申し訳ありませんでしたorz


皆さんもお身体ご自愛なさって下さいませ。


それでは本日も宜しくお願い致します。



「おやぁ?あんたが此処へ来るなんて、随分久しぶりじゃないさ…」


 ランスロット先生が入っていった小屋の中から、女性の声が聞こえてきました。


 声の主は、その柔らかくて穏やかなよく通る声でランスロット先生を歓迎しています。


 声的に何だか優しそうな感じがするなぁ…。



「おや、シエロ君?あれ?どうぞ?中へ入って来て下さい?」


 おっと、こんなところでボケッとしている場合じゃなかったや。


 振り向いたら連れてきたはずの生徒がいないとか、とんだ笑い話だよね?


 僕はランスロット先生に呼ばれるまま、小屋の中へと足を踏み入れました。


 小屋の中は思ったよりも広く、ログハウス調のこじんまりとした外見からは考えられないくらい広く感じます。


 魔法で空間を歪めているんだろうか?何て思いながら更に中へと進み廊下を歩いていると、ランスロット先生と、もう1人の人物が座っている部屋の前に出ました。


 その部屋は6~8畳くらいのリビング?と言った感じで、小さなローテーブルとソファーが真ん中に置かれている場所以外は、足の踏み場も無い程書類や書物で埋まっています。


 うん、辛うじてテーブルの上だけには何も乗っていない。そんな感じがする。


 そして、そのローテーブルには女性が1人腰掛け、何やら妖しげなぶっっ厚い本を手にしながら此方を見ていました。


 ランスロット先生はと言えば、部屋の入り口で僕が来るのを手招きして待っています。


 どうやらランスロット先生は僕をこの人に会わせたかった様ですが…。


 何だろう?嫌な予感がするよ?


 部屋の中に居たのは、どの角度からも光が入らぬ真っ黒い目に、全く手入れのされていないボサボサの黒くて腰まである長い髪の毛が特徴的な女性でした。


 しかも足先まで隠れた真っ黒なワンピースを着て、上に黒のレースのカーディガンを羽織っていて、面白いくらい全身真っ黒。


 目の下の隈が凄いけど、肌の色は白くて透き通っているし、前髪で殆ど見えないけど鼻筋も通っていてすっごい美人さんなんだけど、その美人さんのお顔が何か既視感を感じると言うか、ついさっき見た様な…?



「キヒ、あんたはシエロ君だね?娘が良くあんたの話しをしているから、すぐに分かったよ」


 むっ、娘?しかもその笑い方…。


 真っ白な歯をむき出しにしてキヒヒと笑うこの女性は、まさか…。


「シエロ君?此方はオスクロ・マジョリン。学園の高等科で魔法学を教えてらっしゃる教師です。そうそう、クラスメイトのルーナスさんのお母様でもいらっしゃいますね」


 あ~、やっぱり?


 どうみてもマジョリンさんを大人にした感じだもんね?


 むしろここまで似てて他人だったらドン引くわ~。


「で?何でこの子を連れてわざわざ私のところまで来たんだい?」


「あぁ、そうでした。シエロ君?オスクロに君が考えた事を説明してくれませんか?」


 暫く僕がオスクロさんに頭を撫でられてる――何故か先生に紹介されてから、ず~っと撫でられてます――姿を笑顔で観察していたランスロット先生でしたが、オスクロさんに問いかけられてると、そのまま僕に話す様にと促してきました。


「あっ、はい…。実は先程の授業で――」


 僕は2人に促されるまま、授業中に考えていたリバースの魔法を何故人体に使ってはならないのか?と言う事と、リバースを使ってゾルフの体を元に戻す事は可能なのか?と言う事を話しました。


 話している途中で、ランスロット先生は「やっぱり…」と呟き、


「この授業をすれば、必ず貴方は試してみたいと考えるだろう事は分かっていました」


 と、神妙な顔で答えます。


 その向かいに腰掛けていたオスクロさん――オスクロさんの隣は僕が座ってます――も、


「ふむ。君の気持ちは分かったけれど、やっぱり無理さね…」


 と、眉間に深い皺を刻みながら、ランスロット先生に同意していました。


「何故人体にリバースの魔法をかけてはいけないのですか?」


 とは言っても、何の説明もされない内から「駄目なものは駄目!」で片付けられても納得がいかないので、僕は更にオスクロさんに問いかけました。


 するとオスクロさんは、


「呪われるから、さ…」


 と言いながら、とても悲しそうな顔で僕の頭にまた手を置きました。


「えっ、呪われる!?それって…」


 何とも物騒な言葉が出てきた為、思わず大きな声が出た。


 慌ててオスクロさんに問いかけると、


「実際に見てもらった方が早いだろう…。ランスロット、この子は確か【テレポーター】だったね?」


 と返されてしまいました。


 えっと?見てもらった方が早いとは?テレポーターが関係あるって事は、どっか行くの?


「えぇ。詳しくは【空間属性】の持ち主ですが…「テレポーターには違いないんだろう?」……その通りです」


 何かランスロット先生がやりこめられてる気がするなぁ…。


 でもテレポートするって言っても、普通は一度でも実際にテレポーターが行った事のある場所にしか飛べないんだけど、オスクロさんはどうする気なん――。


「なぁ、君は相手の記憶を任意で読み取ってテレポート出来るんだろう?ちょっと私に見せとくれな?」


 あっ、なんだ。そこまで知ってるんだ…。


 マジョリンさんから聞いたのかな?ふむ。彼女、僕達と話す時は比較的無口だけど、やっぱりお母さんと話す時は饒舌になったりするのかな?


 ………。饒舌なマジョリンさん。何だろう急に背筋が寒くなったぞ?


 僕は背筋をぞわぞわさせながら、異空間リングから記憶石――そのまんまなネーミングでゴメンね?――を取り出して、オスクロさんに渡しました。


「これは?」


「これは【記憶石】と言いまして、先程オスクロさんが仰っていた記憶を任意で読み取る事が出来る石です。これを額に当てながら、行きたい場所を強く念じてみて下さい。石が読み取ってくれるんですよ?」


 僕が説明すると、オスクロさんは


「キヒヒ、便利な石だねぇ?どうなっているのか調べたいところだけど、今は止めておくよ」


 と、娘さんと全く同じ事を言いながら、自分の額に記憶石をあてがいます。


 ランスロット先生はその様を苦笑を浮かべながら見ていましたが、


「オスクロ、今はシエロ君をあまり学園から離したくはありません。なるべく早く戻ってきて下さいね?」


 と、言い出しました。


 それを聞いたオスクロさんも、


「分かってるさね。一刻も経たぬ内に戻すから、そう心配しなさんな」


 と、ランスロット先生を窘めています。


 えっ!?そっ、そこまで厳戒態勢だったの?と思うと、何か申し訳ないな…。


 いや!今回は僕だけじゃなくて、もしかしたら他の人の命もかかっているんだから、ここで申し訳ないとか言ってたら駄目だよね!?


 僕は、ブンブンと頭を振って浮かんだ申し訳なさを振り払うと、オスクロさんから記憶石を返してもらいました。


 オスクロさんから渡された記憶石には、確かに何らかの場所が記録された様で、透き通っていた記憶石の中には何本かの筋が入ったのが見て取れます。


 うん、バッチリだね?これだけクッキリ筋が入っていれば、読みとるのも簡単そう♪


 実はこの記憶石、読み取った記憶がハッキリしていればしている程、石に刻まれる筋もハッキリクッキリ出て来るので、記憶石を使う時の目安になっているんです。


 しかも、読み取った記憶は念じれば【消去】も出来る為、繰り返し使えるのも便利なところ!


 本当にブロナー様々ですね☆


 さて、僕がその記憶石をオスクロさんがしたのと同じ様に額にあてがうと、今度は僕の中に石に刻まれた記憶が流れ込んで来んできます。


 うん、見た目でも分かっていたけど、飛ぶべき場所の情報が凄くハッキリしてる…。


 これなら直ぐにでもテレポートが使えそうです。



「テレポートの準備は整いましたが、これから僕はどこに行くんでしょう?」


 場所のイメージは掴めましたが、流石に行き先を知らずにテレポートするのは怖いのでオスクロさんに問いかけると、


「私のお祖母さんの家さ」


 とオスクロさんは笑いました。



 その顔がマジョリンさんそっくりで、またちょっと背筋がゾワッとしたのは僕だけの秘密です。





マジョリン親子は、身長が違うくらいでほぼ同じだと思って頂ければ間違いないです。


一部ではクローン説も流れているとかいないとか(笑)



本日はもう一本更新させて頂きます。


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