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二百五話目 たまには授業の日


4月24日の更新です。


本日も宜しくお願い致します。




 あの後、午後の授業が始まるからと解散した僕達でしたが、ジャスミン先生以外は結局同じ教室に集まるんですよね~。


 教壇にはランスロット先生、そして、授業を見学している宇美彦は教室の後ろ、窓際に椅子を置いて座っています。



「それでは、本日最後の授業を始めます。教科書の――」


 ランスロット先生の号令に合わせ、教科書を開く軽い音が教室中に響き渡る。


 宇美彦はどうやらルドルフに声をかけて見せてもらっている様で、2人の小さな話し声が聞こえてきます。


 さて開いたページには何が?と見てみると、魔法薬学で使われるポピュラーな薬草のイラストが説明文と共に幾つか記載されていました。



 はて?なんで【魔法学】の授業で【魔法薬学】を?


 まぁ、将来何になるにせよ基本の薬草くらいは知っておいた方が良い気はするけど…。


「今日皆さんには、光魔法と闇魔法の使い方の違いについて、ご説明したいと思います。では教科書、次のページを開いて下さい」


 ん?薬草見せておいて光魔法と闇魔法?


 皆の頭に疑問符が出ましたが、先生に促されるまま、また皆で教科書を捲ります。


 そして、開いた次のページには、2種類の魔法の名前が書かれていました。



 【光魔法グロウ】


 その日を摘め。その花を摘め。今を生きよ。その瞬間を生きて輝け


 【闇魔法リバース】。


 その夜を埋めろ。その実を埋めろ。今戻れ。巻き戻せ。



 そこには説明文らしきものは無く、上記の様に、ただ魔法の名前と呪文が載っているだけでした。



「そこに書かれた2つの魔法は、効果が正反対の魔法として、有名なものです」


《カッカッカッ》


 先生は黒板に【グロウ≠リバース】と記述しました。


「グロウは光魔法でも有名ですね?さて、その効果とはどんなものでしょう?……はいっ!アンジェリカさん」


「光魔法グロウは、成長を促す作用があります。例えば植物を種の状態から花を咲かせるまで一瞬にして育てるとか…」


 振り返ったランスロット先生は、手を挙げた【真っ白姫】ことアンジェリカ・ホワイトさんを指して答えさせました。


「ご名答!その通りです」


《カッカッカッ》


【グロウ←成長を促進する魔法例:植物を種から花が咲く状態まで一瞬で成長させる】


 そして、満足そうにニッコリ笑うと、ホワイトさんが答えたものをそのまま黒板に書き出します。


「では、次に【闇魔法リバース】についてお聞きしたいのですが、どんな効果があるのか知っている方はいますか?」


 また書き終えて振り返ると、今度はリバースについて問いかけてきました。


 しかし、今度は誰も手を挙げません。


 と思ったら、すっごい小さく挙げている人がいました。


 アリス・ルイスさんです。


「はい、アリスさん」


「ひゃい!えっ、えっと…。グロウとは逆の魔法で、咲いている花を種まで戻す事が出来る魔法です。えと、禁じられてはいますが、人に使えば大人を赤ちゃんくらいまで戻す事の出来る、強力な魔法だと聞きました…」


「よくそこまで知っていましたね?その通りです」


「「「「「おぉ~」」」」」



「ですが、リバースは本当は強い魔法です。人に使うことは禁じられていますから、皆さんもリバースの魔法を使う時は気をつけましょう」


「「「「「はい!」」」」」


 ランスロット先生の言葉を受けて、皆と一緒に元気の良い返事を返した僕でしたが、今の授業を受けて1つ閃いた事がありました。


 もしかしたら、リバースの魔法を使えばゾルフを元の姿に戻す事が出来るかもしれない。


 そう思ったんです。



「では、先ずは誰かに実際にグロウの魔法を使ってみて頂きましょう。そうですね…、シエロ君?やってみませんか?」


「あっ、はいっ!」


 とは言え、これを先生に伝えるのは放課後ですね。


 先生に呼びかけられた僕は、先生の立つ教壇の前まで進み出ました。


「ではシエロ君?此方の植木鉢には既に薬草の種が植えられていますので、私が止めるまで魔法をかけてみて下さい」


 すると先生は何処からだしたのか、教壇の上に小さな白い鉢を取り出すと、僕の目の前にコトリと置きました。


 直径10cmにも満たないであろう大きさの丸くて白い鉢の中には、一杯に土が入れられ湿っています。


 どうやら種を植えて、水をあげた段階の鉢植えと言う事で間違いはなさそうですね。


「分かりました。やってみます」


 僕は皆にも見えやすいように教壇の先生側へ回り込むと、鉢植えの上に両手をあてながら、一度大きく深呼吸をしました。


 なにせ初めて使ってみる魔法ですし、今回はフロルの力を借りる事無く、光魔法で育てなければいけませんからね?


 否が応にも緊張すると言うものです。


「行きます!《その日を摘め。その花を摘め。今を生きよ。その瞬間を生きて輝け:グロウ》!」


《ピカッ!》


 何とか緊張感を押し殺しながら呪文の詠唱を終えると、当たりが眩い光で満たされていきました。



「きゃっ!」


「うわぁ!まぶしい!?」


 その光を最前列の席に居たアンジェリカ・ホワイトさんと、僕の後ろの席のデイビッド君は直接見てしまった様で、揃って悲鳴をあげます。


 うわわわわ、ゴメンね2人とも!?


 まさかこんな風に発光する魔法だとは思わなくて!??


「ふむ。おめでとうございます。無事に成功しましたね♪」


 えっ?これで成功ですか?


 若干2名の生徒達の目を焼いてますが、これで本当に成功したんですかね?


 僕はニコニコしているランスロット先生の方をチラ見しながら、植木鉢の様子を恐る恐る窺いました。


 だって、先生には【私が止めるまで】魔法を放っている様に と言われていたのに、あんまり光が眩しくて驚いて魔法の放出が止まってしまったんですもん!


 ちゃんと育ってるかな?


「あっ…」


「「「「「おぉ!」」」」」



 僕から漏れた声と、皆の声が重なります。


 教壇の上に置かれた土のみの植木鉢から、3本の見慣れた黄色い花が生えていました。


 これ、先生に渡した【良く眠れ草】じゃん!


「うん。花も葉も綺麗に出ています。文句なく合格ですね♪」


「「「「「おぉ~!」」」」」


 先生が植木鉢に咲いた黄色い花を検分して、OKサインを出すと、また教室中から声があがりました。


 続いて、誰からともなく拍手が起こりましたが、うぅ、これは少し恥ずかしいな…。


「では、次にリバースを試してもらいたいと思いますが…、ルーナス・マジョリンさん、お願い出来ますか?」


 僕が顔を熱くしていると、今度はマジョリンさんが指名されました。


 あっ、じゃあ僕は席に戻って良いのかな?……って言っても僕の席はすぐ目の前なんだけどね。


 一番前だし、目潰ししちゃったデイビッド君の前の席だし…。





次回ルーナス暴走回です!


此処までお読み頂き、ありがとうございました。



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