十七話目 続々々やってみた日
僕の体の中から【巾着袋】が爆誕しました(笑)
しかし、【電球】の次は、【巾着袋】か…。
んー、規則性がまるで分からない。
っていうか、何で体内からこんな変な物ばかり出て来るのかが分からない。
しかもこれ、よく七五三の時に女の子が持たされてる様な、お手玉みたいな形をしたやつだ。
ちりめんっぽい生地で、生地のちりめん模様がそのまま柄になっている、真っ白くて小さな巾着袋。
小さな女の子が肩んとこ詰めた着物着てさ、これを持ってたり何かしたらそらー可愛いだろうけど…。
何で、この形?
いや、そもそも何で巾着袋?
まさか、綿アメの綿っぽい部分が此処とか?
んー、分からん。
あっ!それとも、本体は巾着袋の中に入ってたりするとか?
ちょっと、中見てみる?
《ワサワサ、シュルッ》
巾着袋の紐を解く。
おっ?巾着袋を縛っている組み紐まで白いんだな…。
丸紐が使われていて、先っぽには、翡翠色のトンボ玉が付けられている。
へぇっ、トンボ玉には色付きのを使ってワンポイントにしてあるんだな。
あれ?でもこれって…。
翡翠色をした、この無地のトンボ玉に、どことなく見覚えがある様な気がする…。
でも、何処で見たんだろう…。
んー、駄目だ。
思い出せない…。
僕って、こんなに記憶力悪かったっけ…?
自分で自分に凹むわ~。
っと、いかんいかん、今は中身の方だよな。
組み紐と、トンボ玉と自分の記憶力の無さに食い付いてる場合じゃなかった。
《シュルシュルッ》
巾着袋の口を開き、袋の中を覗き込んで見る。
するとそこには、異空間としか言いようの無い、少し不気味な空間が広がっていた…。
そこに写るのは、全てが歪に歪んだ景色。
袋の中を覗き込んでいる僕の顔も、グニャグニャ揺れながらそこに写っていた。
何だこれ?中は一体どうなってるんだろう?
恐る恐る腕を入れてみる。
!!?!!?
いやいやいや!可笑しいだろ!?
いくら赤ん坊の腕だと言っても、到底肘までは入らない大きさの巾着袋だったはず。
それだけ小さな袋なのに、突っ込んでみた腕が、何処までも飲み込まれていく。
肩口まで突っ込んでみたけれど、底にはまだまだ届かなさそうだ。
底を触ることを諦めて、袋から腕を引き抜く。
特にいつもと変わらない自分の腕に少しホッとし、そこでハタと気がついた。
無事だったから良かったけど、もし、腕が無くなっていたりしたら僕はどうするつもりだったんだろう…、と。
うわっ、怖っ!?そんな事も考えないで腕突っ込むとか、僕馬鹿すぎる!!
これからは、不用意に得体の知れないものに手を突っ込むのは止めよう。
うん、そうしよう…。
でも穴とか隙間とか見ると、つい深さとか大きさとかを確かめたくなって、指とか腕を突っ込んで見たくなるんだよなぁ…。
前世でも、お城の石垣とかの隙間に指突っ込んで、中から蜂が出て来た!?
とか、木の虚に腕突っ込んで蛇に咬まれた!!とか、よくやっていたからなぁ…。
うん、今考えても馬鹿な奴だなぁ…、僕……。
………あれ?
前世で起きた、っていうか起こした馬鹿話を思い出している間に、巾着袋がサラサラと空気に溶けて消えていった。
まだ、電球の時みたいにオンオフしまくったりして、消費させてた訳じゃないから…。
あっ、そうか、時間経過でも消えるのか…。
でも、時間経過でも消えるっていうのが分かっただけでもありがた…。
最後まで感想を考える前に、僕は何時もの様に気を失ったのだった。