十六話目 続々やってみた日
『君は…土……たく……ね?………、……し……前は…ルビ………だ』
『わた……はスカ…………よ?…ろ…くね?』
誰かの声が聞こえる…。
けど、それはとても遠くで話しているかの様に小さく、ブツブツと途切れて聞こえてきた…。
けれど、途切れ途切れに聞こえるその声は、僕が確かに知っている声で……。
またかあの夢か…。
始めて綿アメを作った日も見た夢。
今日のはそれの続きみたいな夢だった…。
ガーネット色をした瞳だけが鮮やかに見える他は、全てが朧気な灰色の世界。
その中で2人の女性が僕に話しかけて来る。
ただ、それだけの夢…。
この前と違うのは、笑顔の2人の声が途切れ途切れで、酷く小さな声だった事…。
2人は僕に何を言っていたんだろう。
今夜も2人に会えるかな…。
「シエロ、おはよう」
おっと、先ずはお兄さんとお母さんに朝のご挨拶をしなければ。
今日も大きな声で、元気にご挨拶だ!
――――――
おはよーございます(小声)
止めよう。
誰かに怒られそうだ。
さて、何時もの真夜中くらいの時間になりましたよっと。
お昼寝もバッチリしたし、今日の準備も万端だ!
昨日は【電球】で、オンオフ出来るかの実験しかしてないから、切り離せるかの実験はまだだったんだよな…。
んー、このまま体から切り離せるかの実験を続けていくか、それとも単色で体から取り出す実験を先にするべきか…。
どうしようかな~?
まぁ、切り離せるかどうかの実験をしてた延長線でこんな事になったんだし、その実験だけはちゃんとやっておくとするかな?
うしっ、んじゃあ、出でよ!【電球】(笑)
――――――
………。
えーと、結果としては失敗しました。
切り離そうとしたら、フィラメント部分からパリパリ割れて、壊れていったよ。
実験するのにいつも仰向けでやってたから、頭上で電球割れたとか思って凄い焦った。
僕にぶつかる前に、サラーって霧散していったからホッとしたよ。
目にガラスとか刺さるかと本気で思ったし。
んー、たぶんどっかやり方が間違っているから何だろうけど、そもそも、何が正しいやり方なのかも分からないわけで…。
どうしようかな…。
まぁ、思い付くままに、片っ端からやっていけばどれかしら正解するだろうし、実験を続けていくか!
さぁ、次だよ次!!
次の綿アメの色は、えーと、【白色】だったかな…。
んー、今度は何が出て来るのかな…。
【綿アメ】がまさかの【電球】になったし、何が出てくるか分からなくなったから、ちょっと怖いなぁ…。
まぁ、とりあえずやってみようか…。
リラックスして、体から余分な力が抜けたらお腹に集中!
お腹の中の揺らぎを感じたら、白色集合!!
よし、何となくこの前とは感じが違うのが集まってきた気がする。
じゃあ、次は回転…。
あっ、この前の電球よりは回し易いかも。
よしよし、それじゃあ、またお腹から腕まで移動させて、腕から手の平に…。
……………。
電球は勢い良く飛び出してきたけれど、今度のはじわ~っと、姿を現した。
何だかなぁ~。
本当に、何でこれ?
頭の中が?マークで一杯になる。
はぁ~、電球の次はこれ(・・)かぁ…。
手の平に姿を現したモノは、【巾着袋】でした。