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閑話 小話集①


3月1日の更新です。


今回の閑話は少し趣向を変えて、4~5話くらいの小話を投稿させて頂く形にしてみました。


少しでも皆様が楽しんで頂ける物があったら幸いです。





☆選択授業☆


シエロ=シ

ブロンデ=ブ

ルドルフ=ル

アレックス=ア

コローレ=コ



ブ「3年生になったら選択授業が始まるよね?」


ル「あぁ、そうだったな。お前ら何取るの?」


ブ「僕は【薬草学】を選択しようと思ってるんだ!僕の村の薬師のじっちゃはもう年だから、次は僕が皆を助けたくって!!」


シ「ブロンデは立派だなぁ~。僕はそこまで考えてなかったけど、僕も【薬草学】を取ろうかと思ってるよ」


コ「シエロ君には花樹の妖精がついていますからね?選択しておいて損はないかと思いますよ?」


ル「えぇ~?何だよ~誰も【冒険者学】取らねぇの?」


ブ「ルドルフは【冒険者学】取るつもりだったんだ?」


ル「おぉ…」


ア「安心しろよ?俺も【冒険者学】選択するからよぉ?」


ル「そりゃあ嬉しいなぁ?いぬっころと3年間一緒かよ?」


ア「何だ?草食動物?俺じゃ不満だってか?あぁ?」


シ「何でそこで喧嘩になるんだよ!?コローレは?何選択するの?」


コ「おや?お伝えしていませんでしたか?私は【執事学】を先攻致しますよ?」


シ「えぇ!?【執事学】!!??」



ア・ル・ブ「「「あぁ~」」」


 この時、ビックリしながらもあんまりピッタリだと思った僕達は、【執事学】は高等科に行かないと選択出来ない授業だと彼に告げる事さえ忘れていたのでした…。



――☆★☆★☆★――


☆入学式☆


 今日はマルクル先輩の手伝いで、入寮する生徒達を案内しています。


 と言うのも、今年入学する生徒が僕らが入った時の3倍だから…。


 3倍の量の生徒達に、僕らの時みたいに一気に階段で駆け上がられると大変迷惑なので、マルクル先輩と僕、その他にブロンデやルドルフ、研究会のメンバーも総動員して案内に駆り出されているって訳です。


 で、僕はA組の子達を案内する役だったんだけど…。


「お美しい先輩…。是非私、ジーランド子爵家にいらしては頂けませんか?」



 マセ餓鬼にナンパされていた…。


 顔が引きつっているのが自分でもよく分かるけど、何とか感情を表に出さないように耐える。


「あはは、ジーランド子爵のご子息でしたか。僕はコルト辺境伯が【次男】シエロ・コルトと言います。残念ながら男ですので、他をあたって下さい」


「おぉ!辺境伯様のご息【女】様であらせましたか…?私では身分が違いすぎますね…。しかし!道ならぬ恋も燃えると言うも―――」


「だから!僕は男だって言ってんだろうがーー!!」



 ご息【女】呼ばわりされて、ウッカリ頭に血が上った僕は、暫く後輩達から恐れられる存在となったのだった…。


 クスン、僕悪くないもん…。


――☆★☆★☆★――


☆マフラーの行方☆


クレア=ク

マジョリン=マ

スミス=ス

シエロ=シ



ス「できたーッス!」


ク「ゾーイさん、お疲れ様でした。初めてのお品なのに、とってもお上手ですわ☆」


ス「やった~ッス!シャーロットちゃんに褒められたッス~!」


マ「キシシ。流石に手先が器用なだけあるわねぇ…。さぁ、あたいも出来たわさ」


ク「まぁ!見事な模様編みですわ。これは何編みと仰るんですの?」


マ「さぁねぇ?適当に配置しながら編んでったから、何て言う技法なんだかも分かりゃしないさ。キシ、まぁ強いて言うならひし形模様編みかねぇ?」


シ「うわぁ、マジョリンさんの見事なアラン模様ですね?やっぱりケーブル編みで編んでいったんですか?」


ク「あら、シエロ君。此方の模様をご存知なのですか?」


シ「えぇ、とは言っても名前の由来等は知らないんですが、【ケーブル編み】と言う技法を使って作る模様だと言う事だけ…。ひし形の中に丸が入る様に編むのが難しいんですよねぇ?」


ス「はぁ~、シエロ君はやっぱり物知りッスね~?」


マ「キシシ、そう言えばまだシャーロットちゃんのを見てなかったわさ。あんたはどんなのを作ったんだい?」


ク「ルーナスさんのを見た後でお出しするのは恥ずかしいですが、此方ですわ?縄編みで編むのに手こずってしまって…」


マ「何だ、上手に出来てるじゃないのさ」


シ「本当だ!綺麗な縄模様が出ているじゃないですか」


ク「本当ですの?フフ、シエロ君にお褒め頂くと嬉しいですわね?」


シ「そうですかねぇ?」


マ「キシシ。シエロ君は今年の冬はどんなマフラーを編んだんだい?何ならシャーロットちゃんがくれるそうだよ?」


ク「なっ!そんなっ。わっ、私如きの拙い技量で作ったマフラーなんて…。シエロ君に相応しくありませんわっ!?(あ~!!せっかくルーナスさんがくれたチャンスを無駄にしてしまいましたわ~!!)」


シ「あはは、そんな事ないですよ?シャーロットさんのを貰える男性は幸せ者だと思いますよ?」


ク「シエロ君…」


シ「で?どなたの為に作ったんですか?」


ク「えっ?」



マ・ス「「あっ、駄目だこりゃ…」」



――☆★☆★☆★――


☆薬草学☆




 新学期が始まって6日目の良く晴れた日、僕は薬草学の選択授業の為、学園の外へ来ていた。


 とは言え、来てるのは寮から出て数秒の森の中なので、遠出感は薄い。


「それでは皆さん。先生の姿が見える範囲なら何処へ行っても構いませんので、此処で薬草を探してみて下さい。薬草の形は、教科書でお勉強した通りです」


「「「「「はいっ!」」」」」


 じゃあ、早速探しに…。


 と、いったところでふと考える。


 あれ?これって実物見せた方が間違わないんじゃない?


「先生、薬草は《ポンッ》これで合ってますよね?本物を見せてから採取にまわった方が効率的かと思いますが…」


「あぁ、なる程!そうですね?皆さん、此処にいるシエロ君が実物を見せてくださいますよ?探しに行く前に、シエロ君から見せてもらってからにしましょう」


「「「「「は~い」」」」」


 薬草学を選択した生徒達は、僕の側で薬草をジーッと観察した後、蜘蛛の子を蹴散らす様に散っていった。


 ハッハッハッ、元気だなぁ…。



「ふむ、確かに本物を見せてからの方が理解度は高まりそうですね?シエロ君、他にはどんな物が出せますか?」


「教科書に載っていた野草なら…」


「ほう?」


 あっ…、マズいかも…。


 その時、先生のランスロット先生の目が妖しく光ったのを見てそう思ったものの、後の祭りだった…。


「次はビリビリ草を、あっ、その次は是非ヒツジソープ草をお願いしますね?」



 皆が薬草を楽しそうに採取している横で、僕はただ1人、先生から出される指示のままに野草を出し続けていたのだった…。



――☆★☆★☆★――


☆ミイラ族☆



「ぁっ!シルヴィァちゃん」


「ん?おや、エレン君じゃないか。……珍しいな?君が放課後屋外実習棟に来るなんて?何かの練習かな?」


 私、シルヴィア・バレリーがいつもの様に屋外実習棟にて、魔法と剣術を使う時の実践的な体裁きの自主訓練を行っていると、同じクラスのエレン・ア・パーニャ君がトコトコと此方へ声を掛けながら歩いてきた。


「ぅん、ぃまから、ちょっとれんしゅぅをするの」


 エレン君は、この国では少し珍しいミイラ族だ。


 その為、体中に包帯を巻き付けている上に外に出る時等は制服の上に着込んだローブのフードを目深に被っている。


 だから少し話しが聞き取りづらい面があるのだが、どうやら今から何かの練習をするらしい。


「練習?」


「ぅん、シャーロットちゃんに手伝ってもらうの」


 今度は上手いこと聞き取れたな。


 と、言う事はシャーロット君も此処へ?


 しかし、シャーロット君とエレン君とは珍しい組み合わせだな…。


「エレンさん、お待たせ致しました」


 おっ?噂をすれば…。


 振り返ると、同じくクラスメイトのシャーロット・クレア君が艶々の黒くて長い髪をなびかせながら、此方へ走ってくるところだった。


「あら?シルヴィアさんもご一緒でしたの?」


「あぁ、此処でバッタリ会ってね?何の練習をするのかは知らないが、私も見せてもらえないかな?」


「わたしは、シャーロットちゃんがぃぃならぃぃょ?」



 じゃあ決まりだな!


 と、こう言う訳になり、私は2人の邪魔にならないところまで離れて【練習】とやらを見学させてもらう事となった。


「それでは行きますわよ?」


「ぅん!ぉねがぃします!!」


「では!」


 シャーロット君がエレン君の承諾を得たところで、魔力を練り始めた。


 おや?練習…とは戦闘訓練の事だったのかな?


「行きますわよ?ウォーター!」


 シャーロット君の掛け声と共に発動したのは、ひと抱えもある様な大きな大きな水の玉だった。


 それをエレン君は両手の平で抱える様に挟み込んで…。



「ゴックン」


 【手の平】から一気に飲み込んだ。


「へっ?」


「ん~。やっぱりムラがでるね?」


「それでもやり始めた頃から比べたら上達していますわよ!?さっ、続けましょう?」


《ザワザワ》



 今、私の目の前には、栗色のフワフワした髪の毛を首の辺りで切りそろえた、大きな茶色の優しそうな瞳が可愛らしい女の子が立っている。


 水を飲み込んだ時の勢いで目深に被っていたフードは外れ、更に巻いていた包帯が制服にや腕に引っかかっているから、確かにあれは私のクラスメイトのエレン・ア・パーニャ君だとは思うのだが…。



「えっ、エレン君、だよな?」


「?」


「えぇ、此方はエレン・ア・パーニャさんですわ。エレンさん、シルヴィアさんは貴方のそちらの姿を初めてご覧になったのですわ?」


 不思議そうに小首を傾げた姿も実に愛らしいが…。


 シャーロット君が補足をしてくれて助かった。


 このままでは、私がクラスメイトの顔も分からぬ愚か者になってしまうところだった…。


「あ~。そうよね?まだシャーロットちゃんやシエロ君にしか、ちゃんとは見せていなかったもの。ごめんね?シルヴィアちゃん。私達ミイラ族は生まれつき水分を取らなくても生きていける種族なんだけど、時々【水分操作】っていうスキルを持った子供が生まれるのね?」


「エレンさんも生まれつき【水分操作】を使えたので、学園にいる間に完璧に使いこなそうと練習していたんですの。私は水属性持ちですから、時折微力ながらお手伝いさせて頂いてるんですわ」


 いつもはシエロ君に教えてもらった、寮の裏手にある【修練場】で練習していたそうなのだが、今日はシエロ君とアスミ先生が戦闘訓練をしている為、邪魔にならないように此方に来たのだそうだ…。


「ほっ、ほぉ~」



 しかし今の混乱しきった私の頭で分かった事は、可愛らしいエレン君の姿を見た男子生徒達が、急にソワソワし出したな~と言う事だけだった…。






明日もこの様な形の小話集を投稿させて頂こうと思っています。


本日も、ここまでお読み頂きありがとうございました。



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