百五十五話目 遂にバレた日
2月27日の更新です。
本日、152話目が抜けていた事に気が付きまして、慌てて挿入させて頂きました。
数分の間ではありましたが、小説が153~154話分が消えてしまいました。
ご不便とご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした。
また、こんな【生まれ変わっても女顔な僕は、転生先でも男からのナンパに悩まされ続ける】ですが、宜しくお願い致します。
えっと…。
どうしよう?
フロルの異変にパニックになった僕は、留守をしていた妖精2人を呼び寄せていた。
しかし、2人の他に何故かコローレまで呼び寄せてられていて…?
え~?
確かに【契約】とか【此処じゃマズい】とか口走ったのは僕だけど、普通に妖精2人と会話してたコローレにだって責任はあるでしょ~?
「さて、どういう事ですか?」
フロルの事がすっかり飛んでしまった僕達は、先生に促されるまま並んでテーブルに座り直し、先生からの追求を受けていた。
急に黙り込んだ僕達に苛立っているのか、ほんのり先生の体から怒りのオーラが見え始めた気がする…。
マズい、このままだとお説教モードに突入しちゃいそうだぞ?
だけど、ありのままを話すって言うのも難しいし…。
「はぁ…。ランスロット、貴方まだ気付いていなかったんですか?」
僕がどう説明したものか?と悩んでいると、隣に座っているコローレが急に溜め息を吐き、そして特大の爆弾を落とした。
えっ?
そっそれ、言っちゃって良いの?
「良いんですよ。第一、シエロ君よりも付き合いが長いハズのランスロットがいつまで経っても気が付かないのが悪いのです」
「どういう事ですか?コローレ・シュバルツ君?」
怪訝そうな表情のランスロット先生と、ニコニコしてるけど不機嫌MAXなコローレに挟まれて、僕はオロオロするしか出来なかった。
どどど、どうしよう?
『ほっときなさいな☆』
アイレさんは、テーブルの上に着地しながらそう言った。
ほっとくって…。
良いんですか?アイレさん?
『良いんじゃない?私はコローレ【様】を見た時に、すぐ彼が誰だか分かったもの。暫く黙っててって言われたからランスロットにも言わなかったけど、ふつー気づくでしょ?』
『んだんだ』
『そうよねぇ?』
あ~、だよなぁ…。
僕でさえ気が付くくらいなんだから、精霊同士だったらもっと簡単に気が付くだろうし、魔法のスペシャリストのランスロット先生が気が付かないって方が意外だよなぁ…。
アイレさんの言葉に思わず納得していると、
「何です?皆して!?もう、私をからかっていないでキチンと教えてくださいよ!?」
と憤った先生からのツッコミが入った。
ん~、ここまで話してても何もピンと来ていないみたいだけど、先生って意外と鈍感さん?
『シエロにだけは、言われたくなかったでしょうね?』
『んだんだ』
グスン…orz
「ランスロットは昔からこうですよ。学生時代も、私の正体には最後まで気が付きませんでしたし…」
『ランスロットのお家に遊びに来たときとか、他の森の一族の人達は結構気が付いてたみたいだし、ランスロットが恐ろしく感知能力が低いだけだったりして?』
あれ?遂には2人でランスロット先生について悩み始めちゃったよ(笑)
時折先生の方をチラリと見ながら、それはそれは深い溜め息を吐いている2人に、遂にランスロット先生が爆発した。
「もう!いい加減教えてください!?何で私の学生時代の話しをコローレ君が知ってるんです?それに正体とは一体何なのですか?」
ちょっ!?
この人マジか?
「大マジなのですよ…。これでも…。「全く、ランスロ」ットは仕方が無いですねぇ?」
マジか!?
っと、僕がランスロット先生の余りの鈍感さに恐怖を覚え、恐れおののいている横で、コローレの声が急にダブる。
僕が不思議に思いながら隣を見ると、コローレの体がグニャリと歪み、制服を着ていたコローレが、懐かしいカソックを着たクラレンス神父の姿へと変貌していった。
年の割にはスラリと伸びた背筋、常に微笑を称えた口、肩口まで伸ばされたスミレ色の髪の毛、そして隣に居る僕だけに香る様な微かな甘い花の香り。
右足を組み、組んだ膝の上に白い手袋をした手を乗せた彼は、いつもの様にニッコリと微笑んだ。
うん、クラレンス神父だぁ~☆
「あっ、あっ?へっ?」
「さぁ、これで分かって頂けましたか?」
余りにも驚きすぎて上手く声が出せなくなった先生に、完全に姿を変えたクラレンス神父は、【一見】慈悲深そうな笑顔を浮かべて腕を軽く広げて見せた。
たっ、楽しそ~…。
ドS神父降臨!って感じじゃない?
変化した瞬間の優しそうな微笑むはどこ行っちゃったのさ??
「なっ、何でコローレ君がクラレンスに?だって貴方…。えぇ?」
「はぁ…。貴方は本当に鈍いですねぇ?ずっと一緒にいるアイレさんが可哀想になってきますよ…」
『もっと言ってやって下さい♪気配や魔力を読むのは人一倍得意なクセして、肝心な所がこれっぽっちも見抜けない、ニブニブちゃんなんですから☆』
あの~、流石に狼狽えてるランスロット先生に対して、トドメを刺すのは勘弁してあげてくださいませんかね?
あっ、ほら…。
良い年した美青年が泣きそうですよ?
「フフフ、この姿でランスロットをからかうのは久し振りですからねぇ?楽しくて仕方が有りませんよ☆」
いや、そうじゃなくて…。
楽しいのは分かったから止めたげてって…。
「フフフ、新しいご主人様が困ってらっしゃいますね。ではシエロ【様】に免じて、貴方に1からじっくり説明して差し上げましょう」
黒い笑いを浮かべながら、クラレンス神父は妥協してくれ―――。
って、おい!!?
何か今、サラッと凄いこと言ったぞコイツ!?
いや、ニコッ☆じゃないから!!
「クラレンス、僕が主人ってどういう…ムグッ?」
「シエロ様、そのお話しは後で…。さぁ、ランスロット?何から聞きたいのですか?」
「ムー!ムムゥー!!」
僕の口をその手で塞いだクラレンス神父は、更に笑みを深くしながらランスロット先生に問い掛けた。
――――――
「はぁ…。そんな事になっていたのですか…」
コローレがクラレンス神父に変化してから、かれこれ2時間強。
窓の外が薄ぼんやりと赤く染まりだした頃に、漸く先生への説明が全て終了した。
なっ、長かった…。
正直ランスロット先生の探求心と探究心の深さを舐めてたや…。
推理力と観察力の高さも発揮して、少しでもこっちが答えにどもったり考えたりすると目ざとく見つけて質問が飛んでくるんだもん。
いや~、まさか30分くらいで終わる様な説明に、2時間も掛かるだなんて思ってもみなかったよ。
これで何でコローレ=クラレンスに繋がらなかったんだかが分からない…。
「私もシエロ様が狙われているとばかり考えていたので、アリス・ルイスさんへの対処が遅れてしまいました…」
「クラレンス、貴方は何も…。むしろ此処まで何も気づかず、のうのうと過ごしていた私にこそ問題があります」
そんな事言ったら、当事者だったくせに危機感ゼロだった僕もヤバいんだけど…。
『子供は大人から守られてるものよ♪そんな事気にしな~いの!』
『そうそう。責任の取り合いは大人2人に任せて、貴方は次に上手くやる方法を考えてれば良いのよ』
『んだんだ』
そういう物かな…?
まぁ、前世分を含めてもこの部屋にいる誰よりも年下な訳だし(フロル除く)、そういう事にしておいてもらっちゃおうかな?
僕は、未だ自分のせいだと言い争う大人2人をぼんやりと見つめながら、そんな事を考えていた。
本日は本当に失礼致しました。
こんな小説ではありますが、皆様にお楽しみ頂ける様に精進する所存で御座います。
また宜しくお願い致します。