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百四十八話目 続・修練場にて…な日



 前回のあらすじ。



 先生はあんただろ!!!?(ドーン!!)



「う~ん、魔王領はそんな事になってたのか…」


 泣いてるルイスさんを亜栖実さんに見られてしこたまからかわれたけど、何とか事情を説明して分かってもらえた僕です…(疲)


 あっ!ルイスさんにはちゃんと亜栖実さんに話す許可をもらったよ?


 じゃなきゃ、いくら無神経な僕でもこんなディープな話しは出来ないからね!?


『どうだべな?ポロッと口から零れっちまうんでねぇべか?』


『プッ!言えてる』


 亜栖実さんと一緒に妖精達も帰ってきたもんだから、僕はさっきから女子3人に姦しくイジられています…。


 頼りのフロルはまだいい子にねんねしてるから、僕を養護してくれる子はいません。


 クスン、助けてルイスさん。



 ところでさ、さっきから気になってるんだけど、亜栖実さんが額に付いてるティアラみたいな飾りは何だろう?


 さっき別れた時はあんなの付けてなかったよねぇ?


「ん?シエロ君どうかした?」


「いや、えっと…それ何ですか?」


 僕がティアラを指差しながら聞くと、ルイスさんも亜栖実さんのそれに気付いたみたいで、顔を輝かせながら亜栖実さんに近付いて行った。


「ふわぁ~☆スッゴく綺麗なの~」


 うんうん。


 やっぱり女の子はキラキラした物が好きなんだねぇ?


「ん?あぁ、これか!忘れてた(笑)」


 えぇ!忘れてたの!?


 そんな煌びやかで、シャラシャラしたティアラを付けてるのってそんな簡単に忘れられるものなの?


 やっぱりすげーなこの人!?



「アスミ先生綺麗なの~」


 そしてルイスさんは戻ってきて~?


 おめめの中にお星様が沢山写ってますよ~?


「アハハハハ、ありがとう~☆なかなかこんなの付け慣れてないから、こそばゆいものがあるね?」


 付け慣れてない物忘れられるあんたはすげーよ…。


「それで?そのティアラは何の魔道具なんですか?」


「あれ?僕、これが魔道具何て教えたっけ?」


 いや?ただあんたがタダの装飾品を付ける訳がないと思っただけ(笑)


 と、言いたいところだけど、そのまま口に出したら流石の亜栖実さんでも怒られそうなので、


「勘です」


 と言うだけに留めておいた。


 ブリーズ達も、僕の命が危ないから黙っててよね?


『お夕飯増やしてくっちゃら約束すんべ』


『シエロが痛い目見るのは嫌だから、いくら私でも言わないわよ』


 ブリーズ…(泣)


 ありがとう、流石はブリーズだねぇ…。


『え~?私も黙ってるっち言ったべした~』



「で、それは何をする魔道具なんですか?」


「君の妖精騒いでるけど、ほっといて良いのかな?まぁ、いっか!」


 そう言えば亜栖実さんは妖精見える人だったっけ(汗)


 まぁ会話は聞こえてなかったみたいだし、結果オーライって事で…。


「これはねぇ~?こうして使うのさ☆」


「ふえっ?」


 亜栖実さんはそう言いながら、自分の隣に来たルイスさんの顔を優しく両手の平で包むと、おでことおでこをコツンと合わせた。


 ちょうど、ティアラに付いた【紫色】の石がルイスさんのおでこにコツンと軽く当たる。


 一瞬淡く石が光った事で、上手く魔道具が作動した事が分かった。


「アスミ先生?」


 不思議そうな顔をしたルイスさんに向かって、


「うん、成功だね☆アリスちゃんは、健康そのものです♪何処も悪いところはありません☆」


 と言いながら亜栖実さんは笑った。


 ん?


 どゆこと?健康診断でも出来る魔道具って事なのか?


 いや、でもあの魔石の色は…。


「これはね?おでことおでこをくっつけて、対象者の状態異常を確認する魔道具なんだよ?ほら、良くやったでしょ?お熱ないかな~?ってやつ」


 ん~?やっぱりそう言う魔道具なのかな?


 まぁ、魔石の色だけでは何とも判断出来ないからなぁ~。


 でもさ…。


「私、やってもらった覚えないの」


 残念ながら、僕もこの世界に来てから【それ】をやってもらった覚えが無い。


「えっ!?そうなの?」


 文化の違いなんだろうけど、良く母さんがやってくれたのは、人差し指と中指を揃えて首筋にあてて熱を計る方法だったな。


「亜栖実さん、僕もその方法で熱を計るのは(この世界では)初めて見ました」


 すると、亜栖実さんはガッカリした様にこう言った。


「え~?じゃあこの魔道具使えないね?何だ、せっかく裕翔に作らせたのに~」


 【作らせた】ってはっきり言っちゃってるし!?


 裕翔さん、どんだけ亜栖実さんにこき使われてんの?orz



「う~ん、こりゃ要改良だな…。あっ、アリスちゃんの診断結果はちゃんとあってるからね?」


「はいなの。アスミ先生ありがとうなの!」


「こっちこそ、大事な話しを僕にまで話してくれてありがとうね?じゃあ大丈夫そうだし、僕は先に戻るよ。それと、大切なお人形さん達をイジメちゃってごめんね?」


 あっ、良いようにこき使われる裕翔さんの姿を想像して悲しい気持ちになってる間に、亜栖実さんとルイスさんが締めの会話に入ってる!?


「亜栖実さん、お部屋に戻るんですか?」


「うん。そろそろお腹も減ったしね?君らも暗くなる前に部屋に戻りなさいよ?」


「「は~い」」



 亜栖実さんが手を振りながら寮の中へ戻ったのを確認した後、ルイスさんのお人形さん達に明日会わせてもらう約束をしてから僕らも後を追う様に寮の中へと戻り、


「今日はいっぱいお話し出来て楽しかったの♪」


「僕もだよ。また明日ね?」


「うん!また明日なの☆」


 と挨拶を交わして、それぞれの部屋へと帰ったのだった。



 あ~、今日は亜栖実さんと言い、ルイスさんと言い、重大な話しばっかり飛び交う1日だったなぁ…。


 うぅ、考えすぎて頭痛くなって来ちゃった…。


 今日は早く寝よっと。



◇◆◇◆◇◆


「はろ~、裕翔☆」


《やぁ、亜栖実。シエロ君との話し合いはどうだった?》


 一組のテーブルと椅子のセット、それにベッドが一台ある他は何も無い雑然とした部屋の中で、僕こと上坂亜栖実は、白石裕翔といつもの様に定時連絡をしていた。


 1回するのを忘れてたらスッゴい怒られたから、気を付けてるんだ!


 全く、10日連絡しなかっただけで怒らなくても良いじゃんねぇ?


「ん~、色々な説明もちゃんとして、シエロ君には分かってもらえたんだけどさ…」


《何かあったのか?》


 僕はアリスちゃんについて、なるべく丁寧に説明した。


 そして―――。


「裕翔から借りた魔道具を早速使って確かめてみたから、そっちで解析をお願い。話してる感じ、嘘はついてない様に思えたけど、魔族は良い人も多いけど、嘘つきも多いからね?」


《おぉ!そりゃ助かる!早速解析してみるよ。じゃあ、こっちに送ってくれ》



 ごめんね、シエロ君。


 僕は君を守ると決めたから、例え君が信じるクラスメートでも、疑ってかからせてもらうよ?


「今、送るから」


 僕は、自身の額に付けていた【サークレット】を外すと、人を転移させるのと同じ要領でサークレットだけを裕翔の所まで転移させた。


 通信中はもう此処と裕翔が居る場所へのラインが繋がっているから、そこを感じて魔法を発動させるだけで簡単に飛ばせるから楽で良いやね♪


《うん、届いた。じゃあなるべく早く解析して、お前に結果を知らせる様にするから》


「ん。頼んだよ?何だか、嫌な予感がするんだ…。なるべく早くお願い」


《亜栖実の【嫌な予感】は当たるからな~。分かった、明日には結果を知らせられる様に頑張るわ》


「悪いね?」


《なんの!んじゃな?》


「ん。じゃね」


 水晶玉から裕翔の顔が消えて、急に部屋の中が静かになる。


「ふぅ…」


 シエロ君達に、また嘘付いちゃったなぁ…。


 僕がしていたサークレットの本当の機能は【記憶を全て読み取る】事。


 決して健康診断が出来る物じゃない。


 とは言っても、あの診断結果が適当言ったって訳じゃなくて、ちゃんとタイミング良く光魔法使って健康診断はしてるからね?


 ………。

 僕は誰に言い訳してるんだろう?



 あれは、ブロナー様からもらった記憶属性の魔石の使い道を模索してる最中に出来た試作品で、魔石自体は僕と裕翔が作った人工魔石だ。


 シエロ君に人工魔石の作り方は見せてもらってたから、そのやり方を裕翔に教えながら前に沢山作ってきた内の1つがアレだった。


 裕翔が力を込め過ぎたせいで、少し対象者に触れただけでも全ての記憶が読み取れてしまうっていう、強力な魔石に仕上がっちゃったんで、手当たり次第に読み取らないで済む様にサークレット型にしてみたらしいけど、アレはアレで使いづらいね(笑)


 記憶を読み取るにしたって、一々デコ通しをくっつけなきゃ読み取れないんじゃあ、ねぇ?


 僕とアリスちゃんだったから良かったけど、これがムサい男通しとか、よぼよぼのお爺ちゃんお婆ちゃんだったらどうするのさ…。


 需要ないよ!




 ………。



「あー!駄目だ!!」


 さっきから続く嫌な予感が、余所事考えたところで消え去ってくれない。


 僕は考えない様にベッドに突っ伏して、暫くウダウダしてたけど、いつの間にか寝てた♪






亜栖実の嫌な予感とは一体!?



ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。



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