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百四十二話目 続・遠足の謎の日


2月15日の更新です。


説明文が少し多めの回になっておりますので、読みづらい等あるかと思います。

予めご了承下さい。


本日も宜しくお願い致します。




 全然略されていない【遠足】の名称の謎を、この学園の卒業生でもある師匠こと、ゴードン・マニュマさんからお聞きしていた所です。


 遠足の名付け親はアツシ・コガネガワさんと言う方で、この学園の創立メンバーの1人にして、初代理事長をも務めた人らしいんだけど…。



「コローレは何でこんな名称になったのかを知っているかな?」


 朝から亜栖実さんと一緒に出掛けていたコローレが会話に混ざってから、何か話しがズレて来たような…?


「そうですね…。クラレンス神父様からは、アツシ・コガネガワと言う変わった方が制定なさった行事で、コガネガワ氏の思いつきでドンドンやる事が足されて行く不思議な行事だ、と伺いましたが?」


 ん?


 それだと、初め師匠から聞いた話しとちょっと違うんじゃない?


 師匠は、【子供が遠出するなら、お弁当持って遠足!】って言うちょっと乱暴な理由から【遠足】って名称になったって言ってたけど、コローレが言ってた後半部分の話しは出て来なかったよね?


 見れば師匠も首を傾げてるし、コローレは一体いつ頃の話しをしているんだろう?


 もしかしたら、クラレンス神父やランスロット先生、うちのアーサー祖父さんが通ってた時期よりもずっと前の話しをしているんじゃ…。


 確か、この学園の理事長先生はコローレの正体を知ってるって言ってたから、もしかしたら歴代の理事長先生にはコローレに関する事が予め通達されてて、特別に通わせてもらった回数が2度3度ではきかないとか?


 もしくは理事長先生は初代からず~っと変わってなくて、コローレの事情を全部知ってるか、今の理事長先生が信頼の出来る元同級生だった!とかくらいしか思い付かないんだけど…。


 いくらこの世界には長生きをする種族が沢山居るって言っても、人族と呼ばれる種族は精々生きて100~200歳くらい。


 凄~く長生きな種族でも500歳が限界だったはず!


 うん、初代から変わってないってのは無いな!


 それこそ亜栖実さん達がかけられた呪いにでもかかってなけりゃ無理だもんね?


 それか、理事長先生が精霊だって言うならいけるかも知れないけど、精霊がそんなゴロゴロ居るわけないし…。


 あれ?僕の周りって妖精とか精霊だらけじゃね?


「その話しはわしも初耳じゃな。はて?クラレンス神父は誰かからその話しを聞いたのかのう?それともその時代の教師がそう言っとったんじゃろうか…?」


「クラレンス神父様は先代の神父様からお聞きしたと仰っていました。クラレンス神父様がこの学園に通われていた際には、もう授業で教えなくなっていたそうなので」


 コローレは一瞬含み笑いをすると、シレッとクラレンス神父よりも前の神父様に聞いた事だ、と言い出した。


 たぶん、さっきの含み笑いはイヤミな方じゃなくて、ヤッベ!やらかした☆的な含み笑い何だろうと思う。


 って言うか僕ならやる(笑)


『コローレさんがそんなヘマするかしら…(ボソッ)』



「クラレンス神父様よりも前と言うと、一体どんな方だったんだい?クラレンス神父様の前任者なら、さぞかし立派な方だったんだろうね?」


 クラレンス神父信者?のマルクル先輩が珍しく目をキラキラさせながらコローレに問い掛けた。


 まさしく、貴方の目の前に居るのがクラレンス神父ですよぉ~?ってマルクル先輩に知らせたら、彼はどんな顔をするんだろう…。


 恥ずかしくなって、闇属性魔法を使って姿を眩ますか、有り得ない!と絶対に信じないかのどちらかと見たね!(笑)



『マルクル君なら、なんか普通に信じそうだけどね?』


『んだんだ』



「クラレンス神父様の前任者は【フェラリーナ】様と言う女性だそうですよ?私はお会いした事がないのですが、とても慈愛に満ちた素晴らしい方だったそうです」


「フェラリーナ…。ふむ、昔一度だけお会いした事があるのう。確か、わしよりも5学年上の先輩じゃったハズじゃ。よく学年トップの成績を取って表彰されておったわい」


 へぇ~、クラレンス神父の前にもあの教会に神父様が居たんだ。


 ………、ってそりゃ当たり前か(笑)


 クラレンス神父だって元から精霊だった訳じゃないもんね?


 でも、女の人が神父様だった場合って何て名称になるんだろう?


 向こうの世界では、女性は牧師様にはなれても、神父にはなれないって話しを聞いた事があるんだよね?



『ねぇ、また無視されたわよ?』


『シエロには困ったもんだなぃ?』


『すぴ~』


 あ~、フロルは可愛いなぁ~。



「ふむ。では、そのフェラリーナ様の時代、ゴードンさんより5つ前の世代の時は、まだ試行錯誤している学園行事があったと言う事なんだね?」


「はい、と言いますか、遠足自体がフェラリーナ様がご入学した際に出来た行事だそうで、初めはただ天気が良いから先生と生徒全員で軽食を持って近くの丘まで出掛けよう!と言っていたものが、次第に遠出をして獲物を狩り、その場で調理して食べる行事に、果ては魔物狩りをする行事へと変化していった、と私はお聞きしました」


「じゃあ【遠足】と言うのは、元々は本当にちょっと遠くへ足を伸ばして、外で気持ちよくお弁当を食べる行事だったって事なのかしら?」


 珍しく黙ってコローレとマルクル先輩の話しを聞いていたリペア先輩が、不思議そうな顔をしながら話しをまとめてくれた。


 でもさ、よく考えたら可笑しな行事だよね?


 向こうの世界でならいざ知らず、魔物が跋扈するこの世界で呑気に遠足ってさぁ?


 リペア先輩が不思議そうな顔をする訳だよ。


「第1回目の遠足から少しの間はそうだったようです。そもそも昔は今と比べると魔物の数も極端に少なかったそうですから、理事長先生の思い付きで外へ子供を連れて行っても安全だったのだと…」


「そう言われりゃあ、わしらがガキの頃ぁ野っぱらを駆けずり回っとっても平気じゃったのう?」


「魔王の影響からか、最近は特に魔物の被害が増えていますからね?ついこの間もイビルリザードがこの付近で確認されたばかりですし…」


 そっか、昔は魔物の数からして少なかったのか…。


 魔王は、倒されてもすぐに新しい魔王が世界の何処かで生まれるんだってシルビアーナ達は言ってたけど、寿命の無い女神達の【すぐ】だし、本当のところは数十年単位で間が空いてたかもしれないよね?


 それだったらその期間は魔物が鎮静化したりして襲われる回数が減るのかもしれないし、子供だって気軽に外へ出られて、楽しい遠足にだって行けたのかもしれない。


 仮説の域は出ないけど、たぶんそんなところだったんだろうなぁ…。


 あっ、そうだ!後で亜栖実さんに通信機借りて、女神達と話しをしてみようかな?


 魔王がいなくなってから、どれくらいの期間で次の魔王が生まれるのか?とか、アツシ・コガネガワさんはどんな人だったのか?とかを聞いてみたい!


 あわよくば、昔のコローレの話しも…。


 あれ?なんでこんな話しになったんだっけ?


『貴方がなんで遠足なんて変な略し方するんですか~?って言ったからよ』


 あっ、そうだったね。


 遠足の名前の由来より気になる話題が多すぎて、はじめの方の会話なんか忘れてたよ(笑)


『はぁ、やっと返事が返ってきたわ…』



「昔は魔物が少なかったのですか…。イドも、そんな時代に生まれたかったのです!イドはチビだから、逃げるだけでもひと苦労なのですよ!!」


「でも小人族は隠れるのが上手いだろ?俺みたいに攻撃力がない奴らの方が問題だよ」


「エストラ先輩は魔力も物理攻撃力もエルフ寄りではあるですが、魔法攻撃力はドワーフ寄りで弱小ですからね?」


「うるさいよ!どうせ俺は攻撃力の欄だけDランクだよ!?」


 まっ、まぁまぁ2人とも落ち着いてくださいよ?


 普段は仲が良いくせして、何でいつも同じ内容で喧嘩してんですか!



 やれやれ、まぁ今日はどうして【屋外魔物退治実習遠征】の略が【遠足】なのかって事の謎解きが出来たし、学園じゃ教えてくれない様な話しも聞けたし満足かな?


 後は亜栖実さんに通信機を借りて…。


 え?コローレは先に帰ってきただけで、亜栖実さんはまだなの?


 マジか~orz


 しょうがない、シルビアーナ達と話しがしたかったけど、またの機会にするとしようか…。



◇◆◇◆◇◆


 この星の何処かにある家の地下室にて、誰かの話し声が聞こえていた。


「ブロナー様、シエロ君の歪みの原因は分かったんですか?」


《ん。大体分かった。シエロ、君は?まだ私のせ、いだと思ってる?》


 話し声の正体は、チームきなこもちのメンバーアスミ・ウエサカと、女神が1柱ブロナーであった。


 どうやら2人は拳程の小さな水晶玉を通して話している様だが、暗い地下室を照らしている物は燭台につけられた蝋燭1本の為、上手くその様子を窺い知る事は出来ない。


「うん。シエロ君はすっかり信じてるみたいだから、安心して?で?歪みの原因は?」


《やっぱり、あの時使、い魔に接触した事で、浄化しきれてい、なかった邪神の呪いが顔を出した、みたい》


「シエロ君の魂の修復は終わったんでしょ?なのに、何故今更?」


 ブロナーの答えに、納得がいかない様子で首を傾げるアスミ。


 蝋燭の火が彼女が動く度にユラユラと揺れ、アスミの顔に影が出来た。


《修復は確かに終わって、いたし、完璧なハズだった。まさか一度、しかも不完全、な使い魔と接触した、くらいで、私達でも確認、出来ない様な小さな澱が、あそこまで増幅するとは、思いもしなかった…》



「ブロナー様達でも気が付かないくらい小さな欠片で、あそこまでの被害を及ぼすなんて…。やっぱり邪神はヤバい奴だねぇ…。で?あの時取り出した邪神の欠片からは何か分かったの?」


 アスミからの問いかけに、水晶玉越しにブロナーが頷く。


《ん。まだ解、析途中だけど、呪いの、源について、何か分かりそう…》


「本当?」


《ん。詳しくは、もう少し分かってから、話す。もしかしたら、この間みたいに、大事な、ところだけ、虫食い、の可能性も、ある…》


「了解。じゃあまたこっちでも、色々調べてみるよ☆今日はコロさんが手伝ってくれたから定時連絡の時間よりも早く通信出来たしね?」


《ん。ありがとう。でも、くれぐれも無茶、は、駄目。アスミちゃんは私の大事な、友達なんだから、ね?》


「こっちこそありがと。大丈夫、命あっての物種ってね?無謀な事はしないさ♪」


 アスミは得意のウインクをすると、それじゃあまた定時連絡でね?と言い残し、通信を切った。


「ふぅ…」



 暫く蝋燭の揺れる灯りを見つめていた彼女だったが、自分の持っていた鞄に水晶玉をしまい蝋燭の火を吹き消すと、暗闇に溶け込む様に姿を消した。


 残ったのは蝋燭の白い煙にけぶる石造りの地下室と、その煙を吸い込む程の暗闇のみであった…。





私達の世界には女性の神父はいないそうなのですが、シエロがいる世界では女性の神父もいます。


この場合は神母(しんぼ)様と呼ばれていますが、何か語呂が悪いですね(笑)


本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。



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