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百三十八話目 ブロナーと記憶の魔石作りの日



 人工魔石の存在を知らなかった亜栖実さんの為に、彼女の目の前で実践中の僕です。


 どうせなら僕が今まで作った事がない魔石を作って?との亜栖実さんの要望を受けて、【時空属性】の魔石を作ってみせる事になったのだけど…。



「お~、裕翔が持ってたやつとそっくりなのが出来たねぇ?」


 そっくり、かなぁ…?


 僕達の目の前には、裕翔さんに見せてもらったのとは全く違う、禍々しいオーラを放つ魔石が鎮座していた…。


 とりあえず、【鑑定】でもしてみるか…。


 この【鑑定】魔法、実は師匠に教えてもらったんだ☆


 前々から、師匠に一々鑑定してもらうのも申し訳ないし効率悪いな~って思ってたんで、この間師匠が学園にいらした時に思い切って聞いてみたら意外とあっさり教えてくれた。


 何かお前は自分が作った魔道具の価値を知る所から始めろって、目で言われてる気がしたけど、こういう得体の知れないのが出来上がった時とか重宝させてもらってます、はい…。



「《鑑定》!」


「おや、シエロ君は鑑定魔法が使えたのですね?流石はシエロ君、素晴らしいです」


 コローレが何か言ってたみたいだったけど、僕は目の前の魔石の鑑定結果に顔が引きつっていて、それどころじゃなかった。


 あっ、鑑定結果は此方の通りです。


―――


《時空属性の人工魔石》


属性色:紫


込めた時空属性の魔力が多すぎて、水晶玉の許容量がギリギリの魔石


売却予想価格:???


―――


 何かさ~、何かさ~?


 許容量がギリギリって所もアレだけど、売却予想価格が【?】になってるの何て、僕始めて見たよ。


 兄さんにあげたブレスレットだって、ちゃんと金貨3枚って出たのに、これは【?】だもんなぁ…。



「どうだった?上手く行った?」


 ん~、上手く行ってるか行ってないかって言ったら、行ってる方何だけど…。


 僕は何とも言えない鑑定結果を、そのまま亜栖実さんに伝える事にした。


 すると、


「おほぉ~!キャパギリとかウケんね?でも、それくらいの方がブロナー様のとこまで繋がりそうじゃない?通信用の呪文くらいなら見た事あるから僕でも書き込めるしさ、向こうと繋がるかどうか試してみようよ?」


 との返事が返ってきた。


 許容量ギリギリって事をそこまでプラス思考で受け取れるって凄い才能だよなぁ~。


 僕尊敬しちゃうよ…。


「あっ、じゃあ、許容量が本当にギリギリなので、暴発しないように何か結界とかだけでも…」


「ん?そんなまどろっこしい物いらないよ?要は暴発しなけりゃいいんだからさ☆」



 めっちゃポジティブ!!orz


 自信満々で魔石に呪文を刻み込んでいく亜栖実さんを、僕はハラハラしながら見守る事しか出来なかった。



――――――


《は・ろ~?まさ、か2人で、通信用魔道具を完成させられるとは、思ってもいなか、った…。ぐっじょふ!》


 亜栖実さんがチャッチャッと書き込んで仕上げた魔道具を起動すると、待ってましたとばかりにブロナーが出た。


 しかしぐっじょふて…。


 そこはグッジョブな?


《て、へ☆しっぱい…。で?私はシエロ君が欲しがってる、記憶の魔石を、作れば良いの、かな?》


「話しが大分飛躍したな!?えっ?何でそうなったの?」



 いや、何でドヤ顔してんの?


 水晶玉に映し出されたブロナーは、何故かドヤ顔のまま、親指を此方に突き出していた。


 確かに、昨日ジャスミン先生の所でそんな様な話しはしたけど、女神様がホイホイ引き受ける様な案件じゃないだろうに…。


《シエロ君、と私の仲じゃないか…。良きに計ら、え?》


 だから、何処で覚えてくんのさ、そういうの!


「ブロナー様、そこは良いではないか!じゃないかな?」


「違うよ!?ってか何教えてんだあんたも!!」


 だから、何であんたら一々ドヤ顔してくんの?


 あぁ、もうツッコミきれないよ!?


《冗談は、置いといて…》


「そうだね?シエロ君からかうのも楽しいけど、話しがちっとも進みやしない」



 からかわれとったんかい…orz


《場を和ませようと思っ、て?後、魔石、作りに協力的なのは、この間のお、詫びも兼ねて…。知らず、知らずの内とは言え、一番やっちゃ、駄目な事をした、から…》


 それこそ、僕らの仲だから別に気にしちゃいないんだけどなぁ…。


 そう思ったものの、ブロナーがあんまりそれはそれ!と頑なに言い張るので、僕は有り難く受け取っておく事にした。


「あっ、ブロナー様!何か分かんないけど、僕も欲しい!!」


《ん。勿論、アスミちゃんにも作る…。ちょっと待ってて?》


 何が出来てくるのか分からないけど欲しいなんて、この人凄い事言ったな…。


「で?シエロ君は何を作って欲しかったの?」


 そして、通信が切れた途端にそう聞いてきた亜栖実さんに、僕は王者の風格を感じたのだった(笑)


「あ~、実は昨日テレポート装置室で…」



 僕が要点を掻い摘んで説明すると、


「へぇ~、なる程ねぇ…。確かにそれなら、一度も行った事がない場所でも気軽に行き来出来るかもだね?」


 と、関心されてしまった。


 いや、これは昔読んだ転生物の小説に書いてあったのを、そのまま丸パクリした様なもんなんで、あんまり関心されると凄く居心地が悪くなるんですが…。


「でもさ、その知識だって思い出せなきゃ無駄になるだけでしょ?シエロ君ってさ、もし生きてたら幾つくらいになってたの?もしかして僕と同じくらいだったりして?」


 本当に僕とこの人が1つしか違わないのか?と不安に思いながらも、正直に年を伝える。


 そうしたら、案の定亜栖実さんの目が開いていって…。


「えーー!?シエロ君って僕より1個下なだけなの?うわぁ~、やっぱり転生系は羨ましいなぁ…お肌プルップルじゃないか~。あっ!ねぇねぇ、【宙太】君はどんな人だったんだい?カワイイ系?それともゴツい系?」


「ん~、顔は流石に外人風になっていますが、系統はあまり変わっていませんね…。元の世界でも、その…ぉんなの子に間違われてましたし…」


 思わず声が小さくなったのはしょうがないと思う…。


 現に、僕が女の子に間違われていたと白状してから、亜栖実さんは笑いを堪えるのに必死だったからね?


 流石の僕もこんだけ周りから笑われてると、慣れたのか怒りすら沸いてこない…。


「フッ」


『ぷふっ!?』


 けどコローレ、クレイお前らは駄目だ!!


 亜栖実さんが笑うのはしょうがなくないけどしょうがないとして、お前らだけは笑ったら駄目だろ~!?


《お待た、せ…。?シエロ君は、何を怒ってるの?》


「ナイスブロナー様!で?魔石は出来たの?」


 なんともタイミング良く戻ってきたブロナーに、亜栖実さんは凄い勢いで飛び付いていた。


 水晶越しに見るブロナーはキョトンとしていたけど、すぐに気を取り直したのか、此方に魔石を送ると言って、指を軽く振る。


 すると、通信用の水晶玉の真横ら辺の空間がグニャリと歪み、紫色の玉が2つ現れた。


 ん~、大きさは500円玉くらいかな?


 日の光に透かすと、絵の具を水に解いた時に出来る様な斑模様になっている事に気づく。


 へぇ~、何かこんなビー玉昔あったなぁ…。


《気、に入って貰えて、良かった…。今、シエロ君が、見ている方、の玉が、シ、エロ君の分。もう、君が思い描いていた通りの魔道、具に加工、してあるから、そのままでも、何かに嵌め込んで、使っても良い…。アスミちゃん、のはまだ何も加工して、ない【記憶属性】の魔石、だから、好きに使って?》


「えぇ~、僕のは魔石のままなの~?」


《アスミちゃ、ん達の場合は、使用用途が、その場になってみないと、分からないから…》


 えっ?これもう魔道具になってるの?


 それにしてはどこにも魔道具たらしめる為の呪文が刻まれていないけど…。


 何かブロナーに抗議してる亜栖実さんの声を無視して、僕は手の平にちんまり乗っている、紫色の玉を鑑定してみる事にした。


―――


《記憶属性の魔石を使った読み取り用魔道具》


属性色:紫


女神が一柱ブロナーが作り上げた魔道具で、白の斑模様に見える部分全てが書き込まれた呪文。


この魔道具をテレポーターが持ち、そのまま移動場所を読み取りたい相手の額に当てる。


次に、相手にその場所を思い浮かべてもらい、魔道具を発動。


すると、魔道具にその場所の情報が流れ込んでくるので、テレポーターは魔法を発動さえすれば、後は相手が思い浮かべた場所へ飛ぶ事が出来る。


売却予想価格:売っちゃ、駄目


―――


 売っちゃ、駄目ってブロナーの口調で書かれてるのは笑ったけど、魔道具の説明文が詳しく載っていたのは有り難い。


 ふむふむ、手に持って、相手の額に当てて…。


「シエロ君、どの様にお使いになる魔道具だったのですか?」


 さっき吹き出した他は、スッゴい空気だったコローレが僕に話しかけてきた。


「そんなにトゲトゲなさらないで下さい。愛らしいと言う事は良き事ではないですか?」


 それは100日間連続で同性からナンパをされた事のない奴だから、言える事だと思うよ?orz


「そっ、それは確かに…」


「まぁまぁ、そう凹みなさんなって。そうだ!面白い魔道具も出来た事だし、明日からテレポートの練習始めよっか?」


「あれ?ブロナーとの話しは終わったんですか?」


 僕がコローレに愚痴愚痴言っていると、後ろから亜栖実さんが声を掛けてきた。


 ついさっきまで2人の話し声が聞こえていたから、今終わったところなのかもしれない。


「うん、今通信切ったとこ。ブロナー様が君に宜しくってさ。んで、僕の分の魔石は裕翔に押し付けて(預かってもらって)来た!」


 ………。


 亜栖実さん、本音が隠し切れてないよ。


 裕翔さんに押し付けてきたのが丸分かりだよ!?



「まぁ明日は太陽の日だし、上手い事やればシエロ君の今のお家にも遊びに行けるかな~っても思ってるんだ♪頑張ろうね?」



 何かまた誤魔化されてる気がするけど、家に帰れるって言うなら頑張ろうかな?と思ってしまう、単純な僕でした…。






勇者メンバーのアスミ・ウエサカが生み出したのは、禍々しい魔石でした(笑)


本日もここまでお読み頂き、ありがとうございました。



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