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百三十一話目 続・アスミ・ウエサカの話しを聞いた日



 この学園に新しい魔術教師、アスミ・ウエサカさんが赴任して来た。


 彼女の本当の名前表記は上坂亜栖実と言い、日本人だった事を知った。


 何故か魔王の手下に命を狙われていると言う僕を助ける為に、わざわざ遠い所から来てくれたらしいんだけど…。



「まだシエロ君の存在は他の幹部には知られていないみたいでね?どうやら自分独りの功績にしようとして、魔王にも報告してない可能性が高くなってきたんで、僕が君を守ってる間に他の仲間達がそいつを倒す事になったんだ」


「では、私の出した情報から幹部の正体まで突き止めたのですね?」


「うん、人形使いのマドラだろうって、裕翔は言ってたよ。死んだクラさんの仇討ちだ!って張り切ってたんだけどね~?」



 勇者、それにその仲間達が僕と同郷で、元妖精の魔王に、邪神…。


 亜栖実さん達がこっちに来たのは12年前。


 僕と5年しか時間は変わらないのに、僕は守ってもらうだけなのかな…?


 コローレだってそうだ…。


 絶対教えてくれなかったけど、命を狙われてる僕を助ける為にわざわざ来てくれたんでしょ?


 僕は、女神にも、勇者にも、ましてや友達にも守られる存在なの?


 何か、嫌だな…。



「亜栖実さん」


「ん?何、シエロ君?何か質問かな?お姉さんがお答えしちゃおっかな?」


 ニカッと笑った目の前のお姉さんは、一体何歳の時に此方へ飛ばされてきてしまったんだろう…。


 ブロナーが元の世界へ戻さなかったくらいだから、きっと何か理由があったんだろうけど、この人達の負担を増やすだけのお荷物にだけはなりたくなかった。


 だから…。


「亜栖実さん。僕、強くなりたい…」


 守ってもらうだけは嫌だ。


 もう【誰】も、僕の前からいなくならないでほしい…。


 どうせなら、僕だって一緒に戦いたいんだ。


 だから…。


「おっ!マジぴょん?ブロナー様からも修行つけたれって言われてるから、シエロ君から言い出してくれたなら有り難いよん♪」


 あれ?


 もしかして、こんな気合いをいれてお願いしなくても修行つけてもらえたりしたのか、な?



――――――


「ブハハハハハハハ、何じゃこの魔力量!下手な宮廷魔術師よりも魔力あるじゃん!?」


 修行をつけてもらうにしても、僕の今の実力が分からないと教えようがないから、と言う事でステータスカードを見せた途端にこの有り様です。


 勇者一行の亜栖実さんにも笑われるってなんなのさ…orz



「あ~、笑った☆でも、おかげで僕が呼ばれた訳が分かったよ」


「亜栖実さんが呼ばれた訳?」


 亜栖実さんがそんな事を言うって事は、5人のうちの誰かって訳じゃなくて、ブロナーはわざわざ亜栖実さんを指名してたって事だよね?


 あれ?ブロナーから指名…?


 じゃあこの学園の理事長も、女神達と繋がりがあるって事なのかな…?


「あぁ、理事長に私からお願いしたんですよ。理事長にだけは私の正体をキチンとお話ししてありましたので、魔王の手下関連の情報をお渡しした上で、納得して頂きました」


「えっ?そうなの?じゃあ亜栖実さんをわざわざ指名した理由は?」


「たぶん、僕が【時空】属性持ちだからでしょ?僕はブロナー様から直で習ったけど、中々そうはいかないもんに~?空間系はただでさえ持ってる人が少ないしね~?」



 何という事でしょう…。


 亜栖実さんは中間子女神のブロナーと同じ、【時空】属性持ちだったのです。


 しかもこの人、今何つった?


「ブロナーから直接習った?」


「あれ?言ってなかったっけ?僕ら5人はこっちの世界に飛ばされた時、女神様達が助けてくれたから怪我1つしないで済んだんだよ。でもさ?そしたら今度は地上に降りられなくなっちゃってね~?暫く一緒に暮らしてたんだ☆」



 降りられなくなったって…。


「そりゃまたどうしてそんな事に…」


「ん~、ぶっちゃけあの女神達月に居るじゃない?どうやって此処から降ろす?みたいな話になったんだけどさ、誰も方法が思いつかなくてね?そのまま仕方ないね~?何て暫く一緒に暮らしてたら、ブロナー様がテレポートの存在を思い出してくれたんで、その時やっと地上に降りられたんだ(笑)」


 嘘ん…。


 時空を自由自在に操れるはずの女神が、自分の能力を忘れてるってどうなの?


 いや、笑ってる場合じゃなくね?


「まぁ、そのおかげで意外と楽しく修行出来たから、結果オーライかな~?って」


「そっそんなもんですか?」


「そんなもんだよ、少年!あっ、ステータスカード返すね?ありがとう。それから、僕のも一度見せておくよ」


 そう言って、これまた軽いノリで亜栖実さんは僕に、自分のステータスカードを見せてくれた。


 うぉ~!勇者一行様の情報をこんな簡単に見せちゃって良いのか!?


 とか思いつつ、僕はしっかりとステータスカードを見させて頂いたのでした(笑)


 そして、その内容が此方になります…。


―――


アスミ・ウエサカ


性別:女

年齢:22

level:76

種族:ヒューマン

魔法属性:時空・風・炎

所属・パーティー:きなこもち

スキル:魔力制御(Lv.70)、風操作(Lv.65)、時空間把握(Lv.80)、時空間操作(Lv.77)、炎操作(Lv.58)、武術:拳(Lv.79)、ヒューマン言語(Lv.5)


加護:女神達の友人

呪い:肉体・年齢の成長不可


魔力量:SS


体力値:17000/17000

魔力値:5800/5800


―――


 初めは数値のデカさとか、スキルの凄さにビックリもしたんだけどさ?


 ついつい2つの項目に目が行ってしまった。


「えっと、このパーティー名どうにかならなかったんですかね…?」


「あはは、それね~?僕もどうかと思ったんだけどさ~?うちのリーダーが勝手にそれに決めちゃったんだよね~?ウケるっしょ?」


 はい、それはもう…。


 彼女達のリーダーって事は、勇者様って事でしょ?


 勇者様のセンスが垣間見える、素晴らしいパーティー名だと思いますよ、うん。


「後、これはお聞きしても良いのか分からないんですが…」


「あぁ、【呪い】の項目だよね?それは文字通り、僕らは年をとれないって事だよ。こっちに飛ばされた時、邪神の影に障った事でつけられた呪いさ…」


 本当なら僕は34歳になってたハズなんだよ。


 と彼女は【一見】にこやかに答えてくれた。


 本当に強い人だなぁ…。



「呪いを解く方法はないんですか?」


「ん?あるよ?」


 呪いの話しをした時に、一瞬だけど拳を固く握りしめた姿が印象的で、悪いかな?とか思いつつも不躾にそんな質問をしてしまった訳なんだけど、それに対する返答が何か軽いよ!


 質問してから返答が来るまでの数瞬で、地面に何回額をこすりつけたか分からないよ!!


「あるんですか?」


 僕は、脳内の妄想を蹴散らしながら、亜栖実さんに再度問いかけた。


 あっ、人の思考を読んで笑ってた光の精霊さんは、軽く尻をつねっているよ?


 ウフフ☆


「うん、今代の魔王がどうやら呪いの解呪法を知っているらしくてね?今調べている所なんだけど、いい感じの所までは来てるんだ♪だから、今は呪いが解けるまでの貴重な時間でモチモチ素肌を楽しんでいる所なのさ!」


 今代の魔王かぁ~。


 【闇】と【風】の2つの能力を持って生まれた元妖精だったよね?


 邪神がかけた呪いの解呪方法を知っているのが魔王だなんて、もしかしたら魔王は、自分にかけられた呪いを解きたくて色々調べてるんじゃないのかな?


 もしそうなら、魔王討伐じゃない方向でどうにかならないのか――――。


「うしっ!善は急げだ!!シエロ君、今から特訓始めようぜ!?」


 へ?


「うわっ??」



 僕は最後まで考えをまとめることが出来ないまま、亜栖実さんに手を取られて校庭までの道のりを全力疾走する羽目になったのでした。


 何か、最近こんなのばっかりだ…、クスン。






勇者(笑)のチーム【きなこもち】を宜しくお願い致します((笑´∀`))


本日もお読み頂き、ありがとうございました。


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