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百二十八話目 続・初めての遠足の日



「シエロ君は目標達成ですね?お疲れ様でした。彼方にいらっしゃるスクルド先生からお昼を受け取って、そのまま先生の近くで食べてください」


「はい!ありがとうございます♪」



 さっき捕まえたラビッスの内、目標数の3匹をランスロット先生に渡すと、今日の僕の目標は達成となった。


 今回は初めての遠足と言う事で、先ずは狩りに慣れさせる事が目的らしく、連携云々は次回以降。


 見張りも先生方が交代で行ってくれるから、僕ら生徒はただラビッスを狩って、ご飯を食べて帰るだけの簡単なお仕事です(笑)


「スクルド先生~。目標達成致しましたので、お昼を頂きに参りました~」


「ん?あぁ、シエロか…。思ったより遅かったな?さては自分の分のラビッスでも確保してたかな?」


 はい、図星です…。


 思わず目を背けると、スクルド先生が吹き出した。


「フッ、それでこそシエロだよな…。ほら、待望の昼飯だ。あそこの木の下辺りで食べると良い…」


「は~い…」


 まだ笑っているスクルド先生から木箱に入ったお弁当を受け取ると、先生にオススメされた木の下に移動する。


 何か釈然としないけど、それよりお昼だお昼!


 大きな木の根っこの間に陣取った僕は、早速渡されたお弁当の蓋を開ける。


 中には、こんがり焼かれたソーセージとパン、そして殻付きのゆで卵が入っていた。


 比較的座って食べられる事が多い2年生向けのお弁当は、こんな風におかずと主食が別れて入っている事が多いのだそうだ。


 逆に6年生にもなると、さっと食べられるようにパンの中におかずが挟み込まれたもの中心になるらしい。


 色々考えられてるんだな~。


 とか思いつつ、作ってくれたおばちゃん達と食材達に感謝の祈りを捧げながらパンをかじろうとして…。


「シエロ君、此方にいらしたんですか?あんまり早いから見失いましたよ…」


 コローレに邪魔された。


「早くないよ…。血抜き終わったから、ランスロット先生に報告に言っただけだもん。むしろコローレとブロンデが遅いんだね!」


「いやいやいや、シエロ君が早すぎるんだよ…。僕とコローレ君よりも沢山ラビッス捕まえてたのに、僕達より血抜きが早く終わるなんておかしいよぉ…」


 ご飯を邪魔された腹いせに、ブーブー文句を言っていると、コローレの後ろからブロンデが顔を出した。


 んー、2人して早い早い言うけど、別に特別な事何て…。


「あぁ。そう言えば僕、今日は別のやり方で血抜きしてみたんだったね…」


 お昼にばっかり気が行っちゃって忘れてたや(汗)



 えっと、確かまだポケットに入れてあったような…。


 あっ、あったあった…。


 僕がポケットから取り出したのは、拳くらいの大きさの真っ赤な石。


 これ、実は大きさの指定に失敗した水晶で、元は無色透明な石だったんだけど、これに魔力じゃなくて血液閉じ込められたら血抜きが楽なのにな~?何て軽い気持ちで空間魔法を使ったら、出来上がっちゃった代物(笑)


 どうやったかと言えばラビッスの血管に、献血の時とかに使う針とチューブが一体化してるやつを刺した時の感じを想像しながら、想像のチューブと輸血パックに例えた水晶を繋ぐ様に空間魔法を操作。


 そしたらあっという間に余分な血液がラビッスの体から抜けて水晶の方に移り、血抜き完了、みたいな?


 自分でもあんまり簡単に出来ちゃったから、上手い事説明が出来ないんだけど、まぁ血塗られた水晶が出来上がったとだけお伝えしておきます(違)



「何か凄すぎて、何て言ったら良いのかすら分からないよ…」


 輸血パック云々の部分は割愛して何とか誤魔化しながら2人に説明すると、ブロンデからは呆れられ、コローレからは…。


「何故私には空間属性が無いのでしょうか…」


 と何故か悔しがられた。



 何故そこで悔しがるんだか、分からなかったけど、コローレだし、まぁいっか(笑)


 僕は徐に、右手に持ったままの真っ赤な水晶を太陽に透かしてみた。


 ただ真っ赤なだけの石だと思っていたけど、石の中には濃淡があって、ゆっくりと中の液体が対流しているのが見てとれる。


 何気にこの中に、ラビッス10匹分の血液が入ってるんだよな~…。


 何の気なしにやっちゃったけど、この中ってどうなってるんだろうね?



 何てぼんやりと石と空を見つめていたら、石の隣に小さな黒い点が現れた。


 ん?あんな所に星でもあるのかな?


 いやでも今は昼だし、何より黒い星なんて…。



 そう考えている間にも、その黒い点は見る見るうちに大きくなっていった。


 あっ、まずい…。



 あれ、【此処】に墜ちてくる。



「皆逃げろーーー!」


 僕がそう叫んだ瞬間だった。


《ドォーーーン》


 凄まじい音と土煙を巻き上げながら、そいつが空から降ってきたのは…。


 土煙の中から現れたのは、胴体と頭は白く、翼と頭の頭頂部だけが赤い鳥。


 一見、新種の鶏かな?


 とも思える体系的特徴を持ったその鳥は、体長が10mある事を除けば、普通の鳥だった…。



 いやいやいや、何現実逃避してんだ僕は…。


 全長10mの鶏が居てたまるか!

《キャー!》


「皆さん落ち着いて!あちらにC組のキャロライナ先生がいらっしゃいます!其処まで走って逃げてください!!」



 ランスロット先生とスクルド先生が他の生徒達を誘導している声が聞こえる。


 こいつに敵意が有ろうと無かろうと、周りの生徒達の避難がある程度出来るまでの時間稼ぎを―――。


「いけませんシエロ様!コレは討伐ランクAAのスカイウォール。別名死なずの鳥です。私達だけでは勝ち目など微塵もありません!!」


「そんな事言ったって――」




『こけこっこーー!…。あれ?ハズした?』



 はい?


 討伐ランクAAのスカイウォールさんがしゃべった…。


 しかも、こけこっこーーて…。


『ん~、かっかどぅーどぅるどぅのが良かったかな?でも僕的にこけこっこーは譲れないしなぁ…』


 えっと…。


 とりあえず、敵ではなさそうかも…?







またややこしそうなのが出て来た…。byシエロ


ここまでお読み頂き、ありがとうございました。



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