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百二十六話目 続・魔道具量産計画の日



「シエロ君、お友達とハシャぐのも良いけど、早く続きをしましょうよ?」


「えっ?あっ、すいません」


 コローレの首を前後に振っていると、呆れた様子のリペア先輩に注意を受けた…。




 何だろう、これが他の先輩なら申し訳ない気持ちでいっぱいになるんだけど、これがリペア先輩ってなると納得がいかないのは…。



――――――


「どういった感じで魔法を放てば宜しいのでしょうか?」


「普通に回復魔法を使ってくれれば大丈夫だよ?でも、なるべくせーので魔法を出してくれれば一番やりやすいけどね?」


 さて、水晶作りは終わり、次は魔法を水晶に封じ込める作業に移った。


 さぁやるぞ!!となったまでは良かったんだけど、回復魔法持ちが僕とコローレだけだった事が発覚(笑)


 仕方ないので、僕とコローレが魔石作りを担当して、他の――マルクル先輩とかリペア先輩とかかな?――先輩は魔道具の本体作りを担当してもらう事になった。


 師匠とスクルド先生は、それぞれの監督をしてもらうとして、僕はとりあえずコローレに魔石作りの手順とタイミングを確認しています。


「んじゃあ、物は試しで一度やってみようか?」


「えぇ、お願い致します」


 と言う事で、いざ実践!!


「「せーの」」


「メガヒール」


「《空間操作:魔力吸収》」



 おぉっ!?流石はコローレ、ほぼ無詠唱でメガヒールを撃ってくるとは思わなかったや…。


 コローレとタイミングを合わせて魔力吸収を行い、放たれた回復魔法がただの水晶に吸い込まれていく。


 回復魔法は他の魔法に比べて見えづらいから、一瞬本当に成功したのか分かりづらかったけど、無色透明な水晶が黄色に染まったのを確認出来たのでホッとした。


 それはともかく、やったねコローレ!


 一発成功だよ!!


 あっ、でもさ、おかげですんごい目立っちゃったけど良かっの?


 まだ目立ちたくないって言ってなかったっけ?


「はて?これでも譲歩したつもりだったんですが…」


 ちょっと焦り始めた僕を見て、本気で首を傾げるコローレ。


 まっ、マジか…。


 流石は光の精霊様だね?


 でも周りを見てみなよ…。


 皆スッゴい驚いて…、あれ?


 周りを見ると、師匠も先生も、他の部員も誰もさして驚いている様子はなかった。


 えっ?ウソだ。


 だってメガヒールをほぼ無詠唱でぶっ放したんですよ!?


 だって僕が似たような事やった時は目をひん剥いて驚いてたじゃ…。


「やっぱりシエロ君のお友達も凄いのです。でも、シエロ君で慣れちゃってたから、あんまり驚かずに済んだですね?」


「全くだ。普通2年生が、しかも転入したての奴がメガヒールをほぼ無詠唱で放ったら、もっと驚くもの何だろうけど…、シエロで慣れすぎたな…」


 えっ?この部活唯一の良心であるエストラ先輩までそんな風に僕を見てたの!?


 ショック…orz


「まぁ、結果オーライと言うやつでしょうかね?」


 何も上手い事言えてねぇよ…。



「師匠、確認おねがいしまぁ~~す…」


「ふむ、なかなか上出来な魔石が出来たな?」


 僕が落ち込みながら師匠に人工魔石を手渡すと、師匠は早速鑑定してくれた。


 更に、これなら上等な回復用魔道具が作れそうだ、とお墨付きまで頂けたので、僕の落ちたテンションはうなぎ登りだ(笑)


 えっ?単純?


 やかましいやい!?



「回復用の人工魔石が出来たなら、此処からは僕とリペアの出番だね?フフフ、凄い魔道具を作ってしまうよぉ?」


「あったり前ですよ!私と先輩が本気で作るんですから☆うふふ~、腕が鳴るわ~♪」


 おぉ、何時になく御2人が燃えていらっしゃる!?


 これは面白くなって来たよ~?


 よぉし!じゃあこっちも頑張って、回復用人工魔石を量産しないとね!?



――――――


 と言う事になった僕達は、約一週間をかけて回復用魔道具を開発、量産していった。


 途中で、リペア先輩から話しを聞いたルーメン姉さんも部室に顔を出し、回復用魔道具の有用性について師匠相手に力説し始めると言った一幕もあったけれど、作業は順調に進んでいった。



 そして―――。


「出来たーー!」


 マルクル先輩が珍しく大きな声で叫ぶ。


 何故ならたった今、全学年に貸し出せるだけの、回復用魔道具の生産が全て終了したからだ。


 1学年につき50個ずつ。


 初等科6学年、それに高等科3学年分を含め、計450個の魔道具が此処に完成した事になる。


 うん、ちょっとした業者レベルだもんね?


 これだけの数の魔道具を作ったんだ、いくら普段はクールで皆を一歩引いた所から見ているマルクル先輩だって、雄叫びくらいあげたくなるってぇもんだよな。



 あっ、そうそう。


 言い忘れてたけど、回復用魔道具は、初めに僕が作ったブレスレット型で統一されたよ。


 やっぱり、他人にも自分にも魔法がかけやすい形ってなると腕輪か指輪が比較的作りやすい形になるんだけど、指輪だとすっぽ抜けるのが不安だと言う話になって、結局ブレスレット型に決定したんだ。


 まぁ流石にミスリルを沢山用意する事は出来なかったから、比較的魔力を通しやすいシルバー製になった。


「フフフ、これだけ同じ魔道具が並んでいると壮観ですねぇ?」


「でしょ?うふふ、コローレ君も手伝ってくれてありがとうね?これから【用具部】へ納品に行った後で食堂でパーティーするのよ?貴方もいらっしゃいな☆」


 え?パーティー?


 そんなのいつ決まったんですか…?


 いや、ちょっと待っ!?


 僕達の間に割って入ってきたリペア先輩は、そのまま僕達の手を取って…、と言うか引きずりながら意気揚々と部室から出て…。


 行こうとして、他の先輩方から止められていた。



「リペア!魔道具を持たずに何処へ行く気なんだい?第一、パーティー何て話しは初耳だよ?いつ決めたのさ!?」


「そうなのです!せっかくキッチリ分けたのですから、皆で運ぶと決めた約束は守るのです!」


「分けて魔導袋に入れたのは俺だけどな…。そもそも皆で運ぶって言い出したのはリペアだよ?」



 リペア先輩にお説教をかますマルクル先輩とイド先輩。


 その2人に突っ込みをいれつつも、リペア先輩へのイヤミも忘れないエストラ先輩。


 そして、素知らぬ顔で聞こえないフリをするリペア先輩。



 うん、よく見る光景だね(笑)

 って言うか引きずられた僕達の心配はナシですか、そうですか…。



「ほら、シエロも笑ってないで。これ持って用具部に納品しに行くよ?」


「はい、エストラ先輩…」



 僕の分だと渡された魔導袋をエストラ先輩から受け取りながら、漸く自分の足で立ち上がる。


 はぁ、お尻が痛くなっちゃったや…。


 全く、リペア先輩って実はヒューマン族じゃないんじゃないの?って思うときが多々あるよ…。


 だってさ、あんな細っこい腕でだよ?


 いくら僕らが小柄だって言ったって、人を2人引きずるなんて有り得ないじゃない?


 しかも笑いながらとか、ねぇ?




 あぁ、そうそう。


 さっき話しに出た【用具部】って言うのは、用務員の先生が管理してる場所で、貸し出し用の魔道具や武器、防具を点検整備してくれてる所でね?


 食堂・購買棟の3階にあって、校内見学をした時唯一、1年生の僕らが入れたエリアにあるんだ。



「じゃあ皆魔道具の入った魔導袋は持ったね?ではスクルド先生。皆で納品して参ります」


「用具部のイペットさんには話しが行ってるはずだから、魔導袋と納品書を渡して、ここにサインを貰ってきてくれれば良いからな…」


「はい、必ず頂いてきます。よし、皆行くよ?」



 は~い、マルクル先輩。


 回復用魔道具の入った魔導袋を持った僕達は、マルクル先輩の後に続いて用具部への道を進んで行ったのでした。


 皆の役に立つんだぞ~?と願いを込めながら。






シエロで慣れっこの研究会メンバーでした(笑)


本日もお読み頂き、ありがとうございました。

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