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十二話目 不思議な夢を見た日



 ゆらゆらと、心地よいテンポで身体が揺られている。


 何か、とても暖かいものに包まれている感じがして、凄く落ち着く。


 お母さんが、寝ている僕を抱いてくれているのかな…。


 何て思いながら、それを確かめたくても、どうしても目が開かなくて………。



『……。木土(きど)宙太(そらた)よ、君はこんな所で死にたいか?』


『貴方が望むなら、ワタシ達の世界で生きてみない?』



 不意に、堅く真面目そうな声と、ふわりと優しそうな声が聞こえる。


 酷く似ているのに、まるで別物と分かる双つの声が僕の周囲に反響していた。



 あぁ、僕は死んだのか…。



 でも、優しくて、暖かくて、居心地の良いこの場所から離れたくないな


 出来るなら、もう少し、生きていたいな…。


 そう思った時、世界が光に満ちた。


 目蓋の裏が、一面赤に染まる。


 僕は、余りの眩しさに驚き、反射的に目を開けた。



『その願い、叶えよう。君に祝福あらんことを…』



『次の生は、貴方にとって、素晴らしきものとなるでしょう』



 目を開けた僕に、2人の人物が微笑んでいた。




――――――

 ……………。

 夢?


 気がつくと、僕は何時ものベビーベッドの中に居た。


 見慣れた天井、見慣れたレースのカーテン、見慣れたお兄さんの睨み顔。


 うん、いつもどおりだ。

 夢か…。

 うん、今思うと内容無茶苦茶な気がしてきた。


 何故か、今のお母さんが前世の僕を抱いてたし(笑)


 にしても、夢で出てきたあの2人誰だったんだろう…。


 凄い綺麗な人達だったな…。


 2人共良く似た顔立ちで、ガーネットみたいな朱い色の瞳をしていた。


 夢だったからなのか、鮮やかな瞳の色以外は何処か朧気で、髪の色も、髪の毛の長さも、2人が着ていた服装も思い出せない…。


 けど、僕はどこかであの2人に会った事がある様な気がする…。


 一体、何処で…?



「シエロ、おはよう」


 夢の出来事に思いを馳せていると、頭上からプロクスお兄さんの声が降ってきた。

 おっと、考え事に夢中で朝の挨拶がまだだったね。


「おあー」


 もみじの葉っぱみたいな小さな両方のおててを、お兄さんに向けて精一杯延ばしながらご挨拶。


 生後3ヶ月をすぎた頃から毎日欠かさない、僕の日課だ。


 これやると、プロクスお兄さんが本当に嬉しそうに笑うから、こっちまで楽しくなってくる。


 っと、そうだ、昨日…、っていうかもう今日だったのかな?

 身体の中のフワフワしたやつを外に出す実験をしてたんだったよな?

 出して、引っ張ったり、回転させたりしてたのは覚えてるんだけど…。


 えーと、あっ、そうだそうだ、確かあの後体から切り離せないかやってみたんだった。


 で、切り離そうとした端から、砂みたいにサラサラ消えてっちゃったんだよな。


 消えてく綿アメを凝視してたら、酷い眩暈がして、そのまま気を失ったと…。


 だからかな~?

 あんな変な夢見たの…。


 んー、でももう眩暈はしてないし、気持ち悪いとかもないから大丈夫かな?


 今日も夜中に起きて、色々試してみないとな!



 でも、とりあえず今は、お兄さん!遊びますか!!




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