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十一話目 成功した日



 熊爺こと、ベアード医師の診察から10日が経ちました。


 どこも悪いところも無く、健康だとのお墨付きも貰った事だし、魔法を使えるように頑張りますか。



 今は、皆が寝静まった真夜中だか、明け方に近いくらいの時間。


 僕はあれから毎日このくらいの時間に起きて、体の中に感じる魔力らしきものを体外に放出する方法を試していたんだけど…。


 どうやらこれ、そのまま出そうとすると失敗するみたいだね。

 いや~、ここまで気づくのに1月半かかったよ。

 何?もっと早く気づけって?


 ごめんね!?


 横になったまま体の力を抜くと、どうしても寝ちゃうんだよ!


 朝までぐっすりコースだよ!

 何たって、まだ生後3ヵ月だからね!!


 グスン。


 気を取り直して…。


 えーと、昨日は寝ちゃったから、一昨日か…。


 やった時は、お腹の中でフワフワしてるやつをブロックみたいに固めてから出せばイケるかも、とか思ってやってみたら失敗したんだよな…。



 んー、今日はお腹の中でぐるぐる動かして勢いをつけてみようかな。


 何かフワフワしてて綿あめみたいだし。



 そうそう、基本僕は直感で動くタイプだからね☆

 まぁ、その分失敗も多いんだけど。



 よしっ!



 気合いをいれた僕は、ゆっくりと目蓋を閉じて体中の力を抜き、お腹の辺りに意識を集中させる。


 大抵体中の力を抜いたところで、見えない敵に負けて寝ちゃうから細心の注意が必要だ。


 縁日とかで見かける綿アメを作るあの機械を想像しながら…。


 ぐるぐる…、ぐるぐる…。



 おっ?綿アメ機の想像が上手い事いった様で、お腹の中をフワフワ漂っていた何かが、ゆっくりと回り始めた。



 おぉー、いい感じいい感じ!


 本当の綿アメの様に、体の中のフワフワしたものが一カ所に纏まってきた気がする。


 調子に乗って、そのまま回転速度を上げてみる。



《ぐるぐるぐるぐる……ギュンギュンギュンギュン》



 綿アメ機の回転力だったのが、扇風機の【中】くらいの回転力で回りだした頃合いを見計らって、お腹から動かないか試してみた。


 お腹の中の小さな台風は、ゆっくりと、しかし確実にお腹から胸の辺り、右肩を通って、手のひらから外へ…。



 うっ?うおぉおぉおぉぉー!?

 でっ、出来たー!!



 僕の右手のひらの上には、淡い光を放ちながら、クルクルとゆっくり回り続ける小さな綿アメがのっていた。


 見た目はと言うと…。


 んー、最近の綿アメってさ、凄いカラフルなのとかあるじゃん?


 あんな感じで、上から、黄色、白色、黄緑色、茶色と層になっている。


 うーん、やっと自分の目で確認することが出来た訳だけど…。

 お兄さんともお姉さんとも違う色だし、淡ーく発光してるけど見た目はモロ綿あめだし…。


 これじゃあ、何が何だか分からないな…。


 んー、茶色は土属性とかだったりするのかな?


 正直、チョコレート味の綿あめにしか見えないけど……。



 これって、美味しいのかな…。

 ちょっとなら大丈夫だよね?


 いただきま~す。


《パクッ》


 あっ、何だ。

 これ自体に味はないんだ…。


 なまじ美味しそうに見えただけに、ちょっと残念。


 まぁ、食べるものじゃないし、当たり前っちゃ当たり前だけど…。


 んー、出してはみたけど、これどうしようかな…。


 時間経過で消えれば良いけど、消えなかったらお母さんとジュリアさんに絶対騒がれるよな


 うーん、食べて証拠隠滅する?

 でもなぁ…、味しないし、口溶けはそこそこいいけど、どっちかって言うと食感が、ガチめの綿っぽいんだよなぁ…。


 とりあえず、せっかく出たんだし、勿体ないから色々実験してみるかな。


 先ずは、体内でやっていた様に超高速で回転させてみる。


 体内にあった時よりは若干やりづらかったけど、綿アメが凄い勢いで回りだした。


 うわー、竜巻みたい☆


 いやいや、これは小さくても危なそうだな。


 うん、止めよう。



 回転が緩くなったところで、次は伸びるかやってみた。


 とりあえず、各色の層事に引っ張ってみる。



『みょん』


『みょーーん』


『みょいん』


『みょいーーーーん』


 ふむ、白いところと、茶色のところは良く伸びるな~。


 腕がそこまで長くないから、どこまで伸びるかの実験はまだ出来ないけど、この分だと結構長く伸びそう。


 それじゃあ次は、体から切り離せるか…。


 やってみようと思ったところで、急に手のひらの綿アメが空気にすーっと霧散していった。


 あれ?と思ったところで、凄い目眩がして、目を開けていられなくなる。



 あー、これがよくある魔力切れってやつなのかぁ…。


 何て事を考えながら、僕は意識を手放した。




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