将兵記念墓地での事件③
「多くのキロヌカ人は、記念墓地を「帝国の侵略戦争を礼賛する場所」と言って執拗に批判しています。ですが、「大戦争」を始めとする、帝国の過去の戦いで命を捧げた、将兵を慰霊する記念墓地は必要なのではないでしょうか?」ブロッサムは、そう参加者に訴えかけた。
「60数年前に起こった「大戦争」で何万、何十万という数の将兵が、生まれ育った祖国や家族を守るために、尊い命を捧げました。彼らは「記念墓地で再び会おう」を合言葉に、戦いに臨んだのです。その魂が戻ってきて、静かに眠りにつく場所が記念墓地です。しかし、今回のキロヌカ人が起こした爆発は、将兵の安らかな眠りを妨げる、絶対に許容してはならないことです!」参加者から「そうだ!」などとかけ声が上がった。
ブロッサムが広場の脇をふと見ると、通行人が集会を見ながら通り過ぎていて、「何だあれは?」というような不思議そうな表情を浮かべていた。それを見て、ブロッサムは言った。
「熾烈を極めた「大戦争」に帝国が負けてから、帝国には「記念墓地は侵略戦争の悪しき象徴」という風潮が広まりました。それに伴って、戦で命を捧げた将兵への畏敬の念も、次第に失われていったのです。今や、臣民の多くは、記念墓地への関心は薄いと言わざるを得ません!この現状を、「大戦争」で散った将兵が見たら何と言うのでしょうか?非常に情けない事だと、私は思います!」さらに、ブロッサムは言葉を続ける。