ブロッサムの挑戦
これは、異世界を舞台に展開される物語である。
異世界にある、エクスカリバー帝国の帝都ベルンハイム。ここは、帝国の商業、文化、その他あらゆるものの中心地である。ベルンハイムは、帝国内外から人が集まり、いつも賑わっている。
ある晴れた日の午後、帝都の北に位置する広場で3、40人ばかりのグループの集会が開かれていた。集会の参加者は、帝国の紋章が描かれた小旗を手にしている。グループのリーダーの、小太りの男が、広場全体に響き渡るほどの大声で語っている。「私たち帝国の臣民は、キロヌカ人によって長い間苦しめられてきました。今までは、キロヌカ人に怒りの声をぶつけたくても、ぶつける者はほとんどいませんでした。ですが、私がリーダーの「[特権]を許さない臣民のギルド」は、帝国で初めてキロヌカ人の無法に声を上げ初めました。私たち帝国臣民は立ち上がるときが来たのです!」すると、参加者から「そうだ!」、「その通り!」と声が上がった。男の話は、なおも続く。「キロヌカ人は[特権]を手に入れ、長い間帝国に居座り続けてきました。そんなキロヌカ人を黙って見過ごすわけにはいかないんです。このままのさぼらせておけるか!私、ブロッサムは断固抗議の声を上げる次第です!」
ブロッサムと名乗る男は、最後にこう言った。「私のこうした発言に、「差別主義者だ」などとデマを飛ばす心無い者がいます。ですが、私は一歩も引くつもりはありません!帝都ベルンハイムからキロヌカ人の[特権]廃止を訴え続けます!」集会の参加者から、割れんばかりの拍手と歓声が上がった。