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僕らの時間は指輪と廻る  作者: 高山 和義
第2章 「時間軸」 ~澤本和葉の場合~ 
7/15

その4

母親と二人で夕食を食べ、疲れたからちょっと寝る、と言ってリビングのソファを占拠して寝てしまった母親をどかすわけにもいかず、夕飯の分の食器を手早く洗って、私は自室へ向かった。

さっき読み終わった小説の次は何にしようか、と本棚をいろいろと漁ってみる。

久しぶりにラノベも読もうかな、それとも前読んだやつをもう一回読み直してみようか。

いろいろ悩むから、毎回本選びには時間がかかる。

購入して読んでない本も何冊かあるし、そこから読んでいこうか、と一冊のラノベを手にする。

それでも、私はベタな展開とサービスシーンにまみれた定番ラノベはあまり好きじゃない。

一見普通の小説に見えるような、だけどラノベ、みたいな作品が好きだ。

だったら普通の小説読めばいいじゃん?と思うかもしれないけれど、ラノベだからこそ面白いということもあるのだ。挿絵もいっぱいあるし。

ということで、先週買ったちょっと厚めのラノベを一冊手に取ってブックカバーをかける。

とりあえず、お風呂に入るまで読んでいようか。


                  *

翌日、いつも通り目覚ましで目が覚める。

朝のニュースは流し見で、じゃんけんコーナーをただひたすら待つ。

今日も父は出張でおらず、母親も早出なのでさっき出かけて行った。

食器を洗ったり、制服に着替えたりしながら、その時間を待つ。

コーナーの案内があって、よし、とリモコンを握ってボタンを押す準備をする。

今日は誰だ?


あれ?


「『グー』でしたー」

慌ててボタンを押すも、わずかに間に合わなかった。

これまで同じ人が連続で出てきたことはなかったはずなのに。

というか、さっきまでまともに見てなかったから気づかなかったけれど、画面に出ている日付はなぜか九月二十三日、月曜日。

それって昨日じゃ?

母親が昨日のニュースを見返していて、そのまま再生しっぱなしにしていっただけなのかな、と思ってレコーダーを見ても、レコーダーの電源は入っていない。再生していたら青いランプがついているはずだが、当然それもない。

「あれ、昨日って二十三日じゃ……」

確かに昨日は月曜日だったはず。だって学校に行ってあのつまらない時間割の授業も受けて図書委員の当番もこなして……。

違和感満載どころの話ではないが、これ以上考えていては遅刻してしまう。急いで自室に戻り、鞄の中身を火曜日から月曜日のセットに入れ替えると、そのままの勢いで家を出る。

実際そこまで焦る必要はないのだが、自転車の鍵を外したところで家の鍵をかけていないことに気づき、やばい時間時間、と腕時計を見たあたりでようやく落ち着いた。

家の鍵をかけたことをしっかり確認して、自転車にまたがる。

昨日で乾いたはずだから大丈「ひぇっ!?」

冷たっ!

なんで?

バランスを崩しかけたが、なんとか持ち直すと、朝から増えっぱなしの疑問を振り切るように学校へ向かって走り出した。


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