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illusione vana
ちきゅうがシャボンに包まれて
しなやかな夢を見ている
少女が背伸びする
貝殻色の風
弦を爪弾く
シャラルン シャラルン
少年が飛び出す
羽根色の雲
横笛を鳴らした
森が歩み出す
まろやかに足音溶かす
山が目覚める
しとやかに裾野ぼやける
キミが全力で走っていたこと
知らなかった
汗はときめきの花火
ボーンと紅い小鳥
儚いと叫んだ
哀しいと鳴いて
刹那に消える
愛しいが苦しいと言い
悲しいが優しいに変える
移ろいの虹色以上
すべて取り巻いて
割れないシャボン玉
ぽんやり ぽんやり
止まっていたのはいつも
僕だったか
ちきゅうが笑った
不純物ばかりが美しい
ギラギラ奏でる譜面
鈍色の音符が撥ねる
ごめんね
シャボンに挿さって震えた
illusione vana
割れないシャボン玉なんて……




