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ガラスの瞳のお姫様
お姫様の瞳はガラス玉
コバルトブルーのガラス玉
美しく澄んだ瞳はガラス玉
世界は綺麗なシンフォニーブルー
王様もお妃様も家来たち
可愛いって言ってくれる
でもお姫様はいつも寂しい
見える世界はいつでもブルー
すべてひんやりとかなしいブルー
ある日 お姫様は窓を開けた
いつもの広がる青い町並み
瞳の中に青い鳥がぶつかった
ぱりんと割れたガラス玉
もう なあんにも見えない
お姫様の瞳は消えてしまった
みんなが嘆き悲しんだ
お姫様の瞳を探しに行こう
町中の人たちが走り回る
王様もお妃様も家来たちも
死に物狂いで瞳を探す
大切なお姫様のために
見ること
見つめること
見つけること
逸らさないこと
閉じないこと
向きあうこと
逃げないこと
あなたの大切なモノから
月日は流れて
お姫様は馬車に乗り
町の真ん中にある広場に佇む
もう みんな探さないで
町中の人々と手をつなぐ
だってわたしの瞳は
この、てのひらにある
みんなの優しさが見える
こんなにはっきりと見えるの
だってわたしの瞳は
この、胸の中にある
王様とお妃様を抱きしめる
ほら、こんなにはっきりと見えるの