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笹の花
この戸惑いだらけの空
無理にでもこじ開ければ
星屑の歌が聞こえるかな
そこには雨は降らないから
天の川だって増水なんてしない
カササギが橋を架けるよ
きっと織姫と彦星は手を繋いでる
睨んじゃうよ わたし
地上にはそんな浪漫はなくて
橋はいつでも当たり前に架かってる
よく晴れた日に両腕を振って
ニッコリ渡りさえすれば貴方にだって逢える
笹の葉が見つからなくて
柳の木はあったけれど
下向いて否定された
笹の葉のさらさらが聞きたかった
そうだ、貴方は知ってる?
笹の花は六十年に一度咲くんだって
花言葉は「ささやかな幸せ」
見られるかな いつか
電車もバスも飛行機も船だって
当たり前のように毎日あるのに
頑丈な橋だってそこにあるのに
それなのに、それなのに
心の架け橋と言うものは
あまりにも細くて、脆くて
消えそうで、あやふやなんだろう
笹の葉が見つかったら
綺麗に飾り付けをして
わたしは短冊に書くでしょう
ーどうか貴方と天の川に架かった橋の上で手を繋げますようにー
夢を見たっていいじゃない
今、精一杯のわたしの願い
貴方と一緒になれる「ささやかな幸せ」




