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Ponte dei Sospiri  作者: さゆみ
囚われしものたちの欠片
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La persona che si batte (闘う人)

リクエストにお応えして(されてない…いや、されたような…)物語風です。果たして詩なのだろうか?

※いーちゃんとわたしの物語りはすべてフィクションです。



いーちゃんとわたしは幼稚園に上がる前からの幼馴染み。いーちゃんは弱虫なわたしをいつも外敵から守ってくれた。いつもそばにいてくれた。わたしはいーちゃんにべったりくっついていた。いーちゃんがいないと何も出来ない子だった。


でもそれは、いーちゃんにはすごい負担だった。時々お腹が痛いって泣いていた。いーちゃんだってそんなに強くなかった。先生とお母さんに言われて、いーちゃんはわたしのお守から解放された。わたしは、いーちゃんと遊べなくなった。それからいーちゃんの腹痛はピタリと治まった。


中学になっていーちゃんのお母さんがいなくなった。いーちゃんの悲しそうな顔が遠くに見えた。わたしは、いーちゃんに近づくことは出来ない。いーちゃんは、まもなくどこかに引っ越してしまった。もう会えないと思った。わたしはサヨナラも言えなかった。


わたしは高校生になっても誰かに依存しきって、一人じゃ何一つ行動出来ないでいた。何とか高校は卒業したものの進学も就職もせず、ふらふらしていた。そんなある日、バイト先のコンビニに、いーちゃんが現れたのだ。ビックリした。だいぶ痩せてしまっていたけど、一目見ていーちゃんだと分かった。いーちゃんもわたしを見て、ニコッと笑った。すごく嬉しかった。


いーちゃんとメールするようになり、初めて一緒に渋谷で遊んだ。そして、いーちゃんが病気と闘っていることを知った。いーちゃんの体の中は、じっとしていても百メートルを全速力でいつも走っている状態だ。だからいつも脈拍は早くて動悸がする。新陳代謝がハンパないので異常に汗をかき、いつも空腹感がある。また、手の震えが止まらない。少し歩いただけで息切れがする。わたしたちは、表参道を休み休みゆっくり歩いた。いーちゃんには薬があまり効かないらしい。傷が残るけど手術を受けたい、まだ死にたくない。やりたい事がいっぱいあるって言っていた。


考えてみれば人は産まれながらにして闘っている。自分の中で細菌やウイルスと闘っている。そして心の中の見えない葛藤、不安、意義、価値観…… 目の前に見える現実。意識していなくても常に何かと闘っている。そして勝ちながら負けながら、喜びや悲しみ、優しさや強さなどを知る。気付かないうちにたくさんの勲章を身に付けていると思う。


だから人は、弱くて強い一生戦士だ!!








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