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大切(追記)
親愛なるキミへ
空は、細くたゆたう雲をそっと手にして紡ぎます。
ゆっくりとやさしく心込めて、まるでキミが、言葉紡いでいたように。
わたしは首が痛くなるくらい、ずっと遠く、上を上を向いていました。
空はいつしか、ミルク色のホカホカ雲を浮かべました。
キミがあたためていた、織物をしなやかに放ったように。
夏色に染められてゆく花々は、地上から吹き上がる花火のようです。
強く、熱く、柔らかく、自分色を奏でています。
もこもこに生い茂った葉を大きな木の枝は、愛さずにはいられないと、その緑を掴んで離しません。
優しさだけではなく、哀しみも寂しさも叩きつける雨も必要でしょう。
けれどもその雨も真摯に向き合ってこそ、大地に深く染み入るように降るのでしょう。
投げやりな言葉をいつも吐き捨て、キミを深く悲しませてしまったことを悔やんでいます。
言葉をもっと大切にしたい。
口から放つ言葉も、文字で連ねる言葉も、うたう言葉も、すべてを。
大切なキミに答えます。
Yes,I do.
そして
Ti voglio bene.




