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通りすがりのいつもの場所で
螺旋階段をいきたい
実際は高速のエレベーターで上下するだけ
前を向くことを人は推奨するけれど
斜めに捩れながら吐き気を催すことを
削除出来ないんだと脳内が連呼する
時と場合によるのさ、と、引きつる頬
意固地なのは性分で偏頭痛が積もる
笑顔が下手なんだ 脆いんだ
ずっと泥沼が底辺にあって
外側からの圧力に任せて
浮かび上がってるだけの抜け殻だから
不透明な空気を見つけては隠れるように
ひとり地面だけを凝視している
通りすがりのいつもの場所で
さりげなく、歌が零れ落ちればいい
木の葉が自然に身を任せるように
実直では決してないけれど
歌える幸せを幸せだと頑なに歌ってる
どんな狂気でも どんな邪鬼に囚われたとしても
微かな鼓動が見えるなら消さない 消したくない
魂の歌なんて今はいらない 歌えるはずもない
それでもいつか……
そんなふざけた叶わぬ夢まで歌える幸せを ここで抱きしめている




