表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ponte dei Sospiri  作者: さゆみ
あまいすとーりー
114/143

夜風がね


暗闇を少しだけすくって凍らせたら

漆黒の氷がうまれた

カロンカロン

グラスの中でキラッとしたのは

暗闇の背中なのかもしれない


きょうは琥珀色の飲み物を作ろう

誰かの悲しみと僕の悲しみ

僕の苦しみと誰かの苦しみ

注いでも 注いでも

琥珀色にはならなくて

それぞれに抱えてる重さは

それぞれに違くて遠くて測れない


夜風がね

僕の中に冷たくいるんだ

震えているんだ

ずっとずっと出ていかない


薄い三日月がうんと遠くから

ささやかな光で僕を照らした

あったかくなんてないけど

これっぽっちも

あったかくなんてないのに


光は誰かを照らすためにある

そんなあたりまえのこと


僕の喜びと誰かの喜び

誰かの幸せと僕の幸せ

注いでみたら 注いだ分だけ

溢れてくるよ

どんな喜びであっても

どんな幸せであっても

測れなくて計り知れないけど

分かち合うことが……


夜風がね

ぷっーと僕の中をすり抜けて

耳元を横切ったとき

くすぐったくて

少しだけ笑ってしまった

氷は溶けて 琥珀色が光ってる





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ