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17.
不覚にも泣いてしまいそうになった。
この手で紗弥を抱きしめたかった。
でも、そんなことできないのは、俺が1番よくわかっている。
何よりも、紗弥を穢すことが怖かった。
紗弥がそっと俺の手をとった。
痛みなんか何にもない。
ただあるのは、優しい温もりだけ。
「何で…。」
紗弥が俺の手をそっと頬にあてた。
「ハルト、ほんとは悪魔なんかじゃないでしょ?」
だって、こんなに優しいんだから。
そう言って、紗弥は微笑んだ。
「紗弥っ!」
俺は紗弥を抱きしめた。
もう絶対に離さないように、強く強く。
「もう、2度と離さない。」
「うん。」
「好きだ。」
「うん、俺も。」
「傍に居て。」
「居るよ、ずーっとずーっと。」
この世界が滅んでも、二つの翼で飛び立つことを決めた。
神様になんか止められない、白と黒の翼で。
悪魔と天使の、物語。




