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15.
「おーおー、荒れたなぁ。」
ビルの屋上から街を見下ろしていた俺に、耀が話しかけてきた。
「あぁ。」
「コウアに聞いたで。あいつ、天使やったんやってな。」
「そうみたいだな。」
「やから、俺前に言ったやないか。あいつはあかんで!って。」
「そういえば、そんなこと言ってたな。」
耀の話なんか半分以上聞き流していた。
もう、思い出したくもない。
「ハルト、話聞いてるか?」
「聞いてない。」
「お前が諦めるんやったら、俺がもらうで?」
ドクン、と心臓が鳴る。
「何だと?」
「俺も気に入った、あの子。俺ら吸血鬼にとっては天使もなんも関係ないし。」
「勝手にしたらいいだろ。」
「ええんやな。」
耀はそのまま飛び立った。
俺はまた、人を殺めに街に飛んだ。
***
「た、助けてっ!!」
「…バカじゃねぇの。」
また、爪で体を引き裂く。
返り血が顔にまで飛ぶ。
血で汚れた手を見るたびに、何とも言えない気分になった。
「俺のことまで、照らすんだな。」
月の光が照らすのは、血まみれになった、俺だった。




