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12.
あの日の夜。
最後に見たハルトの横顔が、悲しそうで切なくて…。
あれ以来、何も起こらない。
でも、時々夜になると、何かが湧き上がるように翼が現れる。
『天使、なんだ…。』
ハルトが呟いた言葉。
絶望したような、あの顔。
「天使なんかじゃないよ……。」
私はただの人間だよ…。
そう言いたかっただけなのに。
何も言えなかった。
暗い夜道を歩きながら、空を見上げた。
「そういえば、初めて会ったのも、こんな日だったっけ…。」
空から降ってきた悪魔。
最初は何にも信じられなかった。
でも、悪魔のくせにちょっとヘタレで、優しくて。
意地悪だけど、それでもどこか憎めなかった。
「会いたいよ…、ハルト…。」
せめて、もう1度だけ。




