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光と影、二つの魂  作者: そら
第三章 鏡の前で
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第二話 ノクス編 七賢院の逆用——罠の内側へ

ノクスは七賢院の偽情報を三つの方向から確認した。


一つ目——情報の出所を追った結果、七賢院の情報部門「影糸かげいと」の下部工作員を経由していることが分かった。


二つ目——内容を精査したところ、細部に意図的な誇張と誤りが混じっていた。

聖枢機卿の「弱点を洗い出している」という部分に整合性がない。


三つ目——ドゥルスに確認を取ったところ、この種の偽情報工作は「二つの力を引き離す」ための常套手段だと教えてくれた。


「七賢院は俺と枢機卿を警戒している」


ノクスは地図を見ながら言った。


エルザが静かに言った。

「二人が連携すると、七賢院には止められないと判断したのでしょう」


「だろうな」


カインが腕を組んだ。

「しかし——枢機卿が偽情報を信じれば、俺たちへの警戒が高まる」


「信じるかどうかは、あの男の判断次第だ」


ノクスは地図から目を上げた。


なぜか——信じないと思った。

根拠はない。

しかし、あの男が下手な偽情報に乗るとは思えない。

何かが手に取るように分かる感覚があった。

それが何なのか説明できない。

ただ——分かる。


「ドゥルス」


「はい」


ドゥルスが部屋の隅から近づいてきた。


「七賢院がこの偽情報を流した経路を逆に使う。どの工作員がどの経路を使ったか——全て洗い出せるか」


「七賢院の暗号体系は知っています。ただし、最近変更された部分は把握できていない可能性があります」


「どこまで分かる」


「賢者四番が管轄する影糸の、王都内部の連絡網については——ほぼ完全に」


ノクスは少し考えた。


「やれ。賢者四番の工作員のリストが揃えば——証拠として使える」


ドゥルスは頷き書類を手に取った。

エルザと共に作業を始める。

その背を見ながらノクスは窓の外に目を向けた。


夜の王都。

光と影の境目が石畳の上を走っている。


同じ夜——聖枢機卿も何かを考えているはずだ。

同じ偽情報を受け取ってどう判断しているか。


ノクスは頭の奥の白いローブの残像を一瞬意識した。

それから目を閉じ意識を戻した。


今夜やるべきことがある。


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