表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/75

第七十三話 繋がる想い

 その夜。

翔太は、夢の中で、見覚えのある草原に立っていた。

青空。

風に揺れる草。

異世界の匂い。

目の前で、白い猫が人の形にほどけるように変わった。


 「――アイリ……?」


夢の中のアイリは、どこか申し訳なさそうに笑った。


『ようやく会話できたな、翔太。

ずっと、夢を通して呼びかけてたんだ』


 「夢は……お前が……?」


『ああ。お前の記憶は悪魔に“吸い取られている”から、

外から揺さぶる必要があったんだ』


翔太は息を呑む。


 「……優希とイーヴァン……どう繋がるんだ……?」


アイリは空に手を伸ばし、小さな雷を生み出した。


『一度だけ試したいことがある。

これで――記憶の封印を“壊せる”かもしれない』


 「雷で……?」


『前にイーヴァンが雷の攻撃を受けて、記憶を取り戻してんだ』


迷う時間はなかった。


(俺は……知りたい。全部……)


 翔太は覚悟を決め、うなずいた。

次の瞬間、アイリが雷の魔法を放った。

閃光が翔太の体を貫く。


 「――っ!!」


 世界が弾けた。


 暗い洞窟。

仲間の叫び。

イーヴァンの笑顔。

優希の涙。

すべてが一気に押し寄せる。


(……俺は……

優希を……

イーヴァンを助けたかったんだ!!)


 全ての記憶が、繋がった。

翔太は叫びながら目を覚ました。

胸が熱い。

涙があふれる。

すぐに家を飛び出し、優希の家へ向かう。




―――インターホンを押すと、驚いた顔で優希が出てきた。


 「しょ……翔太?

どうしたの、こんな朝早く……」


翔太は言葉にならず、ただ優希を抱きしめた。


 「……やっと……思い出した……全部……!!」


 「……全部って……本当に……?」


 優希も泣きながら、翔太を抱き返す。

その時、足元で小さく声がした。


 「やっと、か」


 白い猫――アイリが立っていた。

今度は輪郭がはっきりしている。


 「アイリ……!」


 「お前が記憶を戻したおかげで、

俺の“存在の揺らぎ”も戻ったわけだ」


優希はポカンとするばかりだ。


 「……なに……猫がしゃべ……え、誰……?」


翔太は笑って、涙を拭いた。


 「大丈夫だよ。

説明するから。全部……全部話すから」


アイリは誇らしげに尻尾を立てた。


 「異世界では、もう三年の月日が経っている。

安心しろ。みんな無事だ。

あの時、別の洞窟に転移しただけだった。

お前のこと、ずっと心配してたぞ」


翔太の胸が熱くなる。


 「……そうか……みんな……」


アイリはあくびをして、言った。


 「俺はもう、あの世界に戻れない。

でもこの世界、楽しそうだしな。

ここで暮らすよ。

――お前を、助けられて良かった」


翔太はアイリに微笑む。


 「ありがとう、アイリ。

本当に……ありがとう」


優希は半分混乱しながらも、翔太の手をぎゅっと握った。


 「……まだ、よく分からないけど……

でも……戻ってきてくれて、本当に良かった……!」


 翔太はその手を握り返し、優しく微笑む。

二人は抱き合い、朝の光が二人を照らした。


そして――物語は、静かに、幸福の幕を閉じる。


読んでくれて、ありがとうございました。

次回、番外編 それぞれの道


いよいよクライマックスを迎えました。

面白いと思って頂いたなら評価、ブクマを

よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ