表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/75

第五十五話 囚われの紋章

  作戦会議の空気は重かった。翔太、リィナ、ジルク、イーヴァン、そしてフェアリスがテーブルを囲み、

ドルトンを止めるための最終的な方針が議論されていた。



 「結界の解除には、時間が必要だ」


 フェアリスが指先を見つめながら言う。


 「完全に壊すとなると……最低でも数時間は」


 「その間、俺たちは城のなかへ?」


 翔太の問いに、リィナが地図を指で叩きながら応じた。


 「ドルトンが魔物を作り出している“カラクリ”。それを突きとめる。

そして、フェアリスが結界を壊した後にドルトンを倒す」


  ジルクが無言でうなずく。

 しかし――そこでイーヴァンが言いにくそうに口を開いた。


 「でも……もし、結界が解かれる前にドルトンと戦闘になったら……」


 視線がイーヴァンに集まる。


 「今の城下の人たちは、ドルトンを信じきってる。

 もし私たちが結界を破って、“いなくなったドルトン”だけを残したら……きっと、

倒した私たちが悪者にされる」


 その言葉に、全員が息を呑んだ。


 「……そうなるよな…」


 翔太は拳を握る。


 「そうね。結界が解かれるまでは、ドルトンには近づかな方がいいわね」


 リィナが固い声で続ける。


 「人々が理解して初めて、ドルトンを倒す意味が生まれる」


 翔太は深く息を吸い込んだ。


 「……分かった。結界を壊すまでの時間に、ドルトンの“正体”を暴く。それが俺たちの勝ち筋だ」


 決意が固まった瞬間、フェアリスが手を上げる。


 「では、決定ね。村へ戻りましょう。私の転移魔法なら、すぐに」


 光が集まり、視界が白く弾けた。



 ―――その頃、遠く離れたドーリン城では、ドルトンが広場に立っていた。

豪奢な衣をまとい、重々しく両手を広げる。


 「聞け、城下の民よ! 魔物をレーベル村に引き寄せたのは――紋章を持つ者だ!」


 広場にざわめきが走る。


 「紋章の力で魔物を呼び込み、村を混乱させた者がいる! 奴らは危険だ!

 そして、その紋章を持つ者が今、レーベル村に潜んでいる!」


   恐怖を煽るような声が城下に響き、人々は次々と騒ぎ出す。

 ドルトンはあえて村の名を叫んだ。人々の不安と怒りを、村へ向けるために。


 ――そして、城下の人々は雪崩のようにレーベル村へ集まっていった。



   ―――翔太たちはレーベル村へと帰還していた。

 しかし――そこには異様な光景が広がっていた。

 村の正面には、ドーリン城下から押し寄せてきた人々の群れ。


 「……なんだ、これ?」


 翔太が呟くと、兵の一人が叫ぶ。


 「おい! あいつだ、紋章を持ってるっていう……!」


 「魔物を呼んだって本当なのか!」


 翔太は一歩踏み出し、否定しようと口を開いた。


 「待ってくれ。俺は――」


 しかし、その言葉をかき消すように、村の兵が彼の両腕を掴んだ。


 「待って! 翔太は何もしてない!」


 リィナが叫ぶが、人々の恐怖と怒りがその声を飲み込む。


 「連行する! ドーリン城下の要請だ!」


 翔太は地面を引きずられ、ドーリン城内の牢獄へと連れていかれた。



  ―――薄暗い牢。湿った空気。


 その中に、背を丸めた老人が座っていた。


 「……あなたは?」


   翔太が問いかけると、老人はゆっくり顔を上げた。

 白い髭、細い目元――ルイドだった。


 「わしはルイドという者じゃが……おぬし、もしかして翔太君か!?」


 「……そうだけど……どうして俺の名を…?」


不思議そうに翔太がたずねた。


 「わしは、爺だけど、ミナの育ての親じゃ。

翔太君のことは、ミナからよく聞かされておった」


 翔太の胸が締めつけられた。


 「ミナを……助けられなくて、すみませんでした」


 声が震える。ルイドは静かに首を横に振った。


 「あの子は……最後まで、おぬしを信じておったよ。

 君に出会ってから毎日、楽しそうに笑ってた。わしは、それだけで十分じゃ。」


 翔太は歯を食いしばる。


 「……この誤解を解いて、ドルトンの悪事を暴きます。

 そしてミナのためにも……必ず倒します!」


 ルイドは小さく微笑んだ。


 「まずは、ここから抜け出さんとな」



 一方その頃――。


 「翔太が捕まった!どうする!?」


 リィナが怒りでテーブルを叩く。


 「もちろん、助けに行く。もともと、ドルトンの悪事を暴きにいくんだ」


 ジルクが静かに鉄槌を担ぎ、イーヴァンは震える拳を握る。


 「フェアリス、すぐに動ける?」


 「無論。作戦は少しずれたけど、問題ないわ」


   仲間たちは、翔太を救うために動きだした。

 ドルトンの策略が迫る中――。

 闘いは、もう後戻りできない段階へと進み始めていた。


読んでくれて、ありがとうございました。

次回、第五十六話 潜入

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ