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第三十二話 リベンジ―試練の扉―

  洞窟の奥は、重く、湿った空気が満ちていた。

 翔太たちは慎重に進みながらも、焦りを隠せなかった。


「もう時間がない……急がないと」


 シーカが呟くように言った。


「魔力量の流れが……尋常じゃない。すぐそこよ」


  その時だった。

 洞窟の奥から、低い唸り声が響く。

 地面が震え、岩が崩れ落ちた。


「……来るぞ!」


  翔太が弓を構える。

 暗闇を割って現れたのは、異形の魔物――鋭い牙と黒い甲冑のような体を持つ巨獣だった。

 洞窟いっぱいに膨れ上がるような存在感。

 ただの魔物ではない。


「強い……!」


カイが息を呑む。


「くそっ、ここで足止めか!」


  翔太が歯を食いしばる。

 ジルクが鉄槌を構え、前に出た。


「翔太! 先に行け!」


「なに言ってるんだ、ここは――!」


「聞け!」ジルクの怒号が響く。


「月の重なりは直ぐに過ぎる! ここで止まってたら間に合わねぇ!」


 リィナも弓を引き絞りながら叫ぶ。


「行って! ここは私たちが引き受ける! あなたたちが行かなきゃ、意味がないでしょ!」


  翔太は一瞬迷った。

 だが――仲間の目を見て、決意を固める。


「……わかった! そっちは頼んだ!」


「任せておけ!」


  ジルクの鉄槌が振り下ろされ、衝撃で地面が割れる。

 魔物の咆哮が洞窟にこだまする。

 翔太たちはその隙に駆け抜けた。

 背後では、リィナの矢が光の尾を描き、ジルクの鉄槌が炎のように唸っている。

 ――だが、時間は残されていなかった。


「もうすぐ……!」


 シーカの声が響いた。


「魔力量が……これは――!」

  洞窟全体が震え、空気が歪む。

 翔太たちの足元に、円形の魔法陣が浮かび上がった。

 やがて、光の中から影が形を成していく。

 人型の魔物ーーー闇そのものの存在。以前に翔太に負わされた傷跡はどこにも見当たらない

 その影が、低く、響く声を放った。


「――よく来たな、紋章を持つ者よ。 

THE・試練其ノ一」


 翔太は息を呑み、弓を構えた。


「出たな……!」


 影がゆっくりと口角を上げた。


「さあ――かかってくるがよい」


  洞窟が光に包まれ、闇が弾け飛ぶ。

 翔太たちはその光の中へ――


 読んでくれて、ありがとうございました。

次回、第三十三話 試練――再び

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