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第十五話 新たな仲間

  戦いを終え、翔太とミナは囚われていた人々と共に村へ戻った。

 宿屋の前で待っていたチロルの目に、大きな影が飛び込む。


 「……お父さん!」


 「チロル……!」


 ジルクとチロルは抱き合い、声を詰まらせて涙を流した。


 「無事でよかった……本当に……!」


 「うん、お父さんも……!」


  父娘はしばらく離れようとせず、再会を喜び合った。

 やがてチロルは翔太とミナの姿に気づき、はっと息を呑む。


 「お兄ちゃん……お姉ちゃん……そんなに酷い傷……!」


 翔太の腹には深い裂傷があり、ミナは足を引きずっていた。


 「大丈夫、俺たちは平気だ」


 「そうそう、ちょっと転んだだけだから」


 二人は笑って見せようとしたが、チロルは首を振った。


 「ダメ! 私が治す!」


 両手を差し出し、小さく呟く。


 「光よ……癒やして」


  温かな光が翔太とミナを包み、裂けた肉が塞がっていく。

 翔太は腹の痛みが薄れていくのを感じ、ミナも驚いた声を上げた。


 「足が……動かせる……! 本当にありがとう、チロル!魔法が使えるのね」


 少女は少し照れながら微笑んだ。


 「えへへ……治癒魔法はお母さんに教えて貰ったのぉ」


 悲しみが、喜びの感情で満たしていく。しかし、喜びの再会も束の間、ジルクの表情は沈んでいた。


 「……オイたちの家は、燃やされちまったんだな。

もう帰る場所はない」


  その言葉に、チロルは不安そうに父の腕を握りしめる。

 宿屋の女将は当面の滞在を勧めたが、ジルクは首を振った。


 「これ以上、迷惑はかけられんで。オイとチロルは……出ていく」

 その言葉を聞き、翔太はすぐに口を開いた。


 「なら……俺たちと一緒に来ないか? しばらくは

この宿を拠点に、討伐の依頼をこなして稼いでいこうと思ってるんだ。ジルクが加われば心強い。チロルの治癒魔法も助かる」


 ジルクは言葉を失ったが、チロルが父の腕を引いた。


 「お父さん、一緒に行こう!」


 しばしの沈黙の後、ジルクは頷いた。


 「……ああ。頼む、仲間に入れてくれ」


  その夜。翔太はこれまで語らなかったことを仲間に打ち明けた。

 恋人が死んでしまったこと。彼女を取り戻すために“三つの試練”に挑まなければならないこと。

そして、試練を越える度に、魂を奪われること。


 ジルクは目を伏せ、やがてゆっくりと答えた。


 「……大切な人のために戦う。その気持ち……オイにもわかる。なら力を貸す。

それに、おまえらには助けられた恩がある。

娘を守りながらでも戦うことは出来る」


 「翔太……」


 ミナは揺れる瞳で彼を見つめ、胸が締め付けられるような感情を覚えた。


  翌日。山賊から聞き出した人質が捕えられている場所に行くことにした。

 そこには、人質を逃がさないように、山賊が見張りを立てていると考えたからだ。


 そんな中、翔太たちの前に再びあの男が姿を現す。


 「いやぁ~見事だったねぇ。廃坑を潰すなんて、大したもんだ」


 軽薄な笑みを浮かべ、片目に眼帯を着けているのは、情報屋カインだった。


「でもなぁ、山賊のいう事を信じちゃ駄目だぜ…………いい話があるんだけど、聞くかい?」


 翔太たちは目を合わせ、頷いた。


 こうして、翔太・ミナ・ジルク・チロルの四人は、新たな仲間として歩み出した。


読んでくれて、ありがとうございました。

次回、第十六話 城下町ドーリン

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