第十三話 情報屋のカイン
読んでくれて、ありがとうございました。
次回、第十四話 廃坑の決戦
まず三人はギルワークへ向かった。
一人になるのが怖いというので、チロルもついて来ることになった。
広間にはすでに人が集まっており、昨夜と同じように依頼や噂が飛び交っている。
「なあ、最近の村の騒ぎ、聞いたか?」
「南の街道で怪しい連中を見た。どうも山賊崩れらしい」
「いや、もっと奥だ。北の廃坑を拠点にしてるって話もある」
翔太は耳を澄ませ、ちらりとミナを見る。
「廃坑……昨日の噂と同じだ」
「うん。黒の魔物が出てるって噂の場所」
掲示板の端、依頼書の隙間から漏れる会話が胸にひっかかった。
と、その時、一人の男が翔太のところへ向かってくる。
「知りたい事は、何かわかったかい?」
(――なんだ!?……この男は)
まるで、すべてを知っているかのような物言いで、
話しかけてくる男。
片目に眼帯をし、自信に満ち溢れている。
「すまん、すまん!」
「いきなり話しかけて不審な奴だと思われたかな。
俺はカイン。情報屋だ」
(……情報屋!? 俺たちが情報収集でここにいることがわかるのか?)
だが、そんなことはどうでもいい。どんな些細な手掛かりでもいいから欲しい。それが、翔太の正直な気持ちだった。
「よくわかりましたね」
「確かに知りたいことがあって、ここに居ます。お兄さんに一つ聞いてもいいですか?」
「いいぜ~ 何でも聞いてくれ。勿論タダじゃないけどな」
翔太とミナはお互い顔を見合わせた。
「幾らで教えてくれるんだ?」
「銀貨30枚だ」
翔太には、まだこの世界の硬貨の価値が分かっていなかったが、横に居るミナが驚きを隠せない様子だった。
「銀貨30枚――っ!? 高いよぉ~」
「わるいな。こっちも商売なんでね。払えないなら俺は別にいいぞ」
「……払う!」
翔太が情報にすがるように言葉をぶつける
「まいど!…で、何が聞きたい?」
翔太は怪しい連中や、北の廃坑のこと等いろいろカインに聞くことが出来た。
外から見えぬ場所、連中は女や子供を人質にして男達を働かせている。
噂話だったことが現実味を帯びてくる。
悪党たちは炭鉱の奥深くで掘り当てたい鉱脈を探し、働かせるための人員として元炭鉱労働者を奴隷にし、人質で家族を縛っている。
チロルの家が燃やされたのも、捉え損ねたので、帰る場所を失くすためだったのだろうか。
夜、二人は部屋に戻り、作戦を話し合った。ギルワークで貰った地図を広げ、廃坑の位置を確かめる。村から北へ、森を抜けて直ぐ。歩いて行ける場所だ。
「明日、早立ちで向かおう」
「ええ。子どもを放っておけない」
ミナの声は強く。彼女の目にはすでに闘志が宿っている。
「…………」
チロルは不安そうな顔でこちらをみていたが、信頼はしてくれているみたいだ。
(何としてでも助けたい―――助けられないのは、もういやなんだ!)
翔太は強くなりたいと思い始めていた。
窓越しに夜風が入り、草木がそよぐ音がした。
――チロルの父、囚われた人たちを助ける。
使命にも似たなにかを感じざるを得なかった。




