3月23日 ティーバッティング
ちょうど、ティーバッティングを終えたところで俺は休憩をしていた。一箱だいたい30球くらい入っている。打ち終わってすぐということもあり、俺のバットは杖代わりになっていた。疲れている俺に変わって、ネットに入っているボールを悠太は、ほとんどカゴの中に入れてくれた。そして、俺に話しかけてきた。
悠太「俺たちって、終わる時どうなってるんだろうな?」
俺 「どういうこと?」
ボールを上げる悠太は、体力が余っていた。
悠太「俺たちが引退する時だよ」
俺 「引退ねぇ」
引退の言葉がもう出る時期になってきた。
悠太「俺たちは、試合に出てんのかな?」
俺 「俺は、出てるけど。お前は無理だな」
悠太「なんでだよ?」
鋭いツッコミに対して言い返した。
俺 「俺が外野で出たら、一枠埋まるだろ」
悠太「あー、そういうことね」
素直に納得してくれた。
俺 「俺、最後の打席はいい形で終わりたいんだよな」
悠太「高校最後の打席ってこと?」
いつが最後の打席になるかはわからない。けど、高校で野球を辞める俺にとっては、大事だった。
俺 「そう。いつが最後かわからないけど、打って終わりたいんだよ」
悠太「打って終わるのか、難しいな」
俺 「それも、ホームランとか長打がいいな」
イメージだけはある。打てるかはしらないけど。
悠太「よく、試合にも出てないのに偉そうに言えるな」
俺 「いいんだよ、言うのは自由だから」
悠太「まぁ、そうなんだけどさ」
悠太のいう通りだ。いくらイメージしても打てなかったら意味がない。
俺 「意外とすぐ負けんのかな?」
悠太「どうだろうな。負けるにしてもよくわからないところに負けるのはやだな」
悠太の意見に賛成だ。
俺 「そうだな。意外と知ってる高校とかかもよ」
悠太「海美とか守田とか?」
近くの高校をあげてきた。
俺 「そうだな。ありえるかもな」
悠太「どこも強いからな」
春季大会で感じたことだった。
俺 「簡単には勝たせてくれなさそうだな」
悠太「それはそうだな」
俺 「最後の打席で打てたら、悔いはないだろう」
一歩下がり、バットを肩においた。
悠太「じゃあ、そろそろいくよ2セット目」
俺 「了解」
俺は、構えに入った。そして、勢いよく振り出した。