6月1日 練習試合(白峰工業高校)9
今日から6月が始まった。まず俺たち聖徳高校が見据える大きな試合は、19日にある聖淮戦。俺は、試合に出られるのだろうか?聖淮戦まで残り20日をきった俺たちは、淮南高校の投手をイメージしながらバッティングするように指示があった。淮南高校は、右のエース湯浅、左の2番手佐藤の二人。2年生に直江という右のスピードピッチャーがいるらしいが、おそらく試合には投げないだろうというのが俺たちの想定だった。
ー5月24日ー
なんとか3点で済んだ。俺は、そう思っていた。ベンチに戻った俺はスコアを目にする。ついに、二桁得点かぁ。これは、本当に一方的な試合になってしまう。まずは、一点取らなきゃな。
悠太「また、打たれたな」
俺 「アイツら、打ちすぎだよ」
悠太「それは、そうだな」
ベンチの横にあるブルペン付近には、野手陣が素振りしているのがわかる。
俺 「代打あるのか?」
悠太「おそらく、8回か9回に出ると思うぜ」
俺 「今日、試合に出ていない健太郎かぁ」
悠太「そうなるな」
すると、ベンチの中から向井が走り出した。
俺 「代打だな」
悠太「ぽいな」
一生懸命走る向井の姿を見ているとなんだか試合に出てほしい気持ちが湧いていた。向井が向かった先は、やはり健太郎だった。バットを持っている健太郎と何やら話をしながら、こっちに向かってくる。ここまで試合に出ていない健太郎は、白峰工業高校のエース三好をどう打ち崩すのだろうか?ヘルメットと手袋をつけた健太郎は打席へと向かう。やっぱりポイントは、どの球種に狙いを定めるかだろうな?カーブを投げたいところだけど、ストレートで攻めてくる気がしていた。健太郎は、体が大きいわけでもないし、変化球でチョコンと当てられる方が嫌だろう。そうなると、ストレートが多いというのが俺の考えだった。しかし、健太郎には迷いがあるように感じる。サインを終えた三好は、セットポジションに入りすぐさまボールを投げこんだ。「ボール!!」。ボールでよかったが、全然タイミングが合っている気がしない。
タイミングが合っていないことに気がついたのか健太郎は打席を外し、2回程スイングをして、再び打席に戻る。三好が投げた2球目は、1球目と同じストレートだった。今度は、高めに外れる。これでノーストライクツーボール。ある意味チャンスだぞ。ここで、健太郎が球種をはってストライクゾーンにきたら、打てるぞ。
悠太「あいつ、絶対やるな」
俺 「え?何を?」
何かを悠太は確信しているみたいだった。




