5月30日 練習試合(白峰工業高校)7
野球なんかやらなければな。こんな苦しむこともなかったのかもしれない。そんな浅はかな考えが出ては消えの繰り返し。俺の人生はこれからも、こんな感じなのだろうか?
ー5月24日ー
俺のバットに三好のカーブが当たり、俺は一塁へめがけて走り出していた。昼下がりのグラウンドには、風が細く通り抜けていた。ベンチの影と日なたの境目ぐらいから、大きな声が聞こえてくるのがわかる。打たれたピッチャーの三好は、ショートの方を見つめていた。ショートの方向へ伸びる軌道は、軽やかな弧を描き、フライの影を地面に落とす。ライナー性という言葉だと響きはいい。ショートとレフトが懸命にボールを追っていく。ショートは遠回りせず、最短距離でボールのところまで走ろうとしていた。丹生は、俊足を飛ばしてショートの守備位置のところから草の隙間から見える芝生の縞模様のところまで来ている。ショートの後方、レフト寄りの打球でもあるから、ショートが捕球すれば可能性はある。俺は、一気にアクセルを踏み出した。
レフトとの間に落ちるのか?グラウンド全体が息を止める。ショートの丹生は、必死にグローブを伸ばす。まるで、後ろにダイビングをするように。けれどボールは、あとわずか届かず。地面に落ちたボールをレフトは追いかける。俺は、その隙を見てすぐさま二塁ベースに向かう。おそらく、白峰工業高校は、俺が二塁を狙っていることがわからなかったようだ。重力に引かれながら、俺は走っていく。落下点は、ショートとレフトの間。サードがあまりボールを追ってこなかったのが俺には追い風だった。レフトはボールを急いで捕球しセカンドへ投げるが俺の方がわずかに早かった。ベンチからは大きな声が聞こえる。ようやく、チャンスらしいチャンスは作れただろう。俺は、セカンドベースの方から、ベンチを見つめる。
ここからは、2番八幡、3番橋本、4番川中と最も期待できる打順がめぐってくる。ここで、1点でも返さないと。7点のビハインドは、あるもののランナーを確実にサードまで進めてほしいというのが監督の考えだろうな。どうやって、サードに進めるのか。俺は、リードをしながら三好の方に目線を向ける。三好の初球ストレートを狙いすましたように逆方向へと飛ばす。よし、きた!!これで、ワンナウトランナー三塁が作れる。俺は、勢いよく三塁ベースへ向かおうとした時、三塁コーチャーの飯田が手を前に出し、バックの合図を見せる。まさかぁ、、、、、、、、、、、。




