5月26日 練習試合(白峰工業高校)3
次戦は、試合に出れるのだろうか?いつしか、そういうことしか考えられなかった。中学校の時は、そんなことなんて考えずにただただ野球をしていたのにな。成長って恐ろしい。良くも悪くもいろんなことを考えてしまうのだから。
ー5月24日ー
3回表。やっぱり三好は、いいピッチャーだな。三好は、ストレート以外に、スライダーと落ちる変化球があるようだ。1打席目は、初球を打ったからわからなかったけど、橋本や佐伯の打席を見ると明らかだった。8番の飯田は、ストレート二球で追い込まれる。俺は、ベンチの端から試合の行方を見守っていた。ネクストバッターサークルにいる竹田ところには、悠太が座っていた。竹田は、2回で交代というわけか。座る悠太の目は、真剣そのものだった。名門高校が相手となれば、自分の打席数も限られてくる。今日の二試合目に出れるという保証はない。
俺は、飯田の打席を見て自分の番が来るのをじっと待っていた。一打席目で打てたんだ。二打席目も打てる。淡い期待と緊張を胸に抱きながら、飯田のスイングしたバットにボールが当たることなくキャッチャーミットに吸い込まれていった。俺は、深く息を吸い込み、手にしたバットを軽く握りしめネクストバッターサークルに向かった。同時に三振となった飯田も戻ってきた。ヘルメットをとった飯田は、何かぶつぶつと呟いていた。悠太、、、、、、、。三好は、変化球ニ球で追い込んでしまった。やっぱり、一回の途中から完全に立ち直ったな。俺は、心臓の鼓動が少し早くなるのを感じていた。まるで、相手に主導権を握られているようだ。
ベンチからの大きな声が一気にため息へと変わる。その手が震えるのを抑えるかのようにしっかりとグリップを握りしめた。飯田に続き、悠太も三球三振。この流れを変えないと。「次は俺の番だ」心の中でつぶやきながら、ゆっくりと立ち上がった。すれ違いざまに、"ごめん"とか細い声が聞こえてくる。ドンマイと声をかけることしかできない自分に腹が立っていた。3回表。ツーアウトランナーなしで俺の二打席目が回った。チームの雰囲気も最悪。こんな中、俺は何ができるのだろうか?社会のような雰囲気はない。この回は、鋭い覇気を見せていた。
初球ストレートにヤマをはるか。サインを確認した三好はセットポジションに入る。三好の腕からボールが放たれた。俺はすぐさま反応し、バットを振り抜く準備を整えた。やはり、初球はストレートだ。ボールに体が自然と反応する。大きな金属音が響き渡った。打球は、ピッチャーの足元を通り過ぎたのだ。




